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──「宇宙飛行士への手紙」は、「R.I.P.」や「魔法の料理 〜君から君へ〜」の流れを汲むような、メンバーが歩んできた物語とリスナーそれぞれの物語が温度差なく同居するような感触に満ちています。20代から30代になった、今の季節だからこそ色濃く顕われる世界観なのかなと思いました。
【藤原】 そうですね。誰もが必ず過去と対峙しなきゃいけないときがあると思うんですけど、僕らの場合はこの4人でホントに濃密な時間を過ごしてきたので。だから、4人でずっとやってきたバンドで、音楽で、そういうところに目を向けられるのはすごくうれしいことなんです。
──この曲はどのような流れで生まれたんですか?
【藤原】 まずプロデューサーから“4つ打ちの曲をつくってほしい”というお題が出て。それを受けて、ギターを持って、BPM(ビート・パー・ミニット)を決めて、コードを弾きながら唄っていたら、メロディと一緒に歌詞もスラスラ出てきたんです。最近はそうやって曲と歌詞がほぼ同時にできることが多くて。
──3人が最初にこの曲のデモを聴いたときの感想は?
【直井】 さっき藤くんが話していた、バンド4人で過去と向き合っていけることの喜びは、メンバーそれぞれが同じように感じていること。そんなときにこの曲が上がってきたので、いろいろな記憶が鮮明に蘇りましたよね。リスナーのみなさんにも自分の曲のように聴いてもらえれば最高ですね。
【升】 スッと自分のなかに入ってくる感じがありました。僕ら4人が共有している記憶が多いからそういう現象が起きるんだと思うし。でも、(藤原が書く曲は)いつもそうだけど、いろいろな人にも届く普遍性がこの曲にもあると思います。
【増川】 こういう曲を4人で鳴らすことができること、それをリスナーに届けることができることがすごく幸せです。

──「モーターサイクル」は、BUMP OF CHICKENというロックバンドのクリエイティビティが、ダイナミックに、キャッチーに響いてきます。
【藤原】 この曲は昨年の4月に「魔法の料理 〜君から君へ〜」が書けて、それから1週間もしないうちに書けた曲なんです。ずっと「魔法の料理〜」の濃厚な匂いのなかにいた時期だったんですけど、一気に切り替わって、そのときに思っていたことがポロポロと出てきて曲になったんだと思います。この曲の歌詞に関しては、とくにあれこれいうべきじゃないという気持ちが大きいですね。
──そういうムードが歌詞にもそのまま顕われていますよね。
【藤原】 そう、だからそこはいわずもがなという感じなんですけど。
──サウンドを牽引する変則的なビートが、この楽曲の心臓になっていると思います。
【升】 はじめて聴いたときは“カッコいいな!”のひとことでしたね。しばらくしてから“あ、このドラム、俺が叩くのか!”と(笑)。
【全員】 (笑)。
【升】 でも、これを生で叩けたら絶対カッコいい曲になるなってデモの段階で確信しましたね。
──アルバムに向けて制作は順調に進んでいますか?
【藤原】 はい。順調に今まで書き続けてきた曲をレコーディングしています。その合間に新しい曲も書いています。僕らとしては、早くみなさんに届けたい気持ちでいっぱいです。
(文:三宅正一)

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