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流行りモノ調査隊 番外編 ♯70 『レコード盤』
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ホントはどうなの!?レコード市場
さらに現役DJに聞いてみた
ポケットにも入る!?最新DJ機器!!
さらにもうひとり、現役DJに話を聞くことができた。その人は「Lark Chillout」さん(以下Larkさん)。
ブレイクビーツ集団「A.Y.B.FORCE」の中心人物として、リミックスやプロデュースでも活躍している。Larkさんは、今のレコード盤を取り巻く現状を、DJの立場としてどう考えているのだろうか?調査隊の取材に応えてくれた。
――いまだ、クラブミュージックの人気は高いと思います。そしてクラブミュージックといえばDJ、DJといえばレコード盤というイメージなのですが、なぜレコード盤が減っているのでしょうか?
まず、DJが「アナログ(レコード)でつないだりスクラッチしたりする人」というのは90年代の人が持っているイメージなんです。今は
スクラッチライブ
や
CDJ
もあるので、それがイコールではなくなってきているんです。それが(レコードが売れなくなった)理由のひとつだと思います。ただ、実感として感じているのが、音楽ソフトの変遷だけでレコードが売れなくなってきているのかというとそうではないと思います。
――というと?
結局、アナログでやるかCDやスクラッチライブでDJやるかっていうのは、道具が違うという話だけで、実のところは、単純に(DJを)やろうとしている人が減っているんじゃないかと思うんですよ。
そもそも、90年代に浸透した価値観として「誰よりも音楽を知ってる」とか「誰も知らない音楽を知ってる」というステータスがあったと思うんですが、今の若いコってそういう気持ちがないと思うんですよね。音楽に対してそういうモチベーションが向いていないというか。
レコード屋っていうのはもともと、「誰も知らない新しい曲を探してくる」とか「誰も知らない古い曲」を掘り出してきては売り出すというのをビジネスにしてきていたわけで、やっぱりその90年代の価値観が根底になければ成立しないんですよ。
――若者の価値観が変わった原因は何だと思いますか?
やっぱりインターネットの普及が大きいでしょうね。レコード屋での店員との会話などの有機的なやり取りでしか得られなかった“生きた”情報が、今ではインターネット上に転がっているわけですよ。そのやり取りの意味がなくなっちゃったんです。
僕らの時代は“生きた”情報を得られるすべが圧倒的に少なかったワケで、自分でそれらの情報を掴み取らなければならなかった。それを持っているのがレコ屋だけだったわけですよ。だからレコ屋にどれだけ行って、いかにレコ屋と仲良くなるか、ということがかなり重要でしたよね。レコード屋の常連になって、店員と仲良くなれば「いいとこ来たね、これ今日入ったばっかなんだよ」とか言って裏から持ってきてくれたりするんですよ。みんなは並んで買わなきゃいけないものを、オレは裏から持ってきてもらっちゃったみたいな(笑)そんなことにもかなりモチベーションが向いてました。
あの頃はレコ屋と客に絶対的な知識量の差があって、レコ屋の店員がめちゃめちゃ曲を知っていて、それを個人の好みにあわせて紹介してくれたりとかしてたんですよ。それがレコ屋の魅力でもあった。でも、今ではインターネット上に情報はいくらでもあるんですよ。下手すると、レコ屋の店員よりも客のほうが情報が早いとか(笑)
そうなるとレコ屋の魅力も失われていきますよね。かけがえのない物ではなくなっていくというか……。その古きよきレコード屋の象徴が「シスコ・レコード」だったのかな〜と思ってます。
レコードが少なくなっている現状には悲しい思いを持っている。でも、重要なのはそこではないのではないか?と続ける。
僕も含めてアナログレコードが好きな人って、「この曲すげー好きだけどレコードで出てないならイイや」ってなりがちなんですけど、そこには少し違和感があるんですよね。もちろん逆もまた然りなんですが、元々音楽への接し方が重要なはずなのに、別の話になっちゃってるというか。
僕としては、例えば失われつつあるレコ掘りの価値観を、知らない世代にもちゃんと届くようにしていきたいんですよね。やっぱり、CDってある種のコミュニケーションツールだと思うんで、受け取ってもらえないと意味がないと思うんですよ。そのためには、今がどういう時代で、今求められているのが何なのかというのをある程度理解していないとダメだと思うんです。
自分がやってきたことがこうで、やりたいことがコレだと主張するだけじゃやっぱり伝わらないんですよ。自分の出したものをちゃんと聞いてほしいと思ったら、自分のやりたいことをある程度主張しながらも、今の若者にどうやって伝えるかということを考えないないといけないんじゃないかと思うんですよ。自分から歩み寄らないと。そういった部分でのバランス感覚は常に意識していますね。
だから、そういった意味で昔のことよりも今のことへの興味を持っていたいと思っていますね。価値観の違いを楽しめるくらいの余裕を持ってやっていきたいです。
イベント前に話をしていただいた。
やはり、Larkさんもレコードが少なくなっていることは感じているようだ。それが90年代の価値観の崩壊を意味するというのは非常に興味深い意見だった。ほかにもいろいろとお話を聞けたのだが、ページの関係上載せることができなくて非常に残念だ。
現在のLarkさんの活動としては、渋谷「
Organ Bar
」で、毎月第4木曜日に「BLOCKHEAD」、隔月第3水曜日「MEGA」という定期開催中のイベントに出演中。そして、ソロ名義としては初になるリミックス&プロデュース・ワークス集も10月に発売された。Larkさんの音楽哲学が詰まったこのアルバム、是非チェックしてみてほしい。
<プロフィール>
岡山県出身。92〜93年に趣味の一環としてDJを始める。95年〜98年頃から富田清(Tonda Trio他)とヒップホップのトラック制作を開始。「Ulticut Ups!」や「Bulljun、Matsumoto Hisataakaa」といった才能溢れる周辺人脈を巻き込みながら、「Abnormal Yellow Band」や「A.Y.B.Force」をはじめ様々な名義でインスト楽曲を発表。04年活動拠点を東京に移してからは国内外アーティストのリミックスやプロデュースを数多く手掛けており、08年10月にはそれらが抜粋収録されたアルバム「
Drumline
」(
メディア・ファクトリー
)が発売。
「Drumline」
全13曲収録
<関連リンク>
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