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ミレニアル世代のエンタメ消費はSNSとの共感がカギ

 今、世界規模でライフスタイルの変化や消費意欲の傾向を研究されているのが「ミレニアル世代」だ。一般的には1981年から1996年の間に生まれた世代を指すため、今年でいえば21歳から37歳に当たる。国によっても異なるが世界的な人口構成比で見れば人口の多い世代であり、彼らの消費行動が経済に与えるインパクトは大きい。そこで、改めて同世代のライフスタイルの傾向を探っていく。

◆ミレニアル世代が作り出す新たな“常識”に備える
 日本のミレニアル世代を見ていくと、団塊ジュニア、いわゆるベビーブームを1つのピークとすると、37歳はそこから5歳ほど下の世代にあたり、21歳になるとその人数は先述のピークからは約2/3ほどに減少する。ただし、このミレニアル世代は、“デジタルネイティブ世代”の最初の世代に当たり、なかでも20代は物心ついた時からインターネットに触れてきた世代でもある。彼らが20歳を超えて、発信力・影響力を増していくことで、これまでとはまったく異なる文化やカルチャー、さらにいえば“常識”を作り出していくことは容易に想像される。

 では、実際のところ“ミレニアル世代”とはどのような志向性を持ち、どのようなコミュニケーションのなかで、今まさに新たなカルチャーを生み出そうとしているのか? 今後のエンタテインメント業界の成長のカギを握るミレニアル世代について検証してみたい。

音楽もコミュニケーションツール

 今回は“ライフスタイルの傾向”と“情報の伝播”に絞り、検証した。上図は、オリコン・リサーチが年1回調査している音楽意識調査レポートから、“意識”にフォーカスして独自に導き出した指標、「MUSIC COMPASS」を、ミレニアル世代を21歳〜28歳(ミレニアル世代A)、29歳〜37歳(ミレニアル世代B)にわけて抽出した結果である。

 これによるとミレニアル世代は「ガンバル」と「ドリーマー」がやや目立つ傾向が見てとれる。「ガンバル」は周囲とのかかわりを重視し、情報発信にも積極的。一方、「ドリーマー」は広く浅くいうよりは、共感できる仲間と深く付き合う傾向があり、依存傾向も高い。音楽消費については対照的ではあるものの、音楽を、人と話題を共有するためのものとする「ガンバル」と、好きなアーティストを生活の中心に据える「ドリーマー」はどちらも音楽に“接する”ことに積極的である点が共通し、ともにコミュニケーションツールとしても音楽を重視している。

発信者のステータスを重視

 さらに細かく見ていくと、ミレニアル世代Aは「新しい商品やサービを利用するのに抵抗感がある」が日本人全体と比べるとやや高い傾向が見られる(表1-1)が、その一方で、「歌手・俳優・タレントの言動」や「SNS」の影響を受けやすく(図1-1)、「海外の文化や生活スタイルに憧れを感じる」が高いことからも、発信者のステータスを重視し、情報を精査する傾向があるように思われる。

 また、ミレニアル世代Bは、「つい人の目を気にしてしまうことが多い」「失敗すると、落ち込んでなかなか立ち直れないことが多い」が目立ち、ミレニアル世代Aと比較するとSNSからの情報よりは、親や同性の友人など、身近な存在を重視し、情報を受け取っている傾向も見られた。

 次にミレニアル世代Aの日頃の情報源と、WEBの活用の状況を探ったものが図2、図3だ。どちらも日本人の平均と大きな差は見られなかったものの、情報源では「Twitter」や「雑誌」「Instagram」が高く、SNSを“情報源”として頻繁にチェックしており、「フォロワーが多い有名人をフォローする」傾向が強いことからも、世間の話題性、特にリアルタイムで起きていることや有名人の発言に敏感なところがあるようだ。

情報は利便性も重視

 そこでさらにSNSの利用実態を探ったのが表2〜4である。興味深いのはSNS上での情報で、強く反応するのは「かわいい」や「かっこいい」「おもしろい」といった要素以上に、「自分の意見に近い/内容に共感」が高かった点。また、「生活に役立つ」といった要素も重視している。一方、好きではない投稿内容では「政治ネタ」「経済ネタ」「難しい」といったものが思ったよりも敬遠されていない。むしろ生活に必要な情報であれば、興味関心を持って読み、積極的にシェアしている様子も目に浮かぶ。
◆カギは“ソーシャルレゾナンス”いかにして共鳴させるか

 こうした結果からは、2017年のユーキャン新語・流行語大賞を受賞した「インスタ映え」も、昨今ではやや下火になっており、ミレニアル世代では特にライフスタイルや価値観、思考への“共感”を重視していることが窺える。

 LINE MUSIC取締役 高橋明彦氏は「ソーシャルレゾナンス」というワードを使い、「各SNSはすべて異なるペルソナを持ち、それぞれのなかでヒットの着火点が生まれ、ペルソナを超えてソーシャル上で共鳴していく」と昨今のヒットの傾向を分析した。

 それはつまり、従来のように“1点に向けて仕掛ける”のではなく、小さな着火点をいくつも作りながら、どうやってペルソナを超えて“共鳴”させていけるか、が重視されるということ。ヒットの着火点は小さく、見えづらくなる一方ではあるが、共鳴の様子がヒットを掴む場所になる。

 “どこで、誰がヒットへと着火させたか”ではなく、どうのようにして共鳴されていったのか、“異なるペルソナを繋げたソーシャルレゾナンス”をどう分析できるか、がミレニアル世代へのリーチにおいては重視されていくだろう。

提供元: コンフィデンス

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