2012年 上半期本ランキング発表!ロングセラー続出!次なるヒットの息吹も

テレビ情報番組から美容・健康本がロングヒット

 2011年の年間ランキングでもTOP10にランクインしていた『寝るだけ! 骨盤枕ダイエット』『体脂肪計タニタの社員食堂 500kcalのまんぷく定食』『続・体脂肪計タニタの社員食堂 もっとおいしい500kcalのまんぷく定食』『樫木式カーヴィーダンスで即やせる!』『樫木式カーヴィーダンスで部分やせ!』がいずれも、この上半期のBOOK総合部門でも上位に食い込んだ。

 書籍のヒットのカギを握っているのは、やはりテレビをはじめとするメディアでの報道だ。樫木裕実氏によるカーヴィーダンスは、今年2月に発売された最新作もTOP10の一角を形成。彼女自身がさまざまな番組でアピールしていることもあり、裾野はさらに拡大の一途をたどっている。ダイエット運動の大ヒットシリーズとして向かうところ敵なしの状態だ。同じく『骨盤枕ダイエット』も、本のヒットとともにメディアでのクローズアップが進み、それがさらなる部数増に結びついている。メディアだけでなく、一般ユーザーへの直接アプローチを行なったのが『タニタの社員食堂』。今年1月に東京・丸の内に開店させた“リアル”なタニタ食堂への反響の高さは、店舗へのリピートのみならず、本の売上げにも大きな貢献となった。

 このように、メディアでのピックアップが1年以上前の作品への注目度を高め、ロングセラーへと結びついているのが、近年の大きな傾向といえるだろう。ダイエットものと同じく、多くの人が苦手としている“部屋の整理”においては、“こんまり”こと近藤麻理恵の『人生がときめく片づけの魔法』が強い。2011年1月の発売でいまだTOP3に顔を出しているところに支持層の厚さを感じる。

『ONE PIECE』の牙城を脅かす存在は?

 『ONE PIECE』の桁外れの強さが目立つとともに、上位7作品までを独占した集英社のヒットメイクぶりに改めて驚かされたコミックランキングだが、コミック→アニメ→コミックというフィードバックとは異なる、実写映画化→コミックという新規ファンの開拓でセールスを跳ね上げている作品も少なくない。『テルマエ・ロマエ』『僕等がいた』の映画を核としたメディアミックス戦略が、下半期にどう実を結ぶのか、注目したい。

 そのほかにも、1作ごとにファン層を拡大している『進撃の巨人』、マンガ大賞2012での大賞受賞で注目度が格段に上がった『銀の匙 Silver Spoon』など、今年の後半にさらなる飛躍が期待できる作品も目白押し。『ONE PIECE』の牙城を脅かす存在は生まれるのか、引き続き年末発表の年間ランキングまで目が離せない。

ミステリー&アカデミックが次なるブームに!?

 本屋大賞の受賞作に対する認知度の高さはすっかり定着したようだ。今年も三浦しおんの『舟を編む』が受賞後にセールスを伸ばしてきた。いまや外すことのできない大きな“冠”となっている。

 その本屋大賞で大賞受賞こそならなかったものの、文庫では初の最終候補作に選ばれた三上延の『ビブリア古書堂の事件手帖〜栞子さんと奇妙な客人たち〜』シリーズが、上半期の文庫ランキングをけん引した。ミステリーのパズル性と古書を題材にしたアカデミックな知識性、さらに登場するキャラクターの個性が絶妙に溶け合っており、このところ“ミステリーブーム”が巻き起こっているテレビドラマシーンにおける、次なる“本命”といえる存在かもしれない。

 同じく本屋大賞で完全に人気作家となった湊かなえも、2月に文庫化された『少女』が同ランキングで4位。ビッグヒットとなった『告白』の後に書かれた著者2作目の小説だが、現在未文庫化の作品もあり、今後の文庫市場において、東野圭吾と並ぶヒットメーカーとなるだろう。

 村上春樹『1Q84』の文庫化も今年前半の大きなニュースだったが、集計期間ぎりぎりの4月・5月発売であるにもかかわらず、軒並み上位にランクインし、そのポテンシャルの高さを見せつけた。こちらも年末に発表となる年間ランキングでの順位に期待が高まる。

(文:田井裕規)