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アガサ・クリスティーはじめ世界の名作を紹介 『ハヤカワ・ミステリ』60周年

 海外のミステリ作品を紹介しようと1953年9月に創刊された早川書房の叢書「ハヤカワ・ミステリ」(通称:ポケミス)が60周年を迎えた。今年9月までに刊行された作品数は1775点、累計発行部数は1922万6774部に達した。

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 創刊1冊目は、ミッキー・スピレインの『大いなる殺人』。スーツやコートのポケットに入るというコンセプトから作られたポケット・ブック判(H184×W106)は当時、画期的なスタイルとして人気を博した。「ポケミス」もこの判型が由来。天地左右の小口が黄色く塗られた造本も、創刊当初から変わっていない。こうした特徴はアメリカのペーパーバックを手本にしたものだった。

 創刊初期は、作家の江戸川乱歩や「エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン(現ミステリマガジン)」初代編集長の都筑道夫氏が作品の監修、選定を手がけ、国内での翻訳ミステリの振興に大きく貢献。1956(昭和31)年には、本レーベルの出版として『第2回江戸川乱歩賞』を受賞している。

 『そして誰もいなくなった』などのアガサ・クリスティー、『Xの悲劇』などのエラリイ・クイーンら巨匠たちの作品、レイモンド・チャンドラー、ロス・マクドナルドらのハードボイルドの名作、「007号シリーズ」などのベストセラー作品など、途切れることなく世界の最前線を紹介。近年では、北欧ミステリ作品や昨年12月発行の『このミステリーがすごい!』(宝島社)で海外編1位に輝いたスティーヴ・ハミルトンの『解錠師』(アメリカ探偵作家クラブ賞受賞作品)、日本で映画化された『二流小説家』など、バラエティに富んだラインナップが続いている。

 同社では、創刊60周年記念企画として創刊から現在まで刊行されたハヤカワ・ミステリを集めた展示会を行う予定で、装丁の変遷をたどるだけでも見ごたえがありそう。創刊当初は具象画が多く、映像化作品にはスチール写真を使ったカバーがかけられた。その後、勝呂忠氏の抽象画へと変わり、長年「ポケミス」の表紙を飾る。2010年に勝呂氏が亡くなると、デザイナーの水戸部功氏にバトンタッチし、ブックデザインをリニューアルして現在に至る。

 60周年記念作品はジョナサン・ホルト(訳:奥村章子)の『カルニヴィア1 禁忌』(9月5日発売)。ベネチアを舞台にした壮大なミステリ三部作となっている。



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  • 1953(昭和28)年9月ハヤカワ・ミステリ創刊、1冊目はミッキー・スピレインの『大いなる殺人』
  • 60周年記念作品の『カルニヴィア1 禁忌』(著:ジョナサン・ホルト、訳:奥村章子)9月5日発売)
  • アガサ・クリスティー『愛国殺人』(207)
  • レイモンド・チャンドラー『長いお別れ』(260)

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