松本人志監督による話題の映画『R100』。長年、松本を支えてきたブレーン・倉本美津留が今作の魅力、さらに鬼才・松本人志の内面をとことん語ってくれた!!

(松本も)最初は映画監督になるという気持ちは無かったんじゃないかな

倉本美津留
倉本美津留

──倉本さんは第一作目の『大日本人』から“企画協力”として、松本作品に関わっていますが、『R100』ではどのような役割だったんですか?
【倉本美津留】 毎回ちょっとずつ役割は変わってるかもしれないけど、監督が考えやすい環境を作るということが役割ですね。「どんな映画がええかな〜」っていう雑談レベルのところから始まって、色々なことを話し合いながら、(監督の中に)埋まっているものを掘り出していく作業というかね。   ──それは、これまでにバラエティで数多くの企画を作ってきた作業と変わらないということですね。
【倉本】 そうです。映画だからと言って特別なことをしているワケではないんですよ。コント作るときも舞台作るときも、ずっとそういう風に作ってきました。 ──今作で松本監督は、もう一度『大日本人』の頃に戻って、映画の構造を破壊したいと仰っていましたけど、当初の段階からその認識は一致していた?
【倉本】 そうですね。とにかくメチャクチャにしてやろうと(笑)。確かに『大日本人』は、映画の根底を覆すということをテーマに作っていたので、今回も近いかなとは思います。基本的には映画という“ジャンル”自体を壊すというか。今は彼も映画監督と呼ばれるようになりましたけど、最初は映画監督になるという気持ちは無かったんじゃないかなって思うんですよ。新しいジャンルを作りたいという気持ちでずっとやってきた人だから。 ──ジャンルを壊す、もしくは新たなジャンルを構築するというのは、確かにこれまで松本さんが行ってきたことですよね。
【倉本】 でっかいスクリーンで新しい表現をという気持ちしかないと思うんです。これは過去3作品にも共通することで。撮影時には当然、カメラマン、美術さん、進行の方とか、映画の制作スタッフが集まるワケですよ。だから、最初は皆とまどってましたね(笑)。「ちょっと、こんなの出来ないな」って顔してた(笑)。『さや侍』も他の作品に比べて映画的と言われてたけど、素人のオッサンを主人公に置く時点で普通の作品ではないですからね(笑)。

当然、新しいことをやろうとすれば反発は生まれる

倉本美津留

──撮影所のセオリーがある中で、映画のセオリーを壊す作品を作っていくのは、軋轢を生む危険性もありますよね?
【倉本】 まぁ、伝統的なやり方を重んじている人にとっては「何をやってるんだ!?」ってなりますよね。でも、その都度その都度で、スタッフの皆さんも面白いモノを生んでいるなって、一緒にやりながら発見してくれるんです。だから映画界で新しい可能性を模索している連中が“松本組”としてずっとやっているんです。 ──映画の新境地を一緒に体現していく、ある種の“共犯関係”にあるんですね。
【倉本】 彼(松本)の言葉ですが、「誰も見つけたことのない大陸を発見する」という事なんですよね。カテゴリーにこだわりは無い。“見たことが無い景色”を探す作業といういのは辛いこともあるけど大事だと思う。大げさなことを言えば、“文化を生む”キーパーソンだし、松本人志本人もその責務を背負っているというのは感じざるを得ないというか…。一緒にやらせてもらっていて幸せなことです。 ──松本さんは一貫して映画ではコメディ作品は作らないと公言してきました。この真意は倉本さん自身、どのように捉えているんでしょうか?
【倉本】 従来のコメディ映画と一緒に括られる危険性があるので、分かりやすく「コメディは作らない」と言っていると思うんですよ。元々、テレビでも従来通りの“コメディ”は作ってこなかったじゃないですか? 常に笑いの実験を繰り返してきた人だから。その繰り返しは、アートに近い。 ──芸術家の衝動に近いというワケですね。
【倉本】 うん。ダダイズムだったりシュールレアリズムに近い。彼自身はそんなこと意識したことはないと思うんだけど。 ──ダダイストたちも最初は“大人たち”から非難を受けながらも芸術として認知されていったワケですよね。
【倉本】 そうそう、全く同じ(笑)。当然新しいことをやろうとすれば反発は生まれるから。それは、これまでにも彼は散々体感してきたことだから。 ──そこで松本さんは、“大人たち”を黙らせて大衆から圧倒的な支持を集めた。
【倉本】 入念にやっていたからねぇ(しみじみ)。テレビでは、自分の感性のままに表現したら受け入れられないだろうという認識が(彼には)あったと思います。だから、もうちょっと皆がこちら側に来やすい表現ということを丁寧にやっていた。それで、段々と引き寄せていって自分のコアの部分を見せていくという。 ──視聴者の笑いのセンスを徐々に育てながらというか(笑)。
【倉本】 そうですね。いきなり高等数学見せても分からない。足し算や引き算を織り交ぜながら、この辺でいいかな?ってときにとんでもない方程式持ってきたりする(笑)。 ──その松本人志が生み出した新しい笑いに影響を受けた人が様々な業界にいますよね。
【倉本】 お笑いはもちろんだけど、音楽だったりアートだったり。

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プロフィール


くうきにみつる1stミニアルバム
『はにほへといろは』
2013.11.20(水)発売

倉本美津留(クラモト ミツル)
1959年6月2日生まれ。AB型。放送作家・作詞放送作家。
「ダウンタウンDX」Eテレのこども番組「シャキーン!」ひかりTV「初音ミクのミクミクメイクミク!」などを手がける。これまでの仕事に「ダウンタウンのごっつええ感じ」「M-1グランプリ」「伊東家の食卓」「たけしの万物創世記」他。脚本協力で携わった松本人志監督の最新映画「R100」が公開中。近著にことば絵本「明日のカルタ」(日本図書センター)、「ビートル頭」(主婦の友社)がある。また、ミュージシャンとしても活動。2013年11月20日には空気公団とのユニット"くうきにみつる"のアルバム「はにほへといろは」をリリース予定。

OFFICIAL SITE  くうきにみつる詳細情報

インフォメーション


配給:ワーナー・ブラザース映画
©吉本興業株式会社

『R100』 ワーナー・ブラザース映画 公開中
サラリーマン生活を送る片山(大森南朋)は、家庭や仕事のストレスから、1年という期限付きでミステリアスなクラブへの入会を決意する。入会の際の条件は、たとえ何があろうとも途中で退会することはできないという内容で、様々な“女王様”たちが片山を襲う。職場や家庭にまで忍び寄る女王様に反逆の狼煙を上げる。

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Vol.17 後藤輝基
 『フット後藤の“ツッコミ論”』(2011年08月10日)

Vol.16 藤森慎吾
 『次の“標的”は少女時代で決まり!!』(2011年08月03日)

Vol.15 松本人志
 『笑い道とは“裏切り”と見つけたり』(2011年06月09日)

Vol.14 板尾創路
 『“鬼才”板尾創路の願い』(2011年05月25日)

Vol.13 間寛平
 『間寛平が被災者に笑いのエール!』(2011年05月12日)

Vol.12 椿鬼奴
 『大ブレイクに困惑!?“素顔”の椿鬼奴』(2011年04月27日)

Vol.11 アジアン
 『よしもとべっぴん&ぶちゃいく 揃って1位のアジアン登場!!』(2011年03月24日)

Vol.10 藤原一裕×家城啓之
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 『R-1王者・佐久間一行、優勝後最速インタビュー』(2011年02月16日)

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Vol.7 ブラックマヨネーズ
 『ブラマヨ、今後の野望語る!』(2011年02月02日)

Vol.6 今田耕司×鈴木おさむ
 『今ちゃんの“変態願望”が明らかに!?』(2011年01月26日)

Vol.5 楽しんご
 『現在、大ブレイク中の楽しんごが登場!』(2011年01月19日)

Vol.4 スリムクラブ
 『M-1で人気爆発! スリムクラブとは何者か!?』(2011年01月12日)

Vol.3 笑い飯
 『M-1覇者・笑い飯に“最速”インタビュー!!』(2010年12月28日)

Vol.2 宮川大輔
 『すべらない話の“作り方”』(2010年12月22日)

Vol.1 M-1グランプリ
 『今年のM-1決勝進出者決定!どこよりも早い進出者“最速”インタビュー』(2010年12月15日)

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