ドラマ&映画 カテゴリ

“エンタメ産業化”を見据えた第9回目「島ぜんぶでおーきな祭 沖縄国際映画祭」レポート

沖縄県 文化観光スポーツ部 職員が語る
県内各地を盛り上げるエンタテインメント地域振興
「観光資源としての可能性の高さを示している」
  • 左から沖縄県 文化観光スポーツ部 観光整備課の主事 吉里大地氏(観光資源班)、課長 平敷達也氏、班長 嘉数晃氏(観光資源班)

    左から沖縄県 文化観光スポーツ部 観光整備課の主事 吉里大地氏(観光資源班)、課長 平敷達也氏、班長 嘉数晃氏(観光資源班)

平敷氏沖縄県の観光は好調で、平成28年度の観光客数は877万人、前年度対比110.5%。観光客数は右肩上がりで過去最高を近年ずっと更新し続けており、平成33年度に1200万人を目指しています。そのなかでは自然や海の観光地だけに頼らない底上げがどうしても必要になり、エンタテインメントの活用が重要だと認識しています。観光には閑散期があり、冬から春のボトム期のエンタテインメントや体験型の観光メニューの開発が課題です。毎月コンスタントに人を呼べるようにならないといけない。そのための1つとしてエンタテインメントのイベントに可能性があると注目しています。

嘉数氏沖縄県では、新たな観光メニューの商品化に対して補助金を出して3年くらいで自走させる商品開発支援の制度があり、そのなかに音楽イベントやフェスなどエンタテインメント系も入っています。集客力の高いイベントなどをボトム期に招致したいのですが、観光全体から見るとエンタテインメント系はまだまだ少ない。県内外の企業に沖縄でイベントを仕掛けていただいて、将来的に継続して開催していただけることを目指しています。
  • メイン会場・波の上うみそら公園のラフピータウンには、各地の応援団や自治体がブースを出して地元をPR。家族連れなどで賑わっていた

    メイン会場・波の上うみそら公園のラフピータウンには、各地の応援団や自治体がブースを出して地元をPR。家族連れなどで賑わっていた

吉里氏『島ぜんぶでおーきな祭 沖縄国際映画祭』に関しては、春に30〜40万人の動員があり、今年で9回目。すでに県民の間では春の風物詩として定着しており、県としても大事なイベントであり、観光資源としてのエンタテインメントの可能性の高さを示しています。

平敷氏今では48の応援団(うち県外3団体)として参加していますが、同祭を通じて各地域が団結し、観光を盛り上げる気運につながっているところがあります。来年は10年目で周年事業にもなりますので、全離島も含めた県内全市町村を盛り上げられるように、我々としてもより一層がんばりたい。同祭は、地域の様々な人々を巻き込んだ取り組みが、エンタテインメント系のみならず他の観光分野の参考にもなっています。今後もその発展型を模索していきたいと考えています。
よしもとエンタテインメント 沖縄 代表取締役社長 水谷暢宏氏が語る
地元に密着する“よしもと沖縄”ローカルエンタテインメント
「独特の濃い文化に裏打ちされた才能が育つ場所」
  • よしもとエンタテインメント 沖縄 代表取締役社長 水谷暢宏氏

    よしもとエンタテインメント 沖縄 代表取締役社長 水谷暢宏氏

 沖縄の方々と一緒にイベントを作り上げていこうというのが我々のスタンスです。沖縄には独特の伝統文化や風習があり、感じること、勉強させていただくことがたくさんあります。9回目を迎えた『島ぜんぶでおーきな祭 沖縄国際映画祭』は、今では48もの応援団に参画していただいていますが、弊社で月一回の会議を持ち、応援団の方々と情報交換をしながらやりたいことなどを話し合っています。地域映画やJIMOT CM COMPETITIONなどの部門で、市町村の方々と一緒に作品を作っているほか、同祭以外では、食文化を発信するよしもと沖縄シュフラン、スポーツ選手との触れ合いイベントなどでコラボしています。

 同祭の9年を振り返ると、地元と本当に密着できたのは3回目からではないでしょうか。東日本大震災の直後で、全国的にエンタテインメントが自粛ムードのなか、こういうときこそ笑いとエールを届けたいと沖縄と手を組んで実施しました。よしもと芸人一同が募金箱を持って立ち、そこから地元とのつながりが一段落深くなった気がします。

 ローカルエンタテインメントとしては、地元のお笑い芸能事務所(オリジン・コーポレーション、FECオフィス)と定期交流イベントを開催しています。沖縄にはその風土からかユニークな人材が多い。大阪とも東京とも異なる独自の濃い文化に裏打ちされた芸人がいます。5年ほど前に開校した「よしもと沖縄エンターテイメントカレッジ(YOEC)」からも60人ほどの芸人が育っており、今年はお笑いコンテスト『O-1グランプリ 2017』で弊社の初恋クロマニヨンが優勝しました。これはうれしかったですね。
  • よしもと沖縄花月ではお笑いライブのほか、映画上映、舞台挨拶イベントなども行なわれ、芸人たちが集結。連日大勢の観客がつめかけた

    よしもと沖縄花月ではお笑いライブのほか、映画上映、舞台挨拶イベントなども行なわれ、芸人たちが集結。連日大勢の観客がつめかけた

 YOECの講師は、大阪や東京からも来ていますが、地元の方もいます。基本は教えながらもローカルのよさをなくしてしまったら意味がないので。ビジネスチャンスがあふれている大都市とは違うところが、エンタテインメントにとっての大事な部分だったりするんです。ただ、大阪も東京も沖縄も、なんだかんだいっておもしろければ壁を越えていきます。そんななかでも、独特で多彩な文化がある沖縄は人材を育成していくにはおもしろい場所であり、ポテンシャルが高いと感じています。

 よしもと沖縄では、お笑い以外も開発中です。美らドルというアイドルのほか、同祭ではクリエイターズコンペティションから映像クリエイターを発掘しようとしています。沖縄の強み、優位性を活かした人材発掘をしながら、来年4月には専門学校も開校しエンタテインメント全般の人材を育成していきます。

 沖縄には独特の魅力があり、ここで仕事をすることで、東京や大阪では感じられなかったことをエンタテインメントとして発信していく。そういうことが大事なのではないでしょうか。

提供元: コンフィデンス

あなたにおすすめの記事

メニューを閉じる

 を検索