アニメ&ゲーム カテゴリ
ORICON NEWS

コスプレ人口増加、オタク以外にも“市民権”を得たコスプレ文化

 今夏も8月12日〜14日の3日間、日本最大級の同人誌即売会「コミックマーケット90」が開催される。漫画や小説、音楽など、様々なジャンルの創作物を扱っているなかでも、近年、特に注目を集めているのが、アニメやゲームのキャラクターになりきる「コスプレ」分野だろう。いわゆる“オタク”以外の人たちも深夜アニメなどを楽しむ人が増加したことや、ハロウィンの熱狂ぶりもあり、コスプレ人口は増加傾向にあるようだ。しかし、これまでコスプレといえば、限られた一部の「コスプレイヤー」が、ともあれば日常生活と切り離すかたちで隠れて楽しんでいた趣味だった。コスプレはいつから市民権を得たのだろうか?

“日本一かわいいコスプレイヤー”として話題の御伽ねこむは大手芸能事務所・ホリプロに所属し活動を行っている (C)ORICON NewS inc.

“日本一かわいいコスプレイヤー”として話題の御伽ねこむは大手芸能事務所・ホリプロに所属し活動を行っている (C)ORICON NewS inc.

写真ページを見る

■2000年代後半のアニメブームで浸透したオタクならではの趣味・嗜好

 「コスプレ」とは「コスチューム・プレイ」からきている和製英語であり、日本での現在まで続くブームの発端は1970年代頃の「日本SF大会」(SFファンや同人サークルが集まるイベント)など同人イベントにおける仮装と言われている。コミケでも1978年頃よりアニメやゲームのキャラクターの衣装・メイクを楽しむ人々が現れはじめ、1980年代に入ると、『機動戦士ガンダム』など第一次アニメブームによりコスプレイヤーが急増。コミケでは警察からの要請もあってコスプレマナーの明確化や更衣室なども設置された。また、アニメ雑誌などでコスプレの特集が組まれるようになるとアニメファンの間で認知が拡大し、いわゆる“カメコ(カメラ小僧)”と呼ばれるアマチュアのカメラマンも出現するようになった。

 「アニメファン以外にも『コスプレ』が注目されはじめ、コスプレ人口が急激に増えたのは、1990年代の『美少女戦士セーラームーン』、その後の『新世紀エヴァンゲリオン』のブームの頃です」(アニメ系雑誌編集者)。この頃になるとコスプレ衣装を制作する業者や、店員がコスプレ衣装を着て接客する飲食店も登場するなど、商業面にも影響が表れ始めた。そして2000年代後半の『けいおん!』『マクロスF』といった深夜アニメを中心に起こったアニメブームでは、『けいおん!』関連シングルがJ-POPの人気アーティストにも匹敵する売り上げを記録したことや、声優・水樹奈々の『NHK紅白歌合戦出場』もあって、“オタク”が国内外から注目を集める存在に。メディアでコスプレの話題を見る機会も増え、タレント活動を行うコスプレイヤーも現れた。

 コミケが発表している資料によると、コスプレ更衣室利用者は2011年の冬コミで初めて男女合わせて2万人を超えており(ちなみにこの年の一番人気は『けいおん!』のコスプレだったようだ)、“オタク”が市民権を得ると同時に、コスプレなどオタクが楽しんでいた趣味・嗜好も“カッコいいもの”として好意的にとらえられるようになったことがわかる。ここ1、2年ほど、ハロウィンやクリスマスなどでアニメのキャラクターなどの仮装をして街中を練り歩く人々が急増しているのは、こうしたコスプレ文化が一般層にも浸透していることの表れではないだろうか。かくしてコスプレは市民権を得たのである。

■2016年の夏コミは『ポケモン』コスプレ急増?

 先述したとおり、2011年は『けいおん!』のコスプレイヤーが多かったが、例えば2013年なら『進撃の巨人』など、その年に流行するコスプレ=ヒットしている作品が多い。ここ1、2年ほど、コミケに潜入している記者が見たところによると、最近は『艦隊これくしょん‐艦これ‐』『ラブライブ!』『おそ松さん』などのコスプレを楽しむ人が多かったが、今年の夏コミのコスプレはどんな作品が注目を集めるのだろうか?

 まずは7月よりTVアニメ放送中の『ラブライブ!サンシャイン』。ユニット“μ’s”が『NHK紅白歌合戦』出場、東京ドームでのコンサートも成功させた『ラブライブ!』だが、静岡県沼津市を舞台にした新作も人気を集めている。『けいおん!』もそうだが、学校の制服モチーフの服装は露出が少なく、コスプレに慣れない人でも比較的導入しやすいという利点があるため、夏コミでは早くもコスプレイヤーが登場しそうな気配。また、急増しそうなのが『ポケットモンスター』のコスプレ。先週、日本でも配信を開始した『ポケモンGO』の人気は言わずもがなだが、過去のアニメ・ゲーム系イベントでは、数は多くはないがポケモンを“擬人化”したコスプレイヤーに出会うことがあった。“トレーナー”風のコスプレはもちろん、趣向を凝らしたポケモン擬人化コスプレを楽しむ人が急増しそうだ。

 近年、盛り上がりを見せているコスプレだが、人気を集めているジャンルだからこそ一部の人のマナー違反が取り沙汰されることも多い。イベントならばイベントのルールを、撮影会などであれば一般的な常識をきちんと遵守して大いに楽しんでほしいと思う。

オリコントピックス

あなたにおすすめの記事

 を検索