

――連続ドラマとしてスタートしたとき、こんなに長く続くストーリーだと想像されていましたか?
【真木】 はい(即答)。すごくおもしろかったから。あんまり、自分の作品を観て!ってガツガツ言わない方なんですけど、『SP』は本当におもしろいという自信があったから、いろんな人にいいよって話したりして。そこから実際にドラマを観てファンになってくれた人もたくさんいましたし、ドラマだけで終わりじゃないだろうなって何となく思っていました。
――シリーズ完結編となった本作の撮影で、ラストに向かう気負いのようなものは感じていましたか?
【真木】 自分のなかでは、最後だからと特別に意識したことはありません。ただ、前作の『野望篇』から撮影が続いていたのが幸いしたのか、キャスト、スタッフみんなの、おもしろい作品を作ろうという意識が高まって、そのテンションがいい方向に働いていたとは思います。SPの衣裳を着ると、あまりかわいい顔で笑えなくなるっていうか、ちょっとクールになるんですけど(笑)、クランクアップのときは泣いちゃいましたね。そういうときって私、ほとんど泣かないんですけど。
――岡田さんが「笹本が一番強く、カッコ良くみえた」と絶賛した『野望篇』でのダイナミックなアクションシーンから、本作では、第四係の面々と連携して繰り広げるソリッドな格闘シーンへと、アクションの難易度もさらに高くなっていますね。
【真木】 記者クラブ内での格闘シーンにある女性同士のファイトは、私も(青池役の入山)法子ちゃんもアクション経験がないので、練習を重ねて撮影に臨みました。周りの男性たちがしっかりしたアクションのできる人たちばかりなので、女のファイトがカッコ悪いと台無しにしちゃうから。キャットファイトにみえないように、ふたりでものすごくテンションを上げて。いい画が撮れるんだったら、実際に当たってもいいやって、お互いに全然遠慮することなく、本気で格闘しました。

――岡田さんからは、どんなアクション指導がありましたか?
【真木】 とにかく女性が人を投げるアクションが芝居にみえないようにしたいと思っていました。でも経験がないから、流れの中で例えばパンチにウソが出てしまうときがある。そういうときは彼に相談して、「真木ちゃんが蹴りの方がいいんだったら、そうしようか」って変更プランを考えてくれたり。現場で変わったアクションシーンはけっこうあります。青池とのファイトの後に、男の人をつかんで投げるというアクションもあって、そこは苦労しました。相当努力しないと、本気にみえないから。……もうちょっと練習したかったなって思いますね。岡田くんがあれだけ鍛錬して挑んだ作品なので、自分も1年くらい練習をしてから挑みたかった。やっぱりアクションって、やったらやっただけ成果が出るという爽快感があるので。
――射撃の元オリンピック候補選手という笹本の肩書きが活きた、国会議事堂での銃撃戦など、アクションもさることながら、正義に対するストイックなスタイルも、ドラマから映画へと壮大なスケールで見事に集結した本作。真木さんにとって、本作、そして笹本という役との出会いとは“SPECIAL”なものでしたか?
【真木】 特別な作品ですね。ひとつの作品をみんなで作り上げる実感を得ることのできた、本当に幸せな現場でした。笹本には、井上(岡田准一)のような特殊能力はないけれども、井上と同じくらい、正義感や情熱を持っている人間だと思います。笹本という、尊敬すべきカッコいい役を与えてもらえたことは、役者としてすごくうれしいです。
(文:石村加奈/撮り下ろし写真:原田宗孝)
