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役職員怒鳴りつけ、PC押収…リニア談合事件、特捜部の捜査に問題は? 大成建設側が反発

地検前(soraneko / PIXTA)

リニア中央新幹線の建設工事をめぐる談合事件の捜査で、大成建設の社内弁護士が東京地検特捜部に対して抗議文を出したことがTBSをはじめ各種メディアで報道された。

報道によれば、独占禁止法違反容疑で大成建設本社(東京都新宿区)への2度目の捜索があった2月1日、特捜部の検察官が、社長室で社長を前に役職員らの事情聴取を行い、「社長の前でも嘘をつくのか。ふざけるな」などと怒鳴りつけたという。

また、事情聴取を受けた役職員らの説明について、社内弁護士はパソコンにまとめていたが、特捜部はそのパソコンも押収。社内弁護士はこうした点を問題視し、「不当な捜査だ。捜査手法として極めてアンフェアで、被疑者の弁護権や防御権を侵害する」などと指摘したという。

特捜部は「コメントしない」という反応だと伝えられている。一方の大成建設も「捜査中であるためコメントは差し控える」(広報担当)とするが、こうした特捜部への抗議は異例とみられる。元検事の荒木樹弁護士に、今回の抗議や特捜部の特徴について聞いた。

●捜査でも基本的人権の保障は重要

ーーまず刑事事件の捜査と基本的人権の関係について教えてください

「刑事訴訟法は、その目的として、『公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現すること』と定めており、刑事事件の捜査にあたっては、基本的人権の保障も重要な目的の1つとされています。

刑事事件の捜査では、逮捕や捜索・差押えといった行為で著しく人権が制限される場面もあります。ですが、それでも法律の規定に基づいた厳格な手続き・制限を受けておりますし、また、被疑者の名誉等をいたずらに侵害することのないように配慮すべきことは当然です」

●社内弁護士のPC押収、押収拒絶権侵害の可能性も

ーー社長の前で怒鳴りつけるというのは穏やかではありませんね

「他の関係者がいる前で『社長の前でも嘘をつくのか。ふざけるな」などと怒鳴りつけた行為は、事情聴取のいきさつもあるかとは思いますが、一般企業の中でもパワハラとされかねない行為です。不適切な発言とされても致し方ないでしょう」

ーー社内弁護士のパソコン押収は問題がありそうでしょうか

「社内弁護士がまとめたパソコンを押収した行為については、それが事実であれば、弁護士の押収拒絶権(刑事訴訟法105条)を侵害する可能性の高い行為です。

刑事訴訟法は、弁護士以外にも、医師や看護師、宗教家等他人の秘密を取り扱う職業の者に、押収拒絶権や証言拒絶権(刑事訴訟法149条)を認めています。社内弁護士が被疑者の弁護人であるとは限らない以上、当然に弁護人の防御権の侵害にあたるとは言い難いですが、問題があると言われても仕方がないとは思います」

●特捜部の捜査、時に独善的になりうる

ーー元検事として、特捜部とはどのような組織だと感じていますか

「特捜部は、検察の中でも極めて特殊な部署です。私も応援として、短期間に、他地検から特捜部に派遣されたことはありましたが、特捜部の検事・事務官は職務に対する熱意が非常に強いです。

ですが、過去の証拠偽造事件などからもうかがい知れるように、時として独善的となり、行き過ぎな捜査が行われることになってしまうのではないかと思います」

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
荒木 樹(あらき・たつる)弁護士
弁護士釧路弁護士会所属。1999年検事任官、東京地検、札幌地検等の勤務を経て、2010年退官。出身地である北海道帯広市で荒木法律事務所を開設し、民事・刑事を問わず、地元の事件を中心に取扱っている。
事務所名:荒木法律事務所
事務所URL: http://obihiro-law.jimdo.com

提供元:弁護士ドットコムニュース

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