ORICON STYLE

2007年11月14日
より子 SPECIAL INTERVIEW
あなたは音楽で涙したことがありますか・・・?!思わず涙するより子の音楽の秘密に迫る!!

自分自身の鍵にもなっている曲

 音楽とは作り手の精神世界を他者に感覚として伝える手段である。だからこそ、そこに作り手の生き様を垣間見ると、心の琴線が鳴り響いてしまう。より子が今作り出している音楽には、そんな楽曲が多い。

「音楽への向き合い方は昔と変わっていないんですよ。最初は人のために歌うというよりも、自分に向かって歌うという感じで、歌うことによって自分を保っていました。でも、最近は、表に形を作り出すことができるようになって。人のためにも歌えて、自分のためにも歌える、その両方ができるようになったんです」

 大きなきっかけはツアーを全公演キャンセルにするほどの大病をして、入院をしたこと。そこでは「病気との闘い」だけでなく、「歌えない辛さ」も味わった。実は、それだけでなく、より子は幼少期に小児ガンを患い、病院で多くの時間を過ごした経験も持っている。生死を扱う環境のなかで過ごすことで、普通の23才の女性が感じる以上の人生経験や感情の機微を体験したことが、現在の音楽にも影響しているといえるだろう。実際に彼女が歌っていることは個人的なことで、「ココロの鍵」も大切な友人を元気づけるために書いた曲だ。

「同じような体験をした人がいるかどうかなんて、曲を作っているときには考えないんですよね。でも、個人的なことを歌えば歌うほど響くんです。しかも最近は、それをわかりやすく伝える術を手に入れた。曲って、できてみるまで何が起こるかわからないんですよ。この曲自体もできてみるまではこんなに大きな曲になるとは思わなかった。アルバムにも入らないんじゃないかって思いながら、本当にその友人のためだけに書いたんです。言葉にできないから、“どうやって伝えたらいいんだろう?”って。そのときに私にできるのは曲を作ることだと思って作ったんです。その友人以外に“聴いてくれる人はいるのかな?”って思いつつ、ライブで歌っていました。でも、インストアイベントで歌ったら、この曲のときに一番人が集まってくるんです。ものすごくビックリしました。私にいろんなきっかけをくれた曲で、“鍵”ってタイトルにもありますが、自分自身の鍵にもなっている曲なんです」

心同士で直接触れ合える、それがより子の音楽

  この曲をきっかけに、「その友達がとても元気になってくれたんですよ」と、より子は笑顔を向ける。でも、同時に、音楽がここまで人に影響を及ぼしてしまうことの怖さも感じたのだという。

「責任感を感じました。でもこういう人の背中を押すような曲こそ、私が歌うべきものなんだっていうのもハッキリわかりました。実はこういう曲は、自分が歌っていても苦しかったりするんです。何かちょっと違う部分を使うらしくて(笑)。“気”を伝えるというか。最近では、無理なく歌えるようになったんですけど、それはきっとライブでお客さんからのパワーが私に入ってきて、循環しているからなんだと思うんです。それを感じられるようになったから、無理なく歌えるようになったんだと思います」

 まるで魂同士でやり取りをしているような感覚があるからこそ、彼女の歌が泣けるのではないのか。思考を飛び越えて、心同士で直接触れ合える、それがより子の音楽なのだと思う。

(文:大橋美貴子)