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他業種で音楽との“出会い”を提供 逆風にも攻勢をかけるCDショップの戦略

 全国にCDショップを展開するタワーレコードが1月19日、東京・渋谷区神宮前に“食×音楽×カルチャー”を楽しめるカフェ「TOWER RECORDS CAFE 表参道店」をオープンした。同チェーンが飲食店をオープンするのは、渋谷店内2Fにあるカフェ、TOWER DINNING恵比寿店に続き3店舗目。ピーク時と比較し、音楽業界全体でCD販売が大きく落ち込んでいるなか、CDショップチェーンが本格的に他業種に進出していく狙いはどこにあるのだろうか。

1月19日にオープンしたTOWER RECORDS CAFE 表参道店

1月19日にオープンしたTOWER RECORDS CAFE 表参道店

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■飲食を通して音楽との出会いを提供するタワーレコード

 音楽の楽しみ方が多様化するなか、CD不況の時代と言われるようになって久しい。特に小売に関しては、個人規模の店で閉店が相次いでいるだけでなく、大型チェーンでも買収が進むなど、近年、逆風が続く。こうした状況のなか、タワーレコードやHMVは、生活の導線上にサテライト店的に店舗を構えたり、店ごとに何かしらの専門性を持たせたりするなど、様々な工夫を凝らしている。

 そしてこのほど、ラフォーレ原宿や東急プラザ表参道原宿のほか、人気ブランドのショップが軒を連ねる神宮前交差点のすぐ近くにオープンしたのが「TOWER RECORDS CAFE 表参道店」だ。出店の背景について、同社営業戦略室 室長の大江信宏氏は、「お陰様で渋谷店は多くのお客様にご支持して頂いておりまして、特にここ最近はアーティストやキャラクターと連動したコラボ企画も大変好評をいただいております」とし、「我々は“To be the best places found music”、つまり音楽と出会える最良の場というのをミッションとしており、新しい出会いの場として、音楽との親和性が高い“飲食”に着目しました。飲食を通じてお客様に音楽との出会いや再会の場を提供したいと考えています」と話す。

■自然なかたちで音楽との接点を演出

 店内は“アメリカ西海岸の古い工場跡にできたカフェ”をコンセプトとし、コンクリートの質感や古ぼけた木目調の壁や床がスタイリッシュな雰囲気を醸し出している。ランチメニューはドリンク付で700〜900円程度と利用しやすい価格帯で、一見すると、原宿の普通のおしゃれなカフェ。一部、CDやグッズのセルコーナーも設けているが、あくまでも“カフェ”だ。しかし、細かい部分をよく見てみると、内装に溶け込んだDJブースやアナログ盤のパッケージを模ったメニュー、タワーレコードのジャンル案内風のドリンク看板など、同社のカフェならではの工夫が施され、自然なかたちで音楽を楽しめる空間となっている。「音楽が好きな方はもちろん、カフェとして利用してくださった方に音楽やタワーレコードに興味を持つきっかけになってもらえたら嬉しいです」と大江氏は意気込む。

 ネットで検索すれば簡単に情報が手に入るようになった今、「CDを買ったことがない」「音楽は無料で手に入るもの」と考えている若者も少なくないと聞く。こうした時代の変化に合わせて、レコード会社はイベント事業や異業種との連携など、CDビジネス以外を視野に入れた活路を模索してきた。そしてCDショップもまた、CDを販売するという根幹となる部分はもちろん、音楽シーン全体を活性化させる新たな挑戦が求められている。直接CD販売につながらなくとも、他業種に接点を持つことでブランドの認知を拡大し、リアル空間で音楽を共有することの楽しさを伝えていければ、将来的にリアル店舗に足を運ぶファンも増えるだろう。そこで人生を豊かにする“発見”があれば、なおさらだ。

関連写真

  • 1月19日にオープンしたTOWER RECORDS CAFE 表参道店
  • 1月19日にオープンしたTOWER RECORDS CAFE 表参道店 DJブース
  • 1月19日にオープンしたTOWER RECORDS CAFE 表参道店 (C)oricon ME inc.
  • 1月19日にオープンしたTOWER RECORDS CAFE 表参道店 (C)oricon ME inc.
  • 1月19日にオープンしたTOWER RECORDS CAFE 表参道店のアナログジャケット風メニュー (C)oricon ME inc.
  • 1月19日にオープンしたTOWER RECORDS CAFE 表参道店 (C)oricon ME inc.

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