ORICON STYLE

2006年05月31日


アンジェラ・アキ SPECIAL INTERVIEW
10年の時をかけた1stアルバムとは
コンプレックスから始まったものがアイデンティティとなった

――ついに1stアルバムが完成しました。きっと長い活動歴のなかで1stアルバムのイメージは描けていたと思うんですが。
【アンジェラ】 はい。アメリカで音楽を始めて、もう10年ぐらい続けてきて、これが1stアルバムですから、すごく感慨深いし、完璧なものを作りたかった。でも、どんなに頑張っても100%理想のアルバムにはならないっていうか。まぁ、それも人間味あふれていて、いいかなぁ、と(笑)。ただ、曲のクオリティーという意味では自信があります。本当に好きな曲、一生ずっと歌っていけると勇気をもって言えるだけの曲しか入れたくなかったんですよ。私にとっての“Home” になるアルバムだと思ってるんで。だから、自分が目指してきたものの集大成であり、本当の意味でのスタートになるアルバムだと思うんです。

――目指してきた10年の間には、うまくいかない時期もあったと思うけど。
【アンジェラ】 アメリカのバーのような所で誰も聴いてないような状況でライブをやったり、本屋さんの隅っこにピアノ置いて歌ってた時も、この前ワンマン・ライブで歌った時も、(観客と歌で)繋がる感覚っていうのが絶対にあるんですね。それは1対3でも1対1000でも同じで、本質はあくまでも1対1。私が歌を通じてお客さんの1人1人に思いを届けると、1人1人からもパワーが返ってきて、私はそれをもらう。今まで歌い続けてこられたのは、それがあったからです。生まれ育った日本でも、15歳で渡ったアメリカでも、いつもどこか疎外感を感じて生きてきたけど、そんな中で誰かと繋がれる唯一のパッションが歌だったんです。そうしてコンプレックスから始まったものが自分のアイデンティティとなり、個性となり、強さになった。その旅がこうしてひとつの形になったんだから、愛着がありますね。

ピアノと歌という最小限の形が私の軸であって、芯なんです

――以前、“自分の音楽の核であるピアノと歌がしっかりとあれば、どんなサウンドでも身にまとえる”と言ってましたよね。アルバムも同じポリシーで?
【アンジェラ】 そうですね。ピアノに向かって歌う時の心の在り方というのは自分を映す鏡なので、ピアノと歌という最小限の形が良くも悪くも私の軸であって、芯なんです。だから、時には強くて、時には脆くて、時にはどうしようもなくて(笑)。

――そんな13曲が、どんなふうに伝わってほしいですか?
【アンジェラ】 たとえ大切な家族や友人、恋人と一緒にいても、人間は孤独を感じてしまいますよね?そんな個と個を繋ぐものになったらいいなとは思いますけど、それじゃ凄い大層なことをやってるみたいだし、健全すぎるかな(笑)。自分で言うのもなんですけど、けっこう矛盾してるようなことを歌ってるし・・・。

――「奇跡」では“愛が生き返る奇跡を待ってる”と歌ってるのに、先行シングルでもある「This Love」では“奇跡を待つよりこの手をつなぎたい”と歌っていて・・・。
【アンジェラ】 そこ、絶対に突っ込まれると思ってた(笑)。でも、どっちの自分も本当なんですよね。だからなんていうか、たとえばお酒を飲んでる時に、誰かのほんのささいな一言でビビッと繋がる瞬間ってあると思うんだけど、それに似てるのかもしれない(笑)。私の歌にそんな瞬間を感じてもらえたらいいな、と思いますね。愛がテーマではあるけど、いろんな側面から見られて、いろんな楽しみ方ができる13曲だし、歌っているのはきっと誰もが感じるようなことだと思うんで、ぜひ聴いてみてほしいですね。
(文:染野芳輝)