【アウトドアの達人が10年愛するクルマを拝見】


(2)クマもシカも載る積載力。よほど大きくなければ、後部座席を倒して荷台に積んで帰る。命を奪った相手は大切に扱いたい。


「おっ、まだ新しいな」道端に何かを見つけた久保さんが、車を降りて手に取ったのはホヤホヤのヒグマの糞。「堆肥の草が混じってる。牧草地で、堆肥と一緒に捨てられた飼料を食ったんだべな」ヤマブドウやサルナシなど、餌場を確認しながら進んでいくと、林道は湿地で行きどまりに。すると久保さん、ぬかるみでヒラリと車を切り返すともと来た道を戻りだした。

「昔は2駆で来たんだもの。普通の車が入る道なら、ランクルで行けないことはない」ときにマイナス30度Cを下回り、2m以上も雪が積もることもある知床の山。ここでは「車には絶対の信頼感が必要だ」と久保さんはいう。

「冬には吹き溜まりを越えるため、何度も車を突っ込んで雪をどけることもある。だから、バンパーが丈夫で鉄板の厚いランクルがいいのさ」
現在使っているランクルは2台目で、すでに走行距離は33万qを超えている。「北海道じゃ、ちょっと出かけても往復1000qが当たり前。それでも、猟をするには狭すぎる。いつか猟をしながらカムチャッカなんか旅したら、楽しいだろうなぁ!」

【おまけ:達人の道具拝見】


◎構成/藤原祥弘 ◎撮影/知床ネイチャーオフィス藤川友敬、田村憲夫(草原)、高橋宗正(エゾシカ猟)