7月期、民放連ドラ特集!新たな“ヒットの方程式”が誕生!?


 大ヒット作の続編などが多数ひしめく中、蓋をあけてみると“大穴”『半沢直樹』が高視聴率を連発! 独走状態をキープしている。今回は改めて同作の魅力を紐解くと共に、明暗を分けた各作品について検証!! 新たな“ヒットの方程式”について考察していこう。


“泥臭い群集劇”が女性視聴者をも魅了

 主演を務める堺雅人の鬼気迫る演技、重厚かつ良質なストーリーライン、脇を固める個性豊かなキャスト陣、そのすべてが絶妙に絡み合い社会現象を巻き起こしている『半沢直樹』。8月11放送の第5話では、今年放送のドラマで最高となる29.0%を獲得。半沢の決め台詞「やられたら倍返しだ!」も流行語大賞にノミネートされる可能性まで出てきた。

 “主演キャラ立ち”、“巧みなストーリー展開(脚本)”、“個性豊かなキャスト陣”、これらをすべて兼ね備えているのだから、ヒットは当たり前!と断言するのは、あくまで結果論でしかない。放送前に同作がこれ程ヒットするとは、視聴者、メディアはおろかTBS自体も想定していなかったはず。現に同作の演出を手掛ける福澤克雄氏も序盤からの高視聴率連発には素直に驚きを露わにしていた。

 同作は初回から視聴率19.4%という高い数値を記録。直木賞作家・池井戸潤氏の同名小説が原作というブランド力はもちろん、主演の堺が4月に女優の菅野美穂と“電撃婚”を果たし世間を驚かせたことも少なからず初回放送への影響があったと思われる。だがそれは、あくまでも“とっかかり”であり、クオリティの高い初回放送を観た視聴者、特に女性視聴層を大いに満足させたことが継続しての高視聴率の要員だ。

 数年前までのヒットドラマといえば、女性ウケするイケメン俳優が主人公、感情移入できる、もしくは憧れの対象となるヒロイン、そして最新のカルチャーを取り入れるなどが必要不可欠であった。だが、『半沢直樹』にはそれらの要素が全くと言っていいほど当てはまらない。バブル期に銀行に入社した主人公、半沢の波乱に満ちた日々が綴られていくストーリーの特性上、シーンの大半が中年男性たちの密室劇。上戸彩、壇蜜なども出演し華を添えてはいるが、あくまでもメインは男社会の中でプライドを捨てて這い上がる様を描くことなのだ。

制作者側の思い込みによる“ヒットの方程式”は通用しない

 では、なぜそのような“泥臭い”作品に女性視聴者が魅了されていったのか? 演出の福澤氏は以前のインタビューで今作の制作意図として「最近のドラマは視聴率を意識するあまり、女性層に受けそうな設定やキャスティング、ストーリーが目立つ。でも、それらは大抵、制作者側の思い込みでしかありません。今回はそうした発想は捨てて、ドラマの原点に戻り、明快で面白いものをつくりたいと考えました」と答えている。

 女性視聴者をいかに取り込めるかがヒット作のカギを握っていることは今も昔も変わらない。だが、女性視聴者が真に望むものは、やはり“明快で面白いもの”なのだ。イケメンの主人公やきらびやかな最新ファッションに身を包んだヒロインの存在は、あくまで付加要素でしかなく、“土台”ではないのだ。良質な作品を作ろうという欲求がまず土台になくては視聴者にバレてしまう。

 そのような意味で言えば、『半沢直樹』は、小気味いい台詞回しや場面転換の早さ、挿入音楽の使い方も含めて視聴者に息をつかせない。そこに、北大路欣也ら豪華なキャストはもちろん、ミュージカル俳優・石丸幹二や歌舞伎俳優の片岡愛之助らが、けれん味溢れる悪役を好演・怪演するのだから、まさに鬼に金棒といったところ。

 ここ数年、先に挙げた“ヒットの方程式”が崩れ、番組制作者側が新たな方程式を模索するなか、光明をもたらしたのが、『相棒』のヒットだろう。また、最終回視聴率が驚異の40%を記録した『家政婦のミタ』にも同様のことが言える。原点回帰とも言える“明快で面白いもの”を作ることは、単純だからこそ難しい。各局のドラマ制作者たちも、日々その目標に向かって苦心している。だが「半沢直樹」の躍進を見ればわかるように、良質な作品が十分生み出せる土壌がテレビ局にあることが証明されているのもまた事実。視聴者の願望と自分たちが本当に面白いというものを上手く交差させた良質な作品群の誕生を今後も期待したい。

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