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藤原竜也&品川ヒロシ監督『やれることをやり切る―出会えた人たちとの真剣勝負』

近年、映画界での活躍がめざましいお笑い芸人出身の監督のなかで最注目の存在といえば、ひと際鋭い瞬発力で大ヒット映画を連発する品川ヒロシだ。待望の監督第3作『サンブンノイチ』で、品川監督がラブコールを送ったのは、蜷川幸雄、故・深作欣二、三谷幸喜ら、世界にその名を轟かせる演劇界、映画界の重鎮たちから愛される、若き名優・藤原竜也。ふたりの才人が最新作で見せてくれるのは一体どんな世界なのか――。

心配しながらだったけど…完全に勘違いだった

――品川監督の頭のなかでは、いつ頃から本作の主人公・シュウに藤原さんが思い浮かんでいたのですか?
【品川】 脚本を書いているときからなんとなく、この映画の真ん中に竜也君がいてくれたら理想的だなと思っていました。ただ原作にはないムチャなシーンもけっこう入れちゃったので、お願いするのにちょっと勇気が要るなあと(笑)。でもいよいよキャスティングの段階になって「よしっ、お願いしちゃおう!」って。竜也君が引き受けてくれて、本当に嬉しかったです。
【藤原】 新しいアイデアを持った監督とご一緒できることを、僕も楽しみにしていました。完成作を観てもらえばよくわかると思うのですが、これまで観たことのない、斬新な映画を撮ってしまう品川監督のすごさは、現場でも随所で感じていました。僕自身、新しい風を入れてもらったと思います。
【品川】 クライムムービーといえば藤原竜也だと思っていたんですが、映画が完成して、最近一緒に取材を受けていると、竜也君が「脚本を読んで、初めての感じの役どころで……」って答えているのを聞いて“……言われてみれば藤原竜也に、こんなことをやらせるやつはいないか!”って。

――(笑)なかなか観られない藤原さんでした。
【藤原】 ハハハ、しましたねぇ、あんなことやこんなことを(笑)!
【品川】 “竜也君の得意なジャンルだから、逆にハードルが高くなっちゃうかなあ”なんて心配しつつ脚本を渡したんですけど、完全に俺の勘違いだったんですね! でも笑いの部分も含め、なかなか見られない竜也君がいっぱいいると思います。
【藤原】 シュウって、けっこうドジなところもありますよね? 頭良さそうだけど、バカだったり。
【品川】 もしかしたらシュウは30歳前後の男の人の等身大なんじゃないかとも思っていて。人間って多面的で、すごくクールな反面ドジだったり、細かいと思えば大胆で、シュールな面もがさつな部分もある。でもみんな“こんな状況でも冷静でいられる俺は頭が良いんだ”と、クールな部分だけを見せて生きたいと思っている。本人はカッコ悪いところを見せまいとがんばっているけど、人間的な部分がどんどん漏れ出てきちゃうっていう。俺がまさにこういうタイプなんですよね。“俺は頭が良い! 冷静だ!! すごいクールだ!!!”ってやってるつもりだけど、全然ボロが出ちゃっている(笑)。一見頭が良さそうだけど、結果ドジな部分は自分に似ていると思います。
【藤原】 実際シュウを演じたわけですから、結局、僕も近いんだと思いますよ(笑)。

3人のパワーバランスがうまくはまった

――シュウをリーダーに、人生の一発逆転を賭けて銀行強盗に押し入るのは、コジ(田中聖)&健さん(ブラックマヨネーズ小杉竜一)。背後で大金を狙う闇の帝王たちをよそに、金の配分をめぐって内輪もめする3人の小悪党ぶりが軽妙でした! 品川監督の演出はいかがでしたか?
【藤原】 シュウとコジと健さん、3人の関係性が大事になってくるので、その空気をうまく作ってほしいというようなことを最初に言われました。撮影前からリハーサルをやらせてもらえたり、ずっと一緒にいましたから、撮影が終わった今でもふたりとは繋がっている感じがしています。撮影中は「ここはこういうテンポで」とか、シーンごとに微調整していただく感じでしたよね?
【品川】 例えば竜也君に「このシーンでは、いい奴か悪い奴なのか、何を考えているのかわからない状態にしてほしい」というと、瞬時に『ドラゴンボール』のミスター・ポポみたいな感じになったり(笑)。さすがだな! と思いました。キャバクラの店内で3人が騙し裏切り合いを繰り広げていく一連のシーンで、それまでドジだった健さんがいきなりカッコよく見える瞬間があるんです。脚本の段階から小杉さんがおいしいシーンだと思っていたし、最初の本読みのときも、小杉さんがいちばん良かったんです。それに刺激を受けたのか、本読みの途中からグッと聖が良くなって……。
【藤原】 そうそう! 急に変わりましたよね。
【品川】 これはおもしろくなりそうだ、と。コジには健さんともみ合うアクションがあるけど、シュウはふたりの様子を黙って見ているだけで。でも本番で、切り返したカメラが捕らえたシュウの目一発の表情に“うわぁ、なんだこいつ!?”って鳥肌が立った。
【藤原】 うん、あそこは真剣勝負でした。
【品川】 3人の掛け合いのほとんどに笑いが入っているんですけど、そこだけはいっさい笑いがなくて。あのときの現場のピリピリした空気は、今でも憶えています。今回の撮影で竜也君が一度だけ「難しいですね」って言ったのも、あのシーンだったよね?
【藤原】 そうですね。あそこでシュウが発する言葉のチョイスをどうしようか、悩みました。
【品川】 どの言葉がいちばんしっくり来るのか、声のボリュームも含めて、俺もすごく悩んでいたので、本読みのときからいろんな言葉を言ってもらったりして。本番の竜也君のすごさには震えましたね。“きたっ!”って。
【藤原】 三すくみというのか、3人のパワーバランスがうまくはまった場面になりましたよね。
【品川】 カット割やカメラアングル、音入れといった映画的なテクニックも活かして、監督が観てほしいものを強制的に観客に見せられるという、映画の強みも発揮できたシーンに仕上がり、すごく気持ち良かったです。自画自賛じゃないけど、大好きなシーンのひとつになりました。

――ブラマヨの小杉さんをはじめ、中島美嘉さんなどさまざまな分野で活躍する人たちが集まるおもしろさは、現場でも感じられましたか?
【藤原】 やはり刺激的でしたよ。みなさん、それぞれの分野の第一線で活躍されている方々ですから。当たり前ですが、役と真面目に向き合ってくれましたし。品川組でなければ出会えなかった人たちとの真剣勝負じゃないけれど、新鮮な共同作業でしたね。シリアスなシーンも多々ありましたが、監督に助けられた、明るくアグレッシブな現場でした。
【品川】 緊張感もあったけど、楽しかったよね? カメラ脇でくだらない話で盛り上がっているときに、竜也君が大きい声を出したら、小杉さんが本当にビビっちゃって。おもしろい表情だったから、映画に取り入れたりしてね(笑)。
【藤原】 集中しなきゃいけない大事なシーンのときも、監督や小杉さんが、現場の緊張感をポイントで高めたり、緩めたりしてくれたので、非常にやりやすかったです。完成作からも新しい可能性を感じました。監督にはこれからも、もっともっといろいろな作品に挑戦してほしいです。
【品川】 お客さんの笑い声があってはじめて完成する漫才と違って、映画は完成した形でお客さんにお届けするものだから、今はとにかく後悔のないように、やれることを全部やり切って、公開日を迎えたいと思っています。最近はチラシを配っています(笑)。
【藤原】 そういえば先日ふたりで呑んだときも、お店の人に配っていましたよね(笑)。
(文:石村加奈/撮り下ろし写真:逢坂 聡)

サンブンノイチ

 舞台は川崎の仲見世通りにあるキャバクラ“ハニーバニー”。一発逆転を賭けた銀行強盗に成功、営業前のハニーバニーに駆け込む3人の男たちがいた。店の売上金を紛失した、店長・シュウ(藤原竜也)、借金まみれのボーイ・コジ(田中聖)、店の常連で破産寸前!?浪速の商人・健さん(ブラックマヨネーズ小杉竜一)。手に入れた大金はココで3分の1ずつ分け合う…はずだった。が、数億の金をめぐり内輪揉めが勃発。更にはこの大金を裏で狙う大物の影が―謎の女・まりあ(中島美嘉)、闇の帝王・破魔翔(窪塚洋介)、そして川崎の魔女・渋柿多見子(池畑慎之介☆)。果たして大金は誰の手に!?

監督:品川ヒロシ
出演者:藤原竜也 田中 聖 小杉竜一 中島美嘉
【映画予告編】 【公式サイト】
2014年4月1日(火)全国公開
(C)2014『サンブンノイチ』製作委員会

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