女優・松岡茉優主演で、松坂桃李が共演する映画『蜜蜂と遠雷』(10月4日公開)のトークショーが5日、都内で開催された毎年恒例のクラシック音楽祭『ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2019』で行われ、同映画のオリジナル楽曲「春と修羅」の作曲者である藤倉大氏らが参加した。
17年に史上初となる第156回直木賞と本屋大賞のW受賞を果たした恩田陸氏の同名の小説が原作。メガホンを取ったのは『愚行録』(17年)で長編監督デビューを果たした石川慶監督で、脚本と編集も担う。
物語は、国際ピアノコンクールを舞台に4人のピアニストの挑戦や成長が描かれる。13歳のときに母を亡くし、ピアニストになることから逃げてきた元天才少女の栄伝亜夜を松岡、妻子を持ちながらも夢を諦めきれず、最後のチャンスとしてコンクールにエントリーした高島明石を松坂。さらに、名門音楽院に在籍し、優勝候補最有力の重圧に挑むマサルを森崎ウィン、今は亡き世界最高のピアニストが遺した謎の少年・風間塵を鈴鹿央士が演じる。
それぞれのピアノの音を担当するべく、世界で活躍するピアニストたちが集結。この日は藤倉氏のほか、明石のピアノを担当しアイスショーで羽生結弦選手と共演した経験もある福間洸太朗、マサルのピアノを担当した日本人の父とハンガリー人の母を持ち、単身ハンガリーの音楽学校に通い、昨年行われたチャリティーコンサートでは当時の皇后陛下の前で演奏もした金子三勇士、そして石川監督が登壇した。
藤倉氏は「実は石川慶監督とは初めまして」と驚きの事実を告白。スカイプでやり取りをしていたそうで、原作の恩田氏とも会ったことがないそう。「小説が映画化されて、いい映画でも『いやだ』という小説家の人がいるというのを聞いたことがある」ということから原作に忠実な音楽を目指した。
その制作過程については「小説の中に『春と修羅』の描写が事細かに書かれていた。お風呂で読むんですけど、描写があったところを濡れないようにスマホで写真を撮る。それで出た後にプリントアウトして、自分の作業部屋に貼りまくった」と振り返った。印刷物したものは何十枚というページになったそうで「連続殺人犯の部屋みたいになりました」と苦笑いを浮かべていた。
そのかいもあって、仕上がりは「僕の中では原作のそのまま」と力を込めていた。さらにカデンツァ(即興部分)も演奏者4人の個性に合わせて書き分け。「楽しかったです。すごくスムーズでした」と話した。石川監督は「起こす作業をしているという言葉が印象的でした」とも語った。
演奏した側も役柄に合わせたそう。福間は「私自身の解釈は横に置いた。高島明石は奥さんと子どももいて楽器店に勤めている。今の私とは全然、違う境遇。子どもがいるか、いないかで全然、違うと思う。無条件の愛とか、そういったものを含めながら弾いてみました」と収録時の心境を口にした。
違うステージでの演奏を終えたばかりで遅れて合流した金子は「速めのテンポで弾いたんですけど間に合わなかった」とジョークを飛ばして笑わせた。「マサルは、とても自分の共通した何かを感じている。複数の文化の血が流れて、音楽に向き合う姿とか。役柄と自分が同化していく。いざ、録音の現場に行くと、もう自分ではなく、ホールに入った瞬間にマサルになっていた。そういった意味でも久しぶりにコンクールに出たような気分になりました」と作品に込めた思いを明かした。ただ、藤倉氏の作曲した『春と修羅』については「大変なカデンツァが入ってました…。リストの『超絶技巧練習曲』を弾いているんじゃないかと思うぐらい、オクターブ、オクターブ、オクターブという感じ」とボヤキつつも最後は「とにかく短期集中型の準備期間でしたけど、楽しい作業でした」と笑顔になっていた。
また、石川監督は「まずは音楽から始まった。そこは絶対に妥協しちゃいけない、と」と脚本の完成前に、ピアニストや作曲者から決まっていたという。藤倉氏は「小さいときから映画音楽の作曲家になりたかったんです」と告白し「不思議なことにハリウッドも含めて、オファーをもらったことがあるんですけど毎回、うまくいかない。妥協しないからなんですけど。今回、初めて関わることができた映画のプロジェクトで、全く妥協せずに書かせていただいた。音楽が映画でデビューするのは一番いいこと。すごく楽しみにしています」と公開を心待ちにしていた。
17年に史上初となる第156回直木賞と本屋大賞のW受賞を果たした恩田陸氏の同名の小説が原作。メガホンを取ったのは『愚行録』(17年)で長編監督デビューを果たした石川慶監督で、脚本と編集も担う。
物語は、国際ピアノコンクールを舞台に4人のピアニストの挑戦や成長が描かれる。13歳のときに母を亡くし、ピアニストになることから逃げてきた元天才少女の栄伝亜夜を松岡、妻子を持ちながらも夢を諦めきれず、最後のチャンスとしてコンクールにエントリーした高島明石を松坂。さらに、名門音楽院に在籍し、優勝候補最有力の重圧に挑むマサルを森崎ウィン、今は亡き世界最高のピアニストが遺した謎の少年・風間塵を鈴鹿央士が演じる。
それぞれのピアノの音を担当するべく、世界で活躍するピアニストたちが集結。この日は藤倉氏のほか、明石のピアノを担当しアイスショーで羽生結弦選手と共演した経験もある福間洸太朗、マサルのピアノを担当した日本人の父とハンガリー人の母を持ち、単身ハンガリーの音楽学校に通い、昨年行われたチャリティーコンサートでは当時の皇后陛下の前で演奏もした金子三勇士、そして石川監督が登壇した。
藤倉氏は「実は石川慶監督とは初めまして」と驚きの事実を告白。スカイプでやり取りをしていたそうで、原作の恩田氏とも会ったことがないそう。「小説が映画化されて、いい映画でも『いやだ』という小説家の人がいるというのを聞いたことがある」ということから原作に忠実な音楽を目指した。
その制作過程については「小説の中に『春と修羅』の描写が事細かに書かれていた。お風呂で読むんですけど、描写があったところを濡れないようにスマホで写真を撮る。それで出た後にプリントアウトして、自分の作業部屋に貼りまくった」と振り返った。印刷物したものは何十枚というページになったそうで「連続殺人犯の部屋みたいになりました」と苦笑いを浮かべていた。
そのかいもあって、仕上がりは「僕の中では原作のそのまま」と力を込めていた。さらにカデンツァ(即興部分)も演奏者4人の個性に合わせて書き分け。「楽しかったです。すごくスムーズでした」と話した。石川監督は「起こす作業をしているという言葉が印象的でした」とも語った。
演奏した側も役柄に合わせたそう。福間は「私自身の解釈は横に置いた。高島明石は奥さんと子どももいて楽器店に勤めている。今の私とは全然、違う境遇。子どもがいるか、いないかで全然、違うと思う。無条件の愛とか、そういったものを含めながら弾いてみました」と収録時の心境を口にした。
違うステージでの演奏を終えたばかりで遅れて合流した金子は「速めのテンポで弾いたんですけど間に合わなかった」とジョークを飛ばして笑わせた。「マサルは、とても自分の共通した何かを感じている。複数の文化の血が流れて、音楽に向き合う姿とか。役柄と自分が同化していく。いざ、録音の現場に行くと、もう自分ではなく、ホールに入った瞬間にマサルになっていた。そういった意味でも久しぶりにコンクールに出たような気分になりました」と作品に込めた思いを明かした。ただ、藤倉氏の作曲した『春と修羅』については「大変なカデンツァが入ってました…。リストの『超絶技巧練習曲』を弾いているんじゃないかと思うぐらい、オクターブ、オクターブ、オクターブという感じ」とボヤキつつも最後は「とにかく短期集中型の準備期間でしたけど、楽しい作業でした」と笑顔になっていた。
また、石川監督は「まずは音楽から始まった。そこは絶対に妥協しちゃいけない、と」と脚本の完成前に、ピアニストや作曲者から決まっていたという。藤倉氏は「小さいときから映画音楽の作曲家になりたかったんです」と告白し「不思議なことにハリウッドも含めて、オファーをもらったことがあるんですけど毎回、うまくいかない。妥協しないからなんですけど。今回、初めて関わることができた映画のプロジェクトで、全く妥協せずに書かせていただいた。音楽が映画でデビューするのは一番いいこと。すごく楽しみにしています」と公開を心待ちにしていた。
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2019/05/05