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社長室がエレベーター?!天才起業家が作ったチェコの機能都市ズリーン


チェコ南東部にあるズリーンは18世紀後半人口約3,000人でしたが、トマーシュ・バチャ(Tomas Bata)が製靴工場を創業したことで飛躍的に発展しました。合理的で機能主義、倹約家のバチャによって計画的に作られた町は、建物だけでなく働きやすいシステムも作り上げ世界中に広がっています。
建築や経済に興味がない人でも、訪れるとバチャの魅力にはまってしまうズリーンのおすすめスポットを紹介します。

まずは「ズリーン履物博物館」でバチャを知ろう!

写真:さとちん

最初に出かけたいのが「ズリーン履物博物館」。ズリーンを発展させた製靴工場バチャ(Bata)についてここで学ぶことができます。
バチャを創立したトマーシュ・バチャは1876年数百年以上続く靴職人の家に生まれました。14歳で家を出て就職した靴製造機械メーカーを退職後、1894年兄弟たちとバチャを創業。
当初工場で働いていたのは歩いて通える人だけでしたが、第一次大戦でオーストリア=ハンガリー帝国軍に靴を供給したことがきっかけで工場が大きく発展。多くの労働者が必要となりました。そこでトマーシュ・バチャは労働者用の住居や公共施設などを建てるとともに、労働者が不自由なく働けるシステムもあわせて作り上げていき、1928年にはズリーンの市長に当選しました。1932年トマーシュ・バチャはスイスの式典に向かう途中不慮の飛行機事故で亡くなってしまいますが、その頃にはズリーンの人口は約35,000人まで増えていました。
トマーシュ・バチャの死後は義理の弟ヤン・アントニン・バチャに事業と彼の理念が引き継がれます。

写真:さとちん

博物館内にはバチャの靴と世界各国の靴が展示されています。バチャの靴は日本でも販売されているので履いている人もいるのでは?日本ではバチャではなくバタと呼ばれています。
他にも大量生産時ミスを無くすためのシステムや足の大きさを正確に測定する機械、所有していた車や飛行機も展示されています。
ユニークなのは入場券が当時の労働者が使用していたタイムカードなんです。このタイムカードは今でいう社員証みたいなもので本人を証明でき、買い物もできるクレジットカードのような機能も持っていました。

写真:さとちん

博物館には映画に関する展示スペースもあります。バチャは自社製品を紹介するショートフィルム制作のためフィルムスタジオを作りました。今までにないストーリー性のあるCMはバチャの靴のイメージをさらにアップ!そのうち普通の映画制作も手がけるようになり、特にアニメーションや特撮の技術は優れていて世界中で公開されています。日本でも公開されたんですよ。
他にもバチャの労働者のための保険システムは、現在のチェコの保険システムのベースとなっていたり、最後の桁を99で靴の値段を統一するなど(1000より999の方が安く感じる)、現在に繋がる様々なアイデアがバチャから生まれています。
<ズリーン履物博物館の基本情報>
住所:Vavreckova 7040 760 01 Zlin
電話番号:+420-573-032-326
アクセス:ズリーン中央駅から徒歩3分

バチャの摩天楼「21」から見るズリーン

写真:さとちん

バチャについて学んだら次に訪れたいのがバチャの摩天楼「21」と呼ばれている高層ビル。バチャの本社として1933年に建てられました。当時はチェコで1番、ヨーロッパでも2番目に高いビルでした。

写真:さとちん

バチャの摩天楼「21」の屋上からはズリーンを一望できます。ズリーンの建物は効率を優先するバチャの要望に応えフランティシェク・ガフラが考えたもので、平面を6.15mごとに区切り、建設や修理の手間を省くようになっています。労働者用の住居、アパート、学校、病院、ホテル…どれも同じような建物で、デザインよりも機能優先のバチャらしい町です。

バチャの摩天楼「21」の社長室は更に驚きの仕掛けが!移動する時間が無駄だと考え社長室をエレベーターとしてしまったんです。フロアは当時珍しいオープンオフィス。150人〜200人の従業員が働いていて、従業員を呼ぶより自分が動いた方が早いと考えたんですね。電話も電気も水道も通っている部屋が1階から16階まで上下するんです。
現在は県庁舎として使われているバチャの摩天楼「21」は館内の無料エレベーターで屋上までのぼることができますが、有料の見学ツアーに参加すると、社長室のエレベーターに乗ることができます。料金はたったの1ユーロ。それでこの珍しいエレベーターにも乗ることができるのですから、是非見学ツアーに参加してみてください。
エレベーターの様子は動画で紹介しています。
<バチャの摩天楼「21」の基本情報>
住所:ti. Tomase Bati 21, 761 86 Zlin
電話番号:+420-577-617-111
アクセス:ズリーン中央駅から徒歩9分

フォルモヴィー・ウゼル・ズリーンでオリジナルアニメ作成も!

写真:さとちん

バチャは自社製品を紹介するショートムービーを作っていたという話をしましたが、大きなフィルムスタジオ「フォルモヴィー・ウゼル・ズリーン」も郊外に作りました。郊外に作った理由は映画を作るのに必要なきれいな水があったことと、豊かな自然がロケに適していたからでした。
隣には映像を学ぶ学校があり、日本からも映像を学びに学生が来ています。

写真:さとちん

5階建ての建物の中にはカフェ、ズリーンの映画の歴史、現在の映画やアニメーションを紹介する展示、オフィスがあります。今もここで人気アニメが作られているんですよ。

写真:さとちん

ワークショップではオリジナルアニメーションを作ることもできます。オリジナルアニメーションを作り、スタジオ内のスクリーンで上映する誕生会がズリーンの子ども達に人気です。
ズリーンの中心から車で10分ほど離れていますが、バチャについて詳しく知りたい方や映画好きな人には興味深いスポットです。
入館料は大人129コルナ。メールやネットで事前に予約が必要です。アニメーションを作るワークショップは199コルナです。
<フォルモヴィー・ウゼル・ズリーンの基本情報>
住所:Filmovy uzel Zlin areal filmovych atelieru Filmova 689 760 01 Zlin
電話番号:+420-720-979-760
アクセス:ズリーン中央駅から車で10分

インターホテル モスクワでVIP気分を味わってみる?

写真:さとちん

ズリーンを観光してバチャのファンになったら、バチャに招かれたゲスト気分になってインターホテル モスクワ(Interhotel Moskva)に宿泊しませんか?こちらはバチャが会社を訪れる来客用に作ったホテルです。様々な会議に対応できる2つの会議室、フィットネスジムやテニスコート、ボーリングやカジノといった娯楽施設も充実!仕事も仕事のあとの余暇も満足できる設備が揃っています!
写真中央のレンガ色の建物がインターホテル モスクワ。典型的なバチャ建築のホテルです。

写真:さとちん

お部屋はとてもシンプルですが、機能的で落ち付いて過ごすことができます。机もとっても作業がしやすく、パソコンのない時代の設計なのにパソコン作業がしやすいのはビックリです。
ボディーソープやシャンプーなどのアメニティも用意されています。

写真:さとちん

ホテル内にはステーキ、スリランカレストラン、カフェなどがあります。
朝食は1階のレストランでバイキング形式。ハムやサラミ、ウィンナーに、いろんなチーズが並びます。チーズもハムもとってもおいしくて、朝からワインが欲しくなってしまいます。
ホテルの入口にはちょっとしたコンビニのような小さな売店があるので、街歩き用のお水を買うのにも便利です。
<インターホテル モスクワの基本情報>
住所:2512 namesti Prace Zlin, 760 01 Zlin
電話番号:+420 577 561 111
アクセス:ズリーン中央駅から徒歩11分

会社の発展と社員の幸せを考えて作られた町ズリーン

バチャは1945年に国営化され翌年名前をスビットへと変えられました。そのスビットも2006年には倒産してしまったため、今のチェコにバチャはありません。でも、バチャは靴を作る工場のシステムを広め、世界22ヶ国にバチャの工場があります。100年近く前に会社の発展と社員の幸せを考えて作られた町ズリーン。今見ても得るものがたくさんある町です。
首都プラハからズリーンまでの距離は300Km。列車の場合オロモウツで乗り換えて3時間半、バスは直行便で4時間半ほどかかります。列車はチェコの私鉄RegioJetがサービスも良く、ホームページからチケットが買えるので便利です。
2018年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
取材協力:チェコ政府観光局

■関連MEMO
ズリーン履物博物館
http://www.muzeum-zlin.cz/cs/historie/obuvnicke-muzeum/
バチャの摩天楼「21」
https://www.kr-zlinsky.cz/en/
フォルモヴィー・ウゼル・ズリーン
https://filmovyuzel.cz/
インターホテル モスクワ
http://en.hotelmoskva.cz/

【LINEトラベルjp・ナビゲーター】
さとちん

提供元:トラベルjp 旅行ガイド

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