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「音楽×アニメ」の相乗効果、次はジャズ

 ジャズファンの新規獲得に向けたアプローチがいよいよ花を咲かせそうな気配だ。コンピレーションやカバーアルバムなどでファン層を広げたが、4月からジャズをキーワードに展開する青春コミック『坂道のアポロン』のアニメ放送がスタート。『のだめカンタービレ』、『BECK』に続き、いよいよジャズでも「音楽×アニメ」の相乗効果が期待される。

『坂道のアポロン』の登場人物・迎律子を『女子ジャズ部員』に迎え、タワーレコードがジャズキャンペーンを展開

『坂道のアポロン』の登場人物・迎律子を『女子ジャズ部員』に迎え、タワーレコードがジャズキャンペーンを展開

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 ユーザーの反応をここ数年確かな手応えとして実感し、今年さらにジャズが大きなうねりになると予想しているのがタワーレコードだ。同社では2010年から“女子ジャズ”キャンペーンを企画。EMIミュージック・ジャパンの人気コンピレーション“コーヒー・ブレイク”で好調なセールスを記録すると同時に、廉価のジャズ名盤、またはマイルス・デイヴィスのベスト盤などで40%前後の売上アップがあり、ホワイト層が企画盤から旧譜に手を伸ばしていることが数字からも読み取れたという。

 また、“女子ジャズ”キャンペーンでは駒草出版との共同で『タワレコ女子ジャズ部のお料理レシピみたいな音楽案内』を刊行し、自社店舗のみならず、書店での展開も行い、1年に1度くらいしか来店しないライト層の発掘に尽力している。

 タワーレコード商品本部販売促進統括部の高谷信夫氏によれば、「ライト層に向けてはクロスセールスが重要になると考えており、駒草出版とのコラボで書店での展開を企画しました。理想としては女子ジャズ関連の本だけではなく、書店でCD販売も併せて行いたかったのですが、オペレーションの問題で今回は断念。今後はより広く展開していきたいと考えています」という。

 また、3月12日からの新たな“女子ジャズ”キャンペーンでは、アイコンに“迎律子”を起用した。彼女は、ジャズをモチーフに、随所で「モーニン」などの名曲が登場する人気マンガ『坂道のアポロン』に登場する女子高生。レコード屋の娘でもあるが、この『坂道のアポロン』はアニメ化されて、4月12日より放映開始(CX系)。音楽は菅野よう子氏が担当し、アニメ版のサントラのリリースも控える。物語の舞台は1960年代。その時代設定も相まって、“女子ジャズ”キャンペーンで年代別購入比率が倍増している40代、50代へのさらなる波及も期待される。

 また、アニメ化40周年の今年、27年ぶりに『ルパン三世』の新シリーズ『LUPIN The Third 〜峰不二子という女〜』(NTV系)が4月4日から同じく深夜枠でスタートした。この番組の音楽を担当するのが菊池成孔氏で、こちらも大いにホワイト層へのリーチが期待されている。

 さらにノラ・ジョーンズ、エスペランサの新譜があり、ライト層に人気の現役アーティストのオリジナル・アルバムのリリースも続く。昨年まで企画盤やキャンペーンなどでメーカー、ディーラーがそれぞれ布石を打ってきたジャズが、アニメという最強コンテンツとともに展開されることで、企画盤、新譜、旧譜の三つ巴で今年大きな訴求力を発揮。潜在マーケットをより広く、そして深く掘り下げることになりそうだ。
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