『監獄のお姫さま』Pが語る、TBS「火10」枠強さの秘訣
宮藤官九郎のユニークな発想に、女性目線のアイデアをプラス
「物語の構成は複雑で、1話で現在の状況が描かれ、2話からそこに到るまでの6年前の物語が描かれます。そのため宮藤さんは脚本を2話から書き始めました。その際に最も心を砕いたのは伏線の整合性。最近は、視聴者の皆さんがすごくよく観てくれていて、ちょっとした台詞の機微や小道具の変化などから勝手に詮索していき(笑)、“あれにはこんな意味があるのでは?”などと盛り上がってくれることがよくあります。本作にも数多くの伏線が散りばめられていますから、そこに矛盾が生まれないよう、細かいところまでつじつま合わせをしていきました」
「主人公の馬場カヨ(小泉今日子)は夫を刺した罪で服役しますが、刺すという行為は相当な状況。どうすればそこまで心が弾けられるのかを考え“浮気をした夫がそれを悪びれず、『そっちも浮気をすればいいじゃん』と言われたら刺しますね”と提案しました。結果、カヨが夫を刺してしまう印象的な回想シーンが出来ました」
主題歌に安室奈美恵を起用したのもこの流れだ。女性が主人公であること、そして演じる役者が演技派でベテランであることから、男性ではなく女性シンガー、新人ではなく、ベテラン。そして本作の狙いである30〜40代の層に強くアピールできるということで安室が選ばれた。
「タイトルの『Showtime』は、復讐劇を“Showtime”に見立てたいと安室さん側から提案をいただきました。歌詞も作品に沿って作っていただいています。本作は実は、内容的には重い。ですから、明るいテンポの曲にしたいとお願いしました」
皆が「何か新しいドラマを作りたい」と考え作っている枠
「同枠は、皆が“何か新しいドラマを作りたい”と考え作っている枠だと思います。でもそれは実はとても難しいことです。ただ面白いからといって新たな表現に逃げてはいけないなと。例えば、本作でも2話のカヨの回想シーンは、カヨの過去シーンのカヨのセリフと夫のセリフ、そして現在のカヨのセリフと、誘拐された板橋吾郎(伊勢谷友介)のセリフが、時間軸を超えてカットバックしながらも物語が成立する複雑な構成になっています。
弊誌が毎週、放送後に調査するドラマ視聴者満足度「オリコンドラマバリュー」では(100Pt満点)、初回こそ56Ptからのスタートだったが、第2話 68Pt→第3話 57Pt→第4話 83Ptというように、ジワジワと満足度を上げている。後半戦の展開も大いに期待したい。
文/衣輪晋一
◆Profile/宮崎真佐子(みやざき まさこ)
1985年生まれ。2008年にTBSに入社。制作局では1年間バラエティ制作に携わった後、2年目から現ドラマ制作部所属となる。昨年、社会現象を巻き起こした『逃げるは恥だか役に立つ』で初プロデュース。今年は『レンタルの恋』(1月期)、そして現在は『監獄のお姫さま』を手がける。
1985年生まれ。2008年にTBSに入社。制作局では1年間バラエティ制作に携わった後、2年目から現ドラマ制作部所属となる。昨年、社会現象を巻き起こした『逃げるは恥だか役に立つ』で初プロデュース。今年は『レンタルの恋』(1月期)、そして現在は『監獄のお姫さま』を手がける。