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なぜ男たちは『零戦』と『M4シャーマン』のプラモに惚れるのか? 過渡期ゆえの“試行錯誤”と散りゆく“儚さ”

 1958年12月に産声をあげた国産プラモデルの歴史は60年を超えた。その長い歴史を紐解いた時、多くの模型ファンの心を掴み続けているのが、軍艦・航空機・戦車などの『スケールモデル』(※縮尺に基づいて忠実に再現した模型)だ。そこで今回、ミリタリージオラマ作家であるプロモデラー・吉岡和哉氏と、30年以上にわたって模型雑誌に携わる絵本作家の松本州平氏にインタビュー。“男が惚れる”スケールモデルの醍醐味を聞いた。

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■WW2の戦車から感じる“試行錯誤”が愛おしい(吉岡和哉)

 スケールモデルに目覚めたきっかけについて吉岡氏は、「私たちの子どもの頃は、模型店以外でも近所の駄菓子屋などでプラモデルが売っていました。キャラクター系の商品もあるにはあったのですが、ジャンルとしては艦船、航空機、戦車、車などのプラモデルが圧倒的に多く、スケールモデルを作るようになったのも自然な流れでした」と、当時を振り返った。

 そんな風に、幼少の頃からスケールモデルを愛好してきた吉岡氏だが、とりわけ心血を注いできたのが「戦車」だ。特に「堂々とした鉄の塊感だったり、擦り減ってギラギラした金属地が剥き出しになった履帯(キャタピラ)に魅力を感じます」と、兵器としての武骨さをアピール。続けて、「戦車には各国の思想や時代、その国の置かれた状況や敵対する車両により様々な形に変化します。時にはなぜこんな形になっているの?というような歪なものから、『〇〇戦車と同じ形だ』というものまで色々です。とにかく多彩な“形”に見飽きません」と、モデラーならではの視点で“戦車愛”を熱弁した。

 また、スケールモデラーの多くはWW2(第二次世界大戦)の戦車を愛好する人が多いのだという。なぜ、今もこの時代の戦車が愛されるのだろうか。

 「WW2における戦車は進化の途中で、運用面においても過渡期にありました。しかし、過酷な戦場で戦車は恐竜的進化を遂げます。そして、そこには様々な伝説的エピソードも生まれました。また過渡期にある物のデザインは試行錯誤の跡があり、形がまとまっていない事がよくあります。洗練されたものより、まとまりのない物の方が飽きがこず、ずっと見ていられるのかもしれません」

■技術の進歩は作った量に付随、「自分の作品を客観視することも成長への道」(松本州平)

 模型雑誌に関わって30年以上となるプロモデラーの松本氏。幾多の航空機を制作してきたが、旧日本海軍の零戦は特別だという。

 「零戦が醸す雰囲気や佇まいは別格です。どこか郷愁を感じさせるというか…。子どもの頃から各スケール、メーカーを含めて最も多く制作してきましたから。今後も、繰り返し作り続ける名機だと思います」と、零戦への愛着を強調する松本氏。

 零戦をはじめ、これまで多くのスケールモデルを制作してきたが、カタルシスを感じる瞬間について聞くと、「それは全ての制作工程が終わり、各部分の最終チェックをしている時です」と即答。自分の想像した機体が形になった充実感と疲労が相まって、とても心地良い達成感を感じるのだと笑顔で語ってくれた。

 今回紹介している、夕陽にたたずむ1/32ハセガワ(旧金型)の零戦もそうだが、松本氏の作例からは模型としての色気を感じる。その“匠の技術”についてどのようなことを心掛けているのかを聞くと、「難しい質問ですね」と苦笑しながら、次のように説明した。

 「模型制作にあたっては、細かい技術はそこそこで良いと思っていて、各プロセスを丁寧に行うように心掛けています。フォルムの確認と修正、ディテールの作り込み、調色、塗装等の技術が最終的に良いハーモニーを生み出せればベストだと思います」。つまり、何かひとつの部分で突き抜けるよりも、全体のバランス感を重要視しているのだという。また、技術はキットを作った量に付随してくるものだと解説。そして、「人に作品を見せる、人の作品を見る、解らない部分は人に聞く、自分で調べる、といった客観的に自分の作品と向き合うことこそ大切だと思っています」と、長年培ってきた“模型論”で締めてくれた。

関連写真

  • 【左】1/32ハセガワ(旧金型)の零戦/制作:松本州平【右】M4シャーマン/制作:吉岡和哉氏
  • “実物”よりもカッコイイ!男の浪漫を詰め込んだスケールモデル/制作:松本州平
  • M4シャーマン/吉岡和哉氏
  • M4シャーマン/吉岡和哉氏

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