“音楽の街”を世界にアピールする横浜

 約2ヶ月間にわたる大規模音楽祭『横浜音祭り 2013』が9月20日にスタートした。同イベントは今年が第1回の開催となり、クラシックからボサノバ、ロック、アニソンまで幅広いジャンルの公演を横浜市各地で開催していく。クラシックやジャズなど特定のジャンルに特化した音楽祭が多いなか、なぜこのような形態をとったのか、狙いを聞いた。

■オールジャンルで幅広いリスナーにアプローチ

 横浜アーツフェスティバル実行委員会が主催する音楽祭『横浜音祭り2013』が9月20日から11月30日の約2ヶ月間、開催される。期間内には横浜市全域のホールや特別会場などで270を超える催しが行われる。

 特徴は、2ヶ月という実施期間の長さに加えて、クラシックやジャズ、J-POP、アニソンなど、扱われる音楽ジャンルの幅の広さだ。コンセプトは「ネオクロスオーバー」、「開放感」、「アジア・世界へ」。これまでも数々の音楽祭に携わってきた総合ディレクターの新井おう子氏(「おう」は「鴎」の旧字体)は、「横浜という土地のもつ、“開放感のある音楽祭”を目指した」と語る。

 「世界中で音楽祭は行われていますが、どうしても限られた土地やジャンルに留まってしまうケースが多い。もちろん音楽祭の意味を明確にするという点では、そうやってテーマを絞り込むことも有効でしょう。ただ、せっかく横浜で実施するのなら、もっと広く、様々な音楽ファンを巻き込めるものにしたかった」(新井氏)

 イメージとしては、イギリス最大の音楽祭「プロムス」に近い。「ただ、日本流・横浜流にアレンジしたら、ジャンルの枠に留まらない形に行き着きました」と新井氏は説明する。

 こうした音楽祭のコンセプトは9月20日のオープニング・コンサートからも見て取ることができる。出演は指揮、サクソフォン奏者の須川展也とデーモン閣下という組み合わせに、横浜音祭り吹奏楽団(シエナ・ウインド・オーケストラ、神奈川フィルハーモニー管弦楽団メンバー、アジアの吹奏楽演奏家ほか)が加わる。

 演目は、映画『スター・ウォーズ』のメインテーマや、ラヴェル『ボレロ』などの耳馴染みのある楽曲から、『日本民謡による狂詩曲』(石川亮太)といった日本の伝統音楽と西洋のリズムを融合させた現代クラシックも演奏される、ジャンルをまたぐクロスオーバーな構成となっている。

 「この日は、ベルギーの人気作曲家ヤン・ヴァン=デル=ローストが手がけた新曲「横浜音祭り序曲」も見どころです。「帆船日本丸」で須川さんが指揮する、約1分半のファンファーレは横浜みなとみらい地区の複数会場でも同時演奏されます。まさに横浜を音楽で繋ぐ公演となります」

■コラボレーションも重視、新しい音楽に出会える場に

 新井氏は「音楽というツールを使って、地域の活性化を目指したい」と目標を語る。積極的に市民参加を募るとともに、公演自体も、音楽の質を追求するのはもちろん、ジャンルを越えたコラボレーションを重視しているという。

 たとえば11月13日に開催される『ヨコハマ・ポップス・オーケストラ野球シンフォニー』がその好例だろう。みなとみらいホールを野球場に見立て、実際の野球のゲームのように9回まで、9つのテーマで音楽を紹介する。高校野球の応援でよく聴く「タッチ」や「狙いうち」、横浜DeNAベイスターズの応援歌なども演目に含まれ、野球ファンや、親子にも楽しめるように構成されている。

 横浜市では今回の『横浜音祭り2013』のほか、現代アートの国際展『横浜トリエンナーレ』と、ダンスフェスティバル『Dance Dance Dance @YOKOHAMA 2012』といった1から2ヶ月間にわたる大規模イベントも開催。横浜らしい先進的な文化芸術の国内外への発信を目指していく。

 音楽フェスとしては第1回となる『横浜音祭り2013』がどのように地域と融合し、新しい音楽の出会いを創造していくのか注目したい。(ORIGINAL CONFIDENCE 13年9月30日号掲載)



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  • 数々の音楽祭を手がけた新井おう子氏(「おう」は「鴎」の旧字体)が、『横浜音祭り2013』総合ディレクターを務める
  • 世界へもアピールする『横浜音祭り2013』は11月30日まで、横浜みなとみらいホール、市内各所の文化観光施設ほかにて開催される

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