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SNS全盛時代に売上好調 ストリートファッション誌『mini』の魅力とは?

■女性ヤング誌部門で4期連続1位 “3種の神器”にこだわり&時代も追い風に
  
 ツイッターやインスタグラム、フェイスブックなどSNS全盛の時代。若い世代は自分の欲しい情報をSNSから探しているが、情報があふれすぎるゆえに「自分の知りたい情報にたどり着けない」と“SNS疲れ”を感じる人も多い。そんななか、SNS世代の読者を新規開拓して好調な成績を残しているのが、宝島社の女性ファッション誌『mini』。雑誌の実売数を測定する「日本ABC協会」の調査で、女性ヤング誌部門において4期連続で1位と絶好調だ。

SNS全盛の時代、確固たる編集方針と柔軟性で支持を集める女性ファッション誌『mini』(宝島社)

SNS全盛の時代、確固たる編集方針と柔軟性で支持を集める女性ファッション誌『mini』(宝島社)

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 同誌は“裏原宿ストリートブーム”の絶頂期だった2000年に創刊。一貫して「Tシャツ」「デニム」「スニーカー」を3種の神器を基本スタイルにした、“ボーイッシュでかわいい”スタイルを提案してきた。昨今はしっかりとメイクする女の子らしいストリートスタイルを確立し、メイクやヘアの特集にも注力。スポーツブランド人気や90年代リバイバルも追い風となり、全国で『mini』っぽいスタイルの女の子が増えているそうだ。

 誌面作りで心がけていることは「ひと目見れば誰でも理解できる」こと。流行のファッションを方程式にして教科書のようにわかりやすく紹介し、「そのまま同じコーディネイトでおしゃれになれる!」「雑誌の手順通りにメイクすれば今どきになれる」といった読者の声も多数寄せられている。また、紙媒体ならではの魅力も生かし、スマホの画面では味わえない大きな写真と見やすいレイアウトで編集している。

 さらに、「ストリートスナップはしない」「商品を並べただけにしない」など独自の編集ルールを設定し、掲載されるのは着回しの参考になるような汎用性のあるコーディネイトばかり。SNSで情報を集めることに慣れている世代から、「どのページも想像を超えたかわいさ」「特集が本当に参考になる」「『mini』で雑誌デビューをしました」と新規読者の開拓にも成功している。

■表紙にはあえて“らしくない”女優も抜てき 永野芽郁も「すごい幸せなこと」

 雑誌の看板でもある表紙モデルについても、大きなこだわりを持つ。普段はきれいめな服装でストリート感のない女優もあえて表紙に抜てきし、「miniでしか見られない特別感」を巧みに演出。川口春奈、永野芽郁、中条あやみのほかE-girlsのYURINO&須田アンナの新鮮なストリートスタイルで、ファン層をさらに広げている。永野は普段から愛読しており、表紙モデルを務めた時には「すごい幸せなことだなって思いながら」撮影に挑んだことを語っている。

 しかし、SNSから距離を取るのではなく、連携した企画にもチャレンジする。コーディネイト紹介アプリ「WEAR」とモデルの佐藤栞里と3者でコラボし、「#ストリート服が好き」というハッシュタグを付けた投稿を呼びかけたところ、1週間で約6000もの投稿を記録した。WEA関係者によると、この数字はこれまでの企画の中でもかなり高い数字で「男性による投稿数も多く、性別を問わずいま勢いのあるスタイルなんだと実感」したという。こういった新しい取り組みも支持を集めている。

 そして、『mini』を大ヒット雑誌に押し上げた大きな要因は、「ブランドアイテム」という付録だ。読者に人気のファッションブランドがプリントされたバッグをはじめ、ミッキーマウスやスヌーピーなど人気キャラのポーチ、さらに商品と見間違えるほどの高品質のコスメセットなど、雑誌の定価以上の価値を感じさせるアイテムを続々と開発。妥協のない姿勢が細部にまで行き渡っている。

 2011年から編集長を務める見澤夢美氏は「SNS全盛の時代ですが、一方で『SNS疲れ』と言われ、いま改めて同じ場所に集まり、盛り上がるというオフラインのつながりが求められ始めているように感じています」と若年層の行動を分析。そういった側面から、「リアルイベントをぜひやりたい。久しぶりに“音楽発ファッション”が盛り上がりを見せていて、そこに面白みや大きな可能性を感じますね」と先を見据える。

 1990年代後半から始まった出版不況は終わる気配を見せず、昨今は大手出版社の老舗雑誌も次々と休刊を発表している。厳しい状況が続くなかでも、確固たる編集ポリシーと柔軟な取り組み姿勢で成果をあげ続ける『mini』が、業界の起爆剤となるか、注目したい。

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