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大学探検シリーズ:大学探検シリーズVol.5 「日本再生プロデューサー」を育てる 地域活性化を学ぶ学部ができるってホント?


 ここ近年、グローバル化と共に注目を集めている“地域活性化”。でも、「地域を元気にする」とは簡単なようで難しく、ゆるキャラを作ればOK!というワケにはいかないもの。そんな難題に取り組み実践する「地域創造学部」が2015年4月、追手門(おうてもん)学院大学に誕生するとか。日本の再生にも影響する内容だとか!? 大きな教室で講義を聞く従来のスタイルとは違って‘表に飛び出してナンボの授業’も面白そう。さっそく取材に行ってみた。


今、時代は「地域」だ! 街づくりのプロになろう

 かつて日本中の若者たちは東京で就職することを目指した。やがてその視線は海外へと向けられ、社会全体のグローバル化は急速に進み続けるが、東京一極集中であることは今も変わりない。若い人が都会へ出て行き、年配者だけが取り残されたふるさとがだんだんさびれるなんて、こんな寂しいことはないのに…。だがそんな地方を、自分たちが住む地元を、元気にしなければいけないことに、人々は徐々に気づき始めてきた。

 今、時代は「地域」だ。人口減少に歯止めがかからない今後、日本の再生は地域活性化にかかっているといっても過言ではないだろう。そしてそれを担うのは、まさにこれからの時代を背負う若者たちなのだ。海の向こうを見据えながら、地に足をつけて日本の改革を進めた坂本龍馬のような人材を育てたい――そう願う追手門学院大学が新設した「地域創造学部」とは? 設置部会長をつとめた社会学部長の小畑力人教授を訪ねてその本質に迫り、フィールドワークの面白さを肌で実感した社会学部3年の今井実春さんにも話を聞いた。

「地に足、世界にまなざし。」スローガンに集約された思い

 研究室を訪れると、小畑教授はブルーの爽やかなシャツとジーンズといったカジュアルな服装で出迎えてくれた。「きちんとせなあかん時はちゃんとスーツを着ますよ」と、こぼす笑顔は実に朗らか。部屋に貼られた学生たちからのサンクスメッセージボードからも、先生の温かい人柄がうかがえる。「世界に目を向ける高校生も多いけれど、地域を作る人材になって活躍したいという希望者は増えています。若者もあなどれませんよ」との第一声が頼もしい。

 地域活性化といえば、従来なら地元の商工会議所やNPO団体などがかかわるといったイメージがあるが、そこへ学生が入り込んでいくのはそれだけでも画期的といえそうだが…。
 「ズバリ【よそもの・わかもの・ばかもの】が必要なんです。よそ者が来ないと自分たちが持っている宝物に気づかない。特産物や観光スポットなど、現地の人には当たり前で見過ごされるものが、よそ者の視点や若者の発想を使えば大いなる武器となります。さらに知恵が働くと、やる前から『こんなのダメだろう』と決めつけてしまう。バカ者になって何でもやってみることから始めなければ」。なるほど、非常に明快だ。

 同大学ではすでにフィールドワークをいくつか実施。茨木市北部にある見山の郷では、学生たちが地元名産の味噌をお菓子や丼等に活用しながら販路拡大するなど、農業と都市経済を結ぶプロジェクトに取り組んでいる。これぞまさしく地域創造だろう。小畑教授はさらに、大分県豊後高田市のさびれた商店街が、眠っていたレトロな看板や店を復活させ「昭和の町」として賑わいを取り戻した話や、和歌山県広川町でIターン者が間伐材を燃料にして海水から塩を作り会社組織を成功させ、人口を増やした話など、次々と面白い例を出してくださり、全部ご紹介できないのがもどかしいほど。

 地域活性化の需要は果てしない。こうして課題を抱える地域は日本中にあり、人々は皆、一緒に取り組んでくれる人材を待っているのだ。
 「物産品をどう売ろう、どう宣伝しよう、会社組織は? 目玉となる村の祭りの歴史は、背景は…つきつめていくほどに経済も経営も社会学も歴史も文学もかかわっていて、どのコースでも知らないうちに多彩な教養が身につく。年の離れた人たちと共同作業することによってコミュニケーション能力も磨かれ、就職の面接でも確実に役立つし、営業職になっても成果を上げますよ。こんなにトータルな学び方はなかなかないと思います」と、小畑教授は胸を張った。

全身で飛び込むことで勝ち取った信用

 追手門学院大学では、学生たちにさまざまな体験のチャンスを与えている。特にフィールドワークは地域創造学部の基本にもなるだろう。3年生の今井さんは、昨年と今年、震災の影響で人手不足になった「陸前高田のうごく七夕まつり」を復興するための手伝いに参加した。バスで大阪から東北まで出かけて3日間、現地の人と共に1から山車を組み立て、色とりどりに飾り付けをし、街の中を運行する。無事、祭りは復活したが、彼女らはもろ手を挙げて歓迎されていたわけではなかった。

 「コミュニティが固く、外から人が入ることにかなりの抵抗があるようで、昨年は心を開いてもらうことにかなり苦心しました。今年は自分をさらけ出して飛び込んだことで、やっと協力し合えた実感が生まれたかも。環境のせいにするのが三流、環境を変えていくのが一流と学び、目からうろこが落ちました」。文化や年齢が大きく違う人たちとのコミュニケーション、仲間との人間関係、一つのものを達成する難しさ、フィールドワークで学んだことは、計り知れないほど濃く深かったと言う。

 2年生の前半までは平凡な学生生活を送っていたという今井さん。この活動を機に目覚め、リーダーシップ論を学び、さまざまな研修を積極的に受けるようになり、劇的に生き方が変わった。「この大学には素晴らしい先生がたくさんいて、自分が変われるチャンスがいっぱい転がっています。いろんなことに挑戦する気持ちがあれば必ず成長できる!」。大学選びは人生を左右する重要な分岐点になるが、その4年間を有意義に過ごせるか否かは自分次第。環境を活かし知識と実践を積極的に取り込むことで、想像もしなかった自分史が始まるのだ――。

追手門学院大学

 1966年、大阪北部に誕生し、文系の総合高等教育機関として5学部8学科、学生数6500人を擁する総合大学・大学院。これまでに4万人を超える社会有為の人材を世に送り出している。「地域創造学部」がスタートすると全6学部となり、多様なプログラムを実践。

 学部を超えた共通プログラムとして「基礎教育機構」、「グローバルキャリアコース」のほか、2014年度からはスポーツで培った力を社会で活かす「スポーツキャリアコース」をスタート。常に新たな教育のあり方、時代に合った人材育成を模索し、実現している。2016年、大学創立50周年を迎える。

追手門学院大学
〒567-8502 大阪府茨木市西安威2丁目1番15号
広報課:072-641-9590

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