ORICON STYLE

2005年03月23日


 120万枚を越える大ヒットを記録したアルバム『MY STORY』(04年12月発売)が、クラシックアレンジをまとって『MY STORY Classical』として誕生する。日本クラシック界のみならず世界を代表する指揮者、佐渡裕を監修・指揮に迎え、パリ・ラムルー管弦楽団が演奏。そして著名作家陣が編曲、島健がピアノと編曲を担当した、なんとも贅沢で豪華な作品だ。しかもリリース当日に開催される愛知万博"愛・地球博"の開会式歌唱曲「A Song is born」のインストも収録している。
 そもそも『MY STORY』は、浜崎あゆみ自身の内面や本質に迫った渾身の作品だった。アーティストとしての芯の強さはもちろん、その裏側にあるもろさや本心も解き放っている。アグレッシヴなエレクトロニカや、生々しいバンドサウンドは今まで以上に迫力を増し、歌詞のリアルさと自信に満ちた歌声が誇り高く響く。その楽曲がオーケストラアレンジされて『MY STORY』の分身が生まれた。このアルバムは、クラシックを敬遠しがちな人にもなじみやすく、むしろ世界観の変化に興味を持たずにはいられない出来映え。しなやかで優しいストリングスやピアノの音色はオリジナルとは真逆の印象を持ちながら、浜崎あゆみのヴォーカルが流れることで、また新たな世界観が完成した。
「音楽の魅力、声や精神的なことはもちろん、いろんな雰囲気を醸し出せる。いつでも“浜崎あゆみ”という存在がいて、エネルギーを保ちながらどんどん形を変えていく人ですね」
 浜崎あゆみの魅力をこう語る佐渡裕は、『MY STORY』をどう“Classical”に変えたのか。ヨーロッパの超一流オーケストラからのオファーが絶えない彼に『MY STORY Classical』の輪郭を紹介してもらった。

──『MY STORY Classical』の指揮・監修をされたいきさつを教えてください。
【佐渡】 今年の1月半ばに、愛知万博の開会式で浜崎さんとご一緒しようというお話からスタートして、2月の頭にはオーケストラの録音を始めていました。『MY STORY』から感じとった僕のイメージを9人もの編曲者に伝えてアレンジしてもらいました。限られた時間でもすごくいいアルバムができたと思います。

──リスナーの耳に鮮明に残っている『MY STORY』をかなり大胆に作り替えていますが、アレンジをするにあたってイメージしたのはどんなことでしたか?
【佐渡】 『MY STORY』の音の魅力を見つけることから始めました。ビートを刻む音や、エレクトリックなポップスの在り方は非常に刺激的で、それをオーケストラで演奏するとはどういうことかを考えたんです。そこで、あゆさんが作った「WONDERLAND」(インスト)という、アルバムの背景のような1曲にしても、オーケストラでとんでもない曲にしてしまおうと(笑)。オリジナルを知っている方は驚くと思いますよ。それにオーケストラは、機械のように定められたテンポでは演奏できないものなんです。演奏者がノってきたらテンポが速くなったり、音がリラックスしていたら緩んでいったりする。そんな水の流れの変化のような、人の呼吸がこのCDの中にはたくさん入っています。

──そこで佐渡さんの指揮はどんな役割を果たしているのですか?
【佐渡】 僕の仕事は、ベートーベンみたいな200年前に作られた譜面をただ再現するのではなくて、大勢のお客さんにおもしろいと実感してもらうことが一番大事なんです。たとえ一週間前にアレンジされた曲であろうが、2ヵ月前にリリースされた曲であろうが、200年前に地球の裏側で作曲された曲であろうが、僕の手元にある譜面が“今の瞬間”なんですよ。それをいかに手応えのあるものにするかがすべてですね。『MY STORY Classical』なら、各アレンジャーから見た曲のイメージを汲み取って演奏者に指示を出して、その場で音を作っていくのが指揮者の役目なんです。

──では、このアルバムの聴きどころを教えてください。
【佐渡】 あゆさんの歌も素晴らしいし、何十人というオーケストラの演奏者それぞれに担当楽器があって、しかもジャンルを超えて生の音を作っているおもしろさがあります。今までのあゆさんのイメージとは違う一面を感じてもらえるし、今まで聴いたことがない人も必ず好きになれる曲が、このCDによって生まれてくると思います。
(文・井桁学)
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