ミレニアル世代のエンタメ消費はSNSとの共感がカギ
では、実際のところ“ミレニアル世代”とはどのような志向性を持ち、どのようなコミュニケーションのなかで、今まさに新たなカルチャーを生み出そうとしているのか? 今後のエンタテインメント業界の成長のカギを握るミレニアル世代について検証してみたい。
音楽もコミュニケーションツール
これによるとミレニアル世代は「ガンバル」と「ドリーマー」がやや目立つ傾向が見てとれる。「ガンバル」は周囲とのかかわりを重視し、情報発信にも積極的。一方、「ドリーマー」は広く浅くいうよりは、共感できる仲間と深く付き合う傾向があり、依存傾向も高い。音楽消費については対照的ではあるものの、音楽を、人と話題を共有するためのものとする「ガンバル」と、好きなアーティストを生活の中心に据える「ドリーマー」はどちらも音楽に“接する”ことに積極的である点が共通し、ともにコミュニケーションツールとしても音楽を重視している。
発信者のステータスを重視
また、ミレニアル世代Bは、「つい人の目を気にしてしまうことが多い」「失敗すると、落ち込んでなかなか立ち直れないことが多い」が目立ち、ミレニアル世代Aと比較するとSNSからの情報よりは、親や同性の友人など、身近な存在を重視し、情報を受け取っている傾向も見られた。
情報は利便性も重視
こうした結果からは、2017年のユーキャン新語・流行語大賞を受賞した「インスタ映え」も、昨今ではやや下火になっており、ミレニアル世代では特にライフスタイルや価値観、思考への“共感”を重視していることが窺える。
LINE MUSIC取締役 高橋明彦氏は「ソーシャルレゾナンス」というワードを使い、「各SNSはすべて異なるペルソナを持ち、それぞれのなかでヒットの着火点が生まれ、ペルソナを超えてソーシャル上で共鳴していく」と昨今のヒットの傾向を分析した。
それはつまり、従来のように“1点に向けて仕掛ける”のではなく、小さな着火点をいくつも作りながら、どうやってペルソナを超えて“共鳴”させていけるか、が重視されるということ。ヒットの着火点は小さく、見えづらくなる一方ではあるが、共鳴の様子がヒットを掴む場所になる。
“どこで、誰がヒットへと着火させたか”ではなく、どうのようにして共鳴されていったのか、“異なるペルソナを繋げたソーシャルレゾナンス”をどう分析できるか、がミレニアル世代へのリーチにおいては重視されていくだろう。