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クラウドファンディングを活用したラジオ局の試み

インターネットを活用する動きがラジオ局の間でも広がりつつある。なかでもJ-WAVEは、SNS連動、独自のポイント制導入、クラウドファンディングなど、コンセプチュアルな試みで突出している。リスナーをユーザーとして捉え、彼らをアクティブ化することによってラジオ局が得られるリターンとはどのようなものなのだろうか。

J-WAVEが運営するクラウドファンディングサイト『J-CROWD MUSIC』

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 クラウドファンディングとは、インターネット経由で一般から出資を募り、プロジェクト成立を図る仕組み。J-WAVEでは、昨年9月から音楽専門のクラウドファンディング『J-CROWD MUSIC』を開始した。

「クラウドファンディングを活用することで、音楽制作にまつわる様々なリスクを少しでも軽減できるなら、音楽業界全体にとってもプラスになるはずだと考えたのがひとつ。才能があるのになかなかデビューのチャンスに恵まれない新人や、新しいことにチャレンジしたいアーティストの思いを世に出すきっかけを作るような機能ですね。もうひとつは、局として新規ビジネスの可能性を探る目的もあります。クラウドファンディング自体はあくまで手数料ビジネスですが、実際に生まれたコンテンツを中心にして、その先に展開するビジネスも構想できるのではないか」とJ-WAVE 編成局デジタルコンテンツ開発部長・小向国靖氏。事業としての売上目標は設定しているが、あくまで種をまいている段階だという。

「まずは音楽のクオリティが大前提となりますが、やはりただCDをつくりたい、というだけではプロジェクトとして成立させるのは難しい。提供するのは、自分が応援することで物語が動いていく体験です。ユーザーを主体的に参加させるための動機付けとなる“ストーリー”の強度が非常に重要となりますから、公開する企画は入念に審査しています」

 クラウドファンディング実施にあたっての告知は、各プロジェクトのテイストに合わせてJ-WAVEの番組からチョイス。レギュラーコーナーや自社CMなどで行っている。他に、提携企業サイトやメールマガジンでの紹介も実施しているが、現状ではアーティスト自身のSNSでの告知も大きな柱のひとつとなっている。

「最近はSNSをうまく使いこなしているアーティストも多いので、ファンの反応も速く、ロイヤルティも高い。以前からラジオとインターネットの親和性の高さは謳われていましたが、SNS以降、特にそれを実感しています。このサービスのファンも、少しずつですが増えています」

■カギはいかにネットユーザーと信頼関係を構築できるか

 実はJ-WAVEでは昨年春から『Jme』という会員サイトを立ち上げている。各種SNSとID連携し、サイト内でのアクションに対して非換金式のポイントを付与する仕組みだ。

「番組へのコメントやその拡散などでポイントが貯まり、そのポイントでバーチャル(デジタル)バッジがもらえたり、試写会やイベントに応募できたりといった特典を用意しています。会員全体で自分が何位なのか表示させるなど、いわゆるゲーミフィケーションですね。この仕組みを導入したことで、サイトに有機的な人の息づかいが出現したことは大きな収穫。また、今後はユーザー属性データなどを活用することで、顔の見えなかったラジオリスナーという存在をより明確にターゲティングし、新たな番組づくりやメディア価値を生むことにつなげられるかもしれません」

 会員数はオープンから半年で数万人を突破しているという。『J-me』はデジタル会員証的なスマホ専用アプリもまもなく公開予定。こちらはradikoや『J-CROWD MUSIC』へもワンアクションでアクセス可能な仕様となっている。

「いずれはJ-CROWDで発掘したアーティストを集めたフェスのようなイベントを開催してみたいです。いずれにしろ、いかにしてリスナーとより緊密な信頼関係を構築し、コミュニティを運営していけるかが今後の鍵だと認識しています」

 J-WAVEでは社会貢献にちなんだ案件を扱うクラウドファンディング『リスナーズ・パワー・プログラム』も並行して展開中。bayfmでも昨年からクラウドファンディング連動サイト/番組をスタートし、好評を得ている。リスナー像を的確に捉え、彼らのロイヤルティを補完・強化しつつ新規リスナー獲得へつなげていくための場として、インターネットはますます重要な意味を持つことになりそうだ。
(ORIGINAL CONFIDENCE 14年3月31日号掲載)

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  • J-WAVEが運営するクラウドファンディングサイト『J-CROWD MUSIC』
  • 13年4月から開始したJ-WAVEのインターネット会員サービス『J-me』
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