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競争率が低い割に就職率はいい!女子大という選択肢は女性の特権

『大学図鑑!2019』は、シリーズ第一作発売から20年目を迎えました。最新刊の発売を記念して、実際に大学を取材しているスタッフライターのみなさんにこぼれ話を聞いていきます。今回は、女子大を長らく取材している戸田恭子さんに、女子大の近況や今も就職率のよい背景などについて聞きました。

偏差値だけで測れない女子大の「お買い得」さ

人気は凋落。しかし実はお買い得??

女子大の人気が凋落していると言われはじめてから久しい。

「私立三大女子大」とも称される津田塾や東京女子、日本女子といえば、かつては早・慶・上智などと併願して、そちらを蹴る人もいた名門校である。しかし、全体的に難易度が下がってきて、近年の偏差値はMARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)レベルかそれ以下。日東駒専(日本、東洋、駒沢、専修)あたりと女子大の両方を合格した場合でも、どちらに行くか迷う人が少なくないとも聞く。

40代以上の親世代からすると、耳を疑うような状況だ。親世代は自分の娘が受験を考えるようになってから現在の偏差値を知り、あまりの暴落ぶりに衝撃を受け、娘には勧める気をなくしてしまうかもしれない。

実際、成績が優秀な女子にとって、現在は目標にするのにちょうどいい女子大がないのだとか。「資格を取って、管理栄養士になる」といった明確な目標がない限り、女子大は第一志望にするには物足りないのだろう。首都圏のそれなりの進学校なら、同級生の多くは早慶上智やMARCHを目指しているし、お茶の水女子や奈良女子は女子大のなかでもやや別格感はあるものの、周囲からも「女子大志望なんてもったいない」「もっと上を目指せばいいのに」などと言われる。そうなると、必死で勉強して合格を勝ち取ろうとする対象にはなりにくい。

ただし、女子大は「お買い得」という見方もできる。

たしかに女子しか受験できないため、競争率は低い。たとえ女子大の偏差値が10下がって入りやすくなっても、教育方針や教育の質が大きく変わることはなさそうである。

また、難易度の割に世間からの評価は高く、就職率もいい。女子大の評価が高い理由は、歴史や伝統があり、幅広い分野で多くの優秀なOGを輩出しているからだ。OGが活躍していれば、「同じ大学からまた採用しよう」と有力企業の採用枠が確保されていたり、長年培われてきた人脈もあって、就職状況を下支えしている。私立三大女子大をはじめ、聖心、大妻、共立、実践などの女子大にも100年以上の歴史がある。共学の総合大学に比べると学生数は少ないが、100年もの間にはさまざまな功績を残したOGがたくさんいるのだ。

そうしたOGたちの「愛校心がすごい!」というのも、女子大の取材をしていてよく聞くことのひとつ。数十年前までの卒業生の同窓会は異様に盛り上がり、新しい校舎を建てるとなれば多額の寄付が集まるとか。やはり親世代と、現在通っている学生たちとではかなり温度差があるようだ。

男女雇用機会均等法以前は、今と比べて女子の4年制大学進学率は低く、就職にもあからさまな差別があった。そんな中、かつては共学より女子大のほうが、結婚にも就職にも有利だったという。だから、必死で勉強をして、努力が報われて合格し、入学してからも頑張って卒業し、社会に出て活躍しているOGが大勢いる。彼女たちは、立派な社会人に育ててくれた母校に誇りを持っているのだと思う。だからこそ、母校に対する愛着も強いのだろう。

「4年間通うだけだ」「社会に出れば出身大学なんて関係ない」と考える人もいるかもしれないが、やはり自分の母校には愛着があったほうがいい。安くない入学金や授業料を払って通うわけだし、当然、自分の学歴としてずっと残ることにもなる。

お嬢様系、華やか系など各学のカラーの違いは?

女子大の志望動機としてよく聞かれるのは、「資格を取って専門職につきたいから」「語学力を身につけたいから」「理系でも女子ばかりなので心強いから」「憧れの人の母校だから」という明確な目標や理由など。一方で「中高も女子高だったからなんとなく」「親や先生に勧められたから」「自分の学力に合っていたから」「ここしか受からなかったから」と周囲の意見に流されて決めてしまったという学生が共学よりも多めのようだ。

また、入学前はさておき、入ってから「思っていたよりも楽しい!」「ここで頑張るのも悪くないかも」とイキイキしてくる人と、「やっぱり自分には合わない」「共学にすればよかった」などとウツウツしてしまう人がいるようだ。最後のパターンだと、それは不幸でしかない。女子しかいない中で4年間を過ごすという特殊な環境が、自分的にアリかナシかは受ける前によく考えてみてほしい。

それから、女子大の学生が他者からどう見られるか、も気になるところだろう。

プラスのイメージとしては、「育ちのいいお嬢様っぽい」「上品でおしゃれ」「真面目に勉強していそう」「礼儀やマナーを身に付けていそう」など。逆にマイナスのイメージは「派手な人が多そう(ファッション、行動ともに)」「わりと遊んでそう」「インカレや合コンで高学歴の男性を狙っていそう」「男性と接するのが苦手そう」など。たとえば、お嬢様系なら聖心、白百合、学習院女子など、華やか系ならフェリス、大妻、東洋英和、質実剛健系でいえば津田塾、お茶の水女子、共立……といったイメージが根強いが、最近では各学のカラーの違いがなくなりつつあるようだ。

そもそも、世間は女子大のことをよく知らない。男性はもちろん、共学育ちの女子にとっても女子大は未知の世界であり、謎に包まれている。だから、なんとなく聞きかじったイメージで語られることが多いのは仕方ないだろう。

しかし、実際のところ名門女子大は、教育体制もしっかりしているし、校舎もきれいだし、共学より人口密度は低めだし、就職活動へのサポートも手厚いし、何かと恵まれている。だから、選択肢が広いのは女子の特権と考えて、興味があれば女子大も視野に入れつつ、好きになれそうな大学を選んでほしい。卒業してからも「この大学に入ってよかったな」と感じられるのは、幸せなことだと思うから。

提供元:ダイヤモンド・オンライン

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