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【前編】世界をも虜にする日本車の魅力とは? マツダ本社に潜入

 子どもの頃、学校の授業の一貫で訪れた企業の工場見学。そんな工場見学も、近年は親子やカップル、友だち同士で楽しむおでかけスポットとしてブームに。商品の製造工程を紹介するバラエティ番組や工場見学に関する書籍なども人気を集めている。そこで、普段はなかなか見られない企業の内側に迫りたい! と考えたORICON STYLEでは、世界でもトップレベルの評価を得る“日本車”をクローズアップ。今回は、広島に本社工場を構える自動車メーカー・マツダの協力の元、貴重な工場の裏側に迫った!

“クレイ”という特殊な粘土を使って手作業で模型を作成! 通常時のクレイは硬く(右)造形していく際は45度〜50度に温めて使用する(=広島・マツダ本社) (C)oricon ME inc.

“クレイ”という特殊な粘土を使って手作業で模型を作成! 通常時のクレイは硬く(右)造形していく際は45度〜50度に温めて使用する(=広島・マツダ本社) (C)oricon ME inc.

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◆世界のTOP3に選出! 洗練されたデザインがすごい

 マツダと言えば現在、“車好き”として知られるアーティスト・奥田民生が企業CM曲を歌っていることでもお馴染み(民生も広島出身)。特にデザインに関しての評価が高く、昨年は世界各国のジャーナリストやデザインのエキスパートにより審査される『2013 ワールドカーデザインオブザイヤー』で新型の『マツダ アテンザ』がTOP3に選出。さらに、秀でたデザイン、ドライブフィールなどを持つクルマに与えられる『2013-2014日本カー・オブ・ザ・イヤー エモーショナル部門賞』を受賞するなど、国内外を問わず人気を集めている。

◆躍動的なデザインを“手作業”で立体化

 まずは、その洗練されたデザインの秘密を探っていこう。昨今のクルマ作りは、デザイン作成から車体作りまでの過程をすべてパソコン上で処理することが多くなってきているのだが、マツダは“クレイ”という特殊な粘土を使って手作業で模型を作成、デザインを立体化するという手法をとっている。そして今回は、そのこだわりのクレイルームを見学させていただいた。

 さまざまな動きのある造形を模索していたマツダは、2010年秋に今後のデザインテーマを統一し“魂動(こどう)”と定義することを発表。これは、生物が見せる一瞬の動きや強さ、美しさを表現したもので、クレイモデラーたちはデザイナーのアイデアを元にその肉体的な曲線美を手作業でカタチにしていく。

 魂動をテーマにしたマツダにおけるカーデザインの手順は、(1)テーマを象徴する“デザインオブジェ”を作成⇒(2)デザインコンセプトを決め、それに沿って外形や室内、カラー設計を行う⇒(3)外形や室内、カラー計画をクレイモデルを作り立体化する⇒(4)設計や生産技術と連携し、工場で製品化できる最終的な姿に仕上げる――というもの。

◆その場でトライ&エラー! 徹底議論で“最高の美”を追求

 見学させていただいたクレイルームでは、主に(3)の作業を行う。まず、1/4等のスケールモデルを製作し、ある程度の形が見えてきたらフルサイズモデルの製作へと移っていくそうなのだが、ここがポイント! マツダでは、クレイモデルを製作しながらデザイナーとクレイモデラーを中心に何度もディスカッションを重ね、「今までにない新しいクルマ作り」に全身全霊を注ぐ。そこで、クレイを使った“手作業”にこだわる理由は、即座にトライ&エラーができることだと言う。

 コンピューターで映し出す3Dのモデルと実物のモデルとでは“見た目の印象”も異なり、手作業で製作することで、その場でイメージを確認することが可能に。スピード感をもって議論を重ねることができるのだ。また、ディスカッションは、必ずお互いが顔を合わせた状態で実施。上下関係なく何でも言い合える“風通しの良い環境”を作ることが、最高の一台を作るためには必要なんだそう。

 マツダでは、そうやってこだわることで、クレイモデルにかける時間をしっかり設け、何度も作り直すためクレイの使用量がとても多いんだとか。そして、モーターショー等で披露される、デザイン重視のコンセプトカーと量産車との“差”を極限まで減らし、デザイン性に優れたクルマ作りを目指していく。

◆クレイ作業を体験! 匠の繊細な技に脱帽

 クレイにかける情熱に触れたところで、実際に触らせてもらった。常時のクレイは硬く、造形していく際は45度〜50度に温めて使用。そのため、室温は1年を通して常に23度程に設定されているそう。早速触ってみると、初めのうちは温かく柔らかい印象だったが、クレイの温度の低下とともにあっという間に固体へ。

 実際に造形作業も体験させてもらったが、どんどん硬くなってクレイを一定の薄さに塗りつけていくのは至難の業! 人差し指の内側に力を入れて塗っていくのだが、馴れていない筆者の指はすぐに悲鳴をあげてしまった(職人さんの指には証として見事な“クレイだこ”が)。塗り終わったら、今度は小道具で削り、造形していく。この工程も削りすぎてしまったり、デコボコになってしまったりと、素人にはまったく歯が立たず……。ましてや、曲線美を作り出すなんて気が遠くなる作業だ。

 クレイモデラーの助川裕さん、森脇由香さんにお手本を見せていただくと、お2人は何の躊躇もなく、クレイを塗って形を削り出していく。この仕事に就いて助川さんは21年、森脇さんは11年。仕事柄「子どもの夏休みの宿題などは見る目が厳しくなります(笑)」と森脇さん。どんな時に喜びを感じるかを聞くと、助川さんは「クレイモデルが完成した時はもちろん、街で完成した車が走っているのを見た時もすごく嬉しいですね」と笑顔で話してくれた。

 国内外で絶大な人気を誇るマツダのデザイン。それを支えているのは、情熱をかけ最高のモノを作ろうと日々磨きをかける匠たちの技。そして、生産者たちが注ぐクルマへの愛情のようだ。 ⇒【後編】塗装工場見学へと続く

【後編】マツダの赤色へのこだわり、“ソウルレッド”誕生秘話
マツダ 公式サイト

関連写真

  • “クレイ”という特殊な粘土を使って手作業で模型を作成! 通常時のクレイは硬く(右)造形していく際は45度〜50度に温めて使用する(=広島・マツダ本社) (C)oricon ME inc.
  • クレイモデラーの助川さんは、躊躇することなくクレイを塗り美しく造形していく(=広島・マツダ本社) (C)oricon ME inc.
  • 『魂動』をテーマにしたカーデザインでは、それを象徴する“デザインオブジェ”を作成(=広島・マツダ本社) (C)oricon ME inc.
  • デザインに定評のあるマツダでは、手作業でイメージを立体化! 1/4スケールモデル(左)とフルサイズモデル(=広島・マツダ本社) (C)oricon ME inc.
  • デザインに定評のあるマツダでは、手作業でイメージを立体化! クレイモデラーさんたちがオリジナルで作成した小道具(=広島・マツダ本社) (C)oricon ME inc.
  • デザインに定評のあるマツダでは、手作業でイメージを立体化! ハンドルなど、細部にわたってイメージを形にしていく(=広島・マツダ本社) (C)oricon ME inc.
  • デザインに定評のあるマツダでは、手作業でイメージを立体化! 何度もクレイを塗り、削って美しいボディを造りだしていく(=広島・マツダ本社) (C)oricon ME inc.
  • デザインに定評のあるマツダでは、手作業でイメージを立体化!(=広島・マツダ本社) (C)oricon ME inc.
  • デザインに定評のあるマツダでは、手作業でイメージを立体化! クレイモデラーの助川裕さん(左)と森脇由香さん(=広島・マツダ本社) (C)oricon ME inc.
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