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赤い公園『注目度No.1☆ガールズバンドの意外な素顔とルールに迫る!』

赤い公園はSMAPの「Joy!!」を作った津野米咲(G)が楽曲制作をしている、注目度No.1のガールズバンド。不安定で過激で破壊的で、でも調和と癒しと普遍性を持った世界観……。そんな独特の音楽のルーツや、バンドの成り立ち、そしてドラマ主題歌である新曲「絶対的な関係」について、津野&佐藤千明(Vo)にインタビュー。尖った楽曲イメージとは違うフレンドリーで可愛らしい、2人の意外な素顔にも注目です。

いつも一生懸命ポップな曲を作っているつもり(笑)

  • シングル「絶対的な関係/きっかけ/遠く遠く」

    シングル「絶対的な関係/きっかけ/遠く遠く」

――ドラマ『ロストデイズ』(フジテレビ系)の主題歌「絶対的な関係」は破壊的でインパクトのあるバンドチューン。ギターの津野さんはSMAPの「Joy!!」の作詞・作曲もされていますが、とても同一人物の作品とは思えないです(笑)。
津野頭、おかしいですよね(笑)。でも「Joy!!」も実はメロディーもリズムもかなり複雑なので自分ではわかります、根っこは同じだなって。

――聴くほどにハマる、中毒性のあるところは共通してるかも。
津野そう言ってもらえると嬉しいです。よく「赤い公園でも「Joy!!」みたいなポップな曲を書いて」って言われるんだけど、私、これでも、いつも一生懸命ポップなものを作っているつもりなんですよ(笑)。「絶対的な関係」もドラマが閉塞感のある感じだから、どこかスッキリとした過激さのある曲にしたいなと思っていて。歌詞も“絶対的”というちょっと行き過ぎた言葉をあえて選んだんです。だから、今回は人が過激だと認識できる範囲っていうものを探ったというか。私たちのなかではかなりわかりやすく、親切になっているんですよ。

――キャッチーでポップということ?
津野そうですね。作る上では聴き手を振り回すぐらいドSでいたいけど、度を超えちゃうと、わかってもらえない悲しさも私たちは知っているので(笑)。今までは“ちょうどいいこと”をするのが苦手で、中途半端が嫌いだったんですよ。でもそこに捕われ過ぎて、逆に自由じゃなくなっていたっていう。

――楽曲のイメージ的には、エキセントリックな女の子たちなのかなって想像していました。でもすごくフレンドリー(笑)。
佐藤それ、すごく言われます。だから、逆にフツーでショックだったって。
津野「私、タイル張りのお風呂じゃなきゃ、入れないから」みたいな、クセのあるキャラだと思われるんでしょうね(笑)。

――赤い公園は高校時代の先輩後輩の関係で、佐藤さんは今でも津野さんを“津野センパイ”と呼んでいるそうですね。
佐藤そうなんです。学生時代の1歳差って大きくて、今も呼び捨てにできない。
津野崩せて“パイセン”だもんね(笑)。

――当時はそれぞれどんな印象でした?
津野ちーちゃん(佐藤)はすごく内気な子で、周りの人に迷惑なぐらい人見知りでした。
佐藤とにかく空気になろうとおとなしくしているんだけど、それがむしろ迷惑だったっていう(笑)。でも津野センパイもその頃は、軽音楽部でライブとかやっているのにすごい照れ屋だったんですよ。ステージでお客さんに右半身を向けて演奏していましたから。
津野恥ずかしく客席に対して体は斜め45度。なんならドラムを見てました(笑)。

――そんなふたりがよくバンドを(笑)。しかも後から入った津野さんが楽曲制作をすべてやり、バンドのリーダーになるって珍しいパターンですよね?
津野元々ちーちゃんたちがコピーバンドをやっていて、ヒマだった私がそこに臨時で入ったんですよ。で、記念に1曲だけオリジナルをやってみようかって曲を作ったら本能的に“このバンドにいたい!”って思って。そこからは私ひとりで勝手にスタートダッシュして、どんどん曲を作り始めたんですよ。
佐藤で、私たちは津野センパイから(曲を)与えられるから、やらなきゃ!って状態で。
津野素直なんです、3人は(笑)。
佐藤私たち3人はバンドってものをほとんど聴いてこなくて。初めて知るバンド音楽が津野センパイの曲だったんですね。だから赤い公園はヘンな音楽だねって言われても、よくわからなかった。どんな曲がきてもバンドはこういうもんだと思っていたんですよ。
津野とんだ勘違いだよね(笑)。

音楽はジャンルではなく、子供の頃からの記憶や過去と繋がっている

――確かに津野さんの曲にはあらゆる音楽を内包しつつ、どんなジャンルにもカテゴライズされない独特の世界観があります。
津野私のなかで音楽はジャンルではなく、“こんな風景を見たときに、こんな音が鳴っていたな”とか、常に子供の頃からの記憶や過去と繋がっているんです。だからそこにはクラシックも童謡もJ-POPも共存している。自分が作る曲は、完全にそういう私のなかの感覚とイメージの世界なんですよ。

――それを津野さん自身ではなく、他者――佐藤さんが歌うというのがまたこのバンドのおもしろいところで。
津野自分が弾き語りしていたこともあるんだけど、バンドでやると考えると自分の声は何の驚きもなくて、新しくないと思ったんですね。そんなときに、ちーちゃんの声を聴いてこれはニューパターンだなと。この“テレサ・テン声”は新しい!と思ったんです。

――“テレサ・テン声”?
津野すごく高くてキレイな音を出す楽器みたいな声です。それが自由性を生み出してくれる部分があって、どんな感情も表現してくれるなと。
佐藤だから「絶対的な関係」みたいな曲を歌うと、強烈なバンドサウンドと歌声の間に温度差が生まれるんですよね。その違和感をおもしろいと言ってくれる人はなかなかいないんだけど……(笑)。


――カップリングでは槇原敬之さんの「遠く遠く」のカバーを歌っていますが、こういう王道ポップス曲だと歌声との温度差がない。これはこれですごくハマりますよね。
津野“テレサ・テン声”が故郷に帰ったって感じですよね(笑)。「遠く遠く」は大好きな曲で、これだけ素晴らしい曲をカバーで表現するためには、もはやムダな“決め”は不必要だと思って、思い切って楽器を弾かないちーちゃんのギター弾き語りにしたんですよ。

――あのギターは佐藤さん?!
佐藤はい。津野センパイから提案されたときは驚きましたが、それを考えついて私に委ねてくれたことに本当に感謝していて。チャンスをくれてありがとう!って気持ちでやらせもらいました。
津野練習したもんねぇ。曲にはそんなちーちゃんの努力が純粋に滲み出ている。このシングルはドラマ主題歌で自分たちにとってすごく大事な作品だから、その顔の部分である「絶対的な関係」はいろいろ造形しなきゃいけないってことで、やっぱりフラストレーショが溜まってはいたんですよ。でもこのカバーで技術もアレンジも削ぎ落とした、音楽の純なところを表現できた。それは今後の自分たちの光のひとつになると思います。


――赤い公園が持つ独自性の一端を感じられるシングルですよね。
佐藤でもどっちの曲も偏ってはいますよね。
津野うん。「絶対的な関係」は頭がおかしくて、「遠く遠く」は異常なほどの音楽好きが垣間見えるっていう。どっちも友だちにしたくないタイプだよね(笑)。
(文:若松正子)

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