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洋画配給戦略に変化アリ 日米同時公開から時差公開へ

 アメリカン・コミックのヒーローが勢ぞろいした痛快SFアクション作『アベンジャーズ』が今夏、興行収入30億円超のスマッシュヒットとなった。これまで日米同時公開が主だった洋画シーンだが、同作の成功により、公開時期や、プロモーションにおけるローカライズ戦略などに変化が見られている。

『ハンガー・ゲーム』公開中 配給:角川映画 (C)2012 LIONS GATE FILMS INC. ALL RIGHTS RESERVED.

『ハンガー・ゲーム』公開中 配給:角川映画 (C)2012 LIONS GATE FILMS INC. ALL RIGHTS RESERVED.

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 8月に公開された『アベンジャーズ』は今年の洋画作品では最速で興行収入30億円の大台を突破するヒットとなった。“日本よ、これが映画だ!!”という挑戦的なコピーと大量スポットが成功要因の1つだが、その一方で、同作の成功によって、“日米同時公開”を検証し直す気運も業界に生まれてきている。

 『アベンジャーズ』を配給するウォルト・ディズニー・スタジオは、全米公開の5月から時期をあえて3ヶ月ずらし、アメコミというやや日本人に馴染みの薄い題材を理解してもらうために、プロモーションに時間をかけた。その努力が実を結んだかたちだ。9月28 日に日本公開される『ハンガー・ゲーム』も全米公開から時間をずらす施策がとられている。

 アメリカで3月に公開されたこの作品は爆発的なヒットとなり、9月2日現在で4億799万ドル超の興行収入を達成。社会現象となるほどの熱狂を生み出している。日本公開にあたって角川映画は、あえて全米公開から半年間のプロモーション期間を設けた。その理由について角川書店映像営業局映像宣伝部課長の板井亮氏は語る。

「アメリカでは原作がベストセラーでしたし、興行をお引き受けいただいたTOHOシネマズともども、公開前から、手応えは感じていました。いわゆるヤング・アダルト層を狙って、大成功した作品です。当社は以前、同じくヤング・アダルト路線の『トワイライト』シリーズを手がけた経験もあり、書店との連動で原作の認知度を上げる必要性を感じていましたので、ある程度の期間を設ける決定を下しました」

■吹替えでは水樹奈々や、神谷浩史を起用

 原作を出版しているメディアファクトリーが今年、角川グループの一員となったこともあり、全3巻からなる壮大な原作の発売を、劇場公開、DVD発売時期と連動させる手法が採られている。

「角川グループの映像作品は、書店が媒体というイメージで捉えており、宣伝メディア的な役割も担っていただいています。街頭広告に近い発想で書店の店頭を使わせていただく。これによって本、映画両方にとっての相乗効果となるわけです」

 書店を核としながらも、一般のプロモーションも段階的に展開する。

「作品をいかにローカライズしてヒットに結びつけるかという命題は、やはり時期をずらす戦略が効果的だと思います。『ハンガー・ゲーム』の場合、アメリカでの大ヒットを喧伝することでまず興味を喚起できますし、映画館に夏のヒット作を観に来た多くのお客様にトレーラーで広く認知させることもできました。さらにローカライズという意味では日本語吹替え版も大きな武器になります」

 同作では、吹替えの主要キャストを実力派でセレクトした。ヒロインには水樹奈々を起用、さらに神谷浩史を相手役に据えたのはアニメーションに精通する角川グループならではの発想だ。これが興行側からの好評を呼んでいるという。

 すでに第2弾の権利も角川映画が獲得しており、まずは本作のヒットが求められる。その結果次第では、公開時期やローカライズ戦略の議論もさらに進むだろう。(オリジナル コンフィデンスより)
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