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「私の写真を投稿しないで」 親のSNS、子どもがNO! 法的には?

画像はイメージです(Pangaea / PIXTA)

タレントの木下優樹菜さんが、次女の顔出しをやめることをインスタグラムで明らかにし、話題となった。木下さんは3月31日の投稿で、次女の動画に「#顔出し最後」とハッシュタグをつけていた。

著名人の子どもたちの写真掲載をめぐっては、海外でも動きがあった。3月、米女優のグウィネス・パルトロウさんがスキー旅行中の娘との2ショットをインスタグラムにアップ。これに娘が「私の許可なしに投稿しないで」とコメントしたのだ。

セレブにとってのSNSは、ブランディングやビジネスに生かすこともできる。とはいえ、子どもたちにとっては迷惑かもしれない。子どもたちの肖像権はどう考えられるのか。清水陽平弁護士に聞いた。

●原則は「個々に同意を取る」ではあるが……

ーー子どもの肖像権は、未成年であっても本人にあるのでしょうか

肖像権に限らず、権利はあくまでも本人に帰属するので、これは未成年者であっても変わりません。未成年者でも肖像権はあり、その行使は原則として本人ができることになります。

ーーネットにアップしなければ、問題はないのでしょうか

肖像権には、一般的に、みだりに容姿等を撮影されない権利、撮影された写真をみだりに公開されない権利が含まれると考えられています。したがって、アップしなければよいというものではなく、撮影されることについても個々に同意を取るのが原則となります。

ーー親子関係においても、同意をとるのが原則、なのでしょうか

そういった杓子定規なことは普通しません。

カメラを向けて撮影されたくなければ逃げたりすることもできます。撮影されることについて特に否定的な態度をとっていない、たとえば、ピースサインをしているといったことがあれば、同意があると推定されるといって差し支えありません。

特に、親が子を撮影する場合、子も撮って欲しいと考えていることも多いでしょうから、明示的に「撮影されたくない」とされながら無理矢理撮影するといった、通常あまりないような場合でなければ、撮影をすることについて肖像権侵害となることはないでしょう。

●「肖像権侵害」となる可能性

ーー子どもに無断でSNSにアップすることは、どのような法的な問題がありますか

子どもの写真を無断でSNSにアップすることは、肖像権侵害となる可能性があります。

撮影された際に、写真が撮影していない方の親や他の親族に送られることはあるかもしれない、とは思っていることが通常ではないかと思いますので、その範囲であれば通常は問題になりません。

しかし、SNSにアップすることをあらかじめ同意しているかというと、少なくとも現在の一般的な感覚からすると、そこまでの同意はないと思われます。そのため、SNSへのアップをしてよいと明示的に言っているのでなければ、肖像権侵害となる可能性があると考えた方がよいです。

なお、公衆送信権侵害というのは、簡単に言えば、著作物をインターネット上に掲載する権利のことですが、写真を撮影している人物には写真について著作権があるといえるので、これをインターネット上に掲載しても、公衆送信権侵害にはなりません。

●「削除して欲しい」子が言ったら?

ーーもし、子どもが「削除して欲しい」と伝えたら、親は応じる義務はありますか

純粋な法律論で言えば、削除請求をされれば削除する義務がある、という考え方も可能です。未成年者には原則として行為能力がないため、アップされることに同意していたとしても、その同意は有効なものにならない結果、無断でアップしたのと同じ状態といえるからです。

しかし、この解釈を推し進めると、子どもの撮影等についての同意も法的に無意味なものになってしまい、子どもが成人してから追認するかどうかという観点から全てのことを判断する、ということになってしまいます。しかし、それはあまりに現実的ではありません。

ーー現実的には、どのように考えられますか

実際は、そもそも紛争にならないことも多いでしょうし、子どもと一口に言っても、0歳から19歳まで年齢が様々で、SNSへの理解も一様ではないため、色々なケースが考えられるのではないかと思います。

19歳の子どもが、SNSにアップすることやその意味を理解しつつ、事前に同意していたというケースであれば、一旦同意していた以上、親には削除する義務まではない、とされるケースもあると思います。

いずれにしても、子どもが「消して欲しい」と言っているのであれば、何か困ったことや不都合なことがあるのでしょうから、義務かどうかという議論ではなく、親として素直に消してあげるべきではないかと思うところです。

●多くの場合「親への損害賠償請求は困難」

ーー仮に、親が過去に投稿した写真が意図せぬかたちで拡散してしまい、本人が権利侵害を受けたと感じた場合、親に対して損害賠償請求することは可能でしょうか

元の投稿がなければ写真の拡散はなかったのかもしれません。しかし、法的な意味で因果関係があるというには、このような結びつきだけでは不足しています。

仮に写真が拡散したことで権利侵害が生じたとしても、損害はあくまで「拡散行為」によって発生しているにとどまります。そのため、拡散させた人に責任が生じるのであり、原則として、元々の投稿者である親が責任を負うものではありません。

したがって、元々の写真が子どもの権利を侵害するもの(たとえば、児童ポルノに当たるようなもの)であるという場合は別として、親への損害賠償請求は困難と考えるべきでしょう。

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
清水 陽平(しみず・ようへい)弁護士
インターネット上で行われる誹謗中傷の削除、投稿者の特定について注力しており、Twitter、Facebookに対する開示請求でともに日本第1号事案を担当し、2018年3月、Instagramに対する開示請求の日本第1号事案も担当。2016年12月12日「サイト別ネット中傷・炎上対応マニュアル第2版(弘文堂)」、2017年1月18日「企業を守る ネット炎上対応の実務(学陽書房)」を出版。
事務所名:法律事務所アルシエン
事務所URL:http://www.alcien.jp

提供元:弁護士ドットコムニュース

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