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芋洗い坂音楽ストリート『Vol.12 即売握手会のルーツはここに! 演歌の新潮流が熱い』

苦戦する音楽売り上げだが、演歌は変わらない

  • 約4年半ぶりに演歌シングル1位を獲得した、岩佐美咲「鞆の浦慕情」

    約4年半ぶりに演歌シングル1位を獲得した、岩佐美咲「鞆の浦慕情」

 オリコンから昨年の年間マーケットレポートを発表した。それを見ると、昨年の音楽映像パッケージの総売上金額は2934.3億円で、前年比89.7%にとどまった。一昨年は6年ぶりに対前年比増となったパッケージ産業だが、再び前年割れに反転した。

 盤種別に見ると、最も減少額の大きいのがアルバム。マイナス266億円で、対前年比85.6%となった。一昨年は松任谷由実山下達郎桑田佳祐ら大物アーティストのベストアルバムが総セールス額を押し上げていたが、昨年はそういった大物のベストがB’z以外に見当たらず、解散したFUNKY MONKEY BABYSのベストアルバムが19.4億円を売り上げたほか、Superfly西野カナのベスト等も健闘したが、全体のセールスを押し上げるところまでは残念ながらいかなかった。

 シングルは対前年比99.8%。一昨年と同レベルの売り上げを記録した。作品別でシングルを見ると、やはりAKB48関連シングルのセールスがダントツで、年度内に5作をミリオンセラーとしたのが光っている。AKB48をはじめとするアイドルたちの握手会等の即売イベントを核としたシングルセールスが引き続き好調だったことが、セールス的な健闘につながった。

 即売イベントは今やAKB48の専売特許のようになっているが、実はもともとは演歌歌手が広く積極的に行っていた販売施策だ。タイアップがうまく獲得できなかった演歌にとって、ユーザーに直接触れ合うことができる握手会やサイン会は大事な人気度アップのための場所だったのだ。

 そして今、シングル即売時代になり再び脚光を浴びつつあるのが演歌だ。折りしも、1月20日付のシングルランキングで岩佐美咲の「鞆の浦慕情」が総合1位を獲得した。過去2作のシングルはともに総合5位。年始の大物リリースの狭間という運も味方しての1位ではあったが、2009年8月の氷川きよし「ときめきのルンバ」以来の演歌歌手のシングル総合1位という記録は素晴らしいものであり、彼女の1位獲得で、ここに来て演歌の新勢力の注目度が高まったように思う。

さまざまな個性が顔を見せ始めた男性演歌陣

  • ロングヒット中の福田こうへい「南部蝉しぐれ」

    ロングヒット中の福田こうへい「南部蝉しぐれ」

  • 川上大輔の3rdシングル「言葉に出来ない男です」(13年2月19日発売)

    川上大輔の3rdシングル「言葉に出来ない男です」(13年2月19日発売)

 そういう視点で演歌界を見てみると、ここに来て多くの新人がランキングを賑わせていることに気がつく。

 まずは、昨年末の『日本レコード大賞』、『NHK紅白歌合戦』で俄然注目度が高まった「南部蝉しぐれ」の福田こうへい。発売が12年の10月24日。1年以上をかけてゆっくりとセールスが上昇し、紅白を経て2014年1/13付のランキングで初のベスト10入りとなった。1976年9月生まれ岩手出身の37歳。民謡の世界では10年ほど前から数々の全国大会を制覇する実力派。これまで、全国的に注目されなかったことが不思議な逸材だ。民謡で鍛えたボーカルは心地良く、ほかの作品も聴いてみたいという気にさせる魅力がある。次回作がどう推移するのかを含め、今年が楽しみな存在だ。

 声の魅力といえば、川上大輔も忘れてはいけない。1984年11月生まれの30歳。昨年2月6日に「べサメムーチョ」でデビューした。その妖艶なユニセックス・ボーカルはデビュー当初から話題になり、イケメンのルックスとともに中高年女性のハートを虜に。2月19日には3枚目のシングル「言葉に出来ない男です」を発売するが、この曲は演歌では珍しく、テレビ東京系の『三匹のおっさん』というドラマタイアップがついた。ドラマの初回視聴率が11.6%と大健闘。この作品に対する注目度も高く、デビュー2年目の川上も要注目なのだ。

 また、2001年4月にデビューし、キャリア10年。地道にふれあいキャンペーンを行いながら、その柔らかなキャラクターで女性ファンを増やし続け、2009年に発売した「風連湖」がシングル総合ランキングで初のTOP20入りしたのが山内恵介。そして、昨年3月発売の最新シングル「釧路空港」は最高順位11位を記録した。そろそろ次回作も発売が近づく。彼も今もっとも注目される演歌男性新潮流だと言える。

 男性陣ではほかにも、『NHKのど自慢』優勝から昨年デビューした徳永ゆうき、『さんまのスーパーからくりTV』(TBS系)から飛び出した大江裕、話題の歌謡コーラス3人組ハヤブサ、デビュー4年目に入った、はやとなど強力な個性が目白押し。男性演歌陣は今年一気に大きく様変わりしそうな気配だ。

これからの新人が多数、ランキングに顔を出す女性演歌

  • ユニークなCMソングでも話題を集めたさくらまや(右) ※MarMeeデビュー記念イベントの模様 (C)ORICON NewS inc.

    ユニークなCMソングでも話題を集めたさくらまや(右) ※MarMeeデビュー記念イベントの模様 (C)ORICON NewS inc.

 さて、岩佐の総合1位で活気づく女性演歌の新潮流はどうか。今の演歌界を動かしているファンは、中高年の女性たち。そこにどう支持されるかが勝負の分かれ目となる。

 そんな中で注目したいのは、2008年12月にわずか10歳でデビューした天才演歌歌手・さくらまや。デビュー曲「大漁まつり」は最高位83位を記録するスマッシュヒットになった。しかし、その後は大きなヒットには恵まれていないが、昨年はCMでミゲルくんとユニットを組んで話題になるなどちょっとオトナになって魅力が倍加しており、今年あたり一気にブレイクする可能性もありそうだ。

 また、フォークタッチの歌謡曲で確実にファンを増やし続ける、あさみちゆきも注目したい。井の頭公園の歌姫として当時話題になった彼女もデビューから10年が経った。歌の表現力は抜群で、彼女の歌を支持するファンは多い。昨年10月に発売された最新作「愛染桜」は総合シングルランキングで最高位39位。今年はさらに上を目 指して欲しい。

 そのほかにも、椎名佐千子真木ことみ川野夏美竹川美子葵かを里花咲ゆき美山口ひろみなど、キャンペーンを活動の中心として地道にファンを拡大し続ける演歌歌手が実はランキングを見ていると数多くいることに気がつく。

 地道な活動を基盤としたやり方で着実にファンを増やしつつある演歌系の新潮流。ここから、今年ブレイクするのは誰か、興味を持って見ていたい。

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