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韓国映画特集『活況を呈する韓国シーンから続々日本上陸!新たな傾向と動向を探る!!』

2013年、映画館の来場客が史上初めて2億人を突破し、まさに活況を呈している韓国映画シーン。そのなかから勢いのある作品たちが2014年も新春から続々と日本上陸する。日本公開ラインナップの新たな傾向と、世界を向くここ最近の韓国映画界の動向を探る。さらに韓国の鬼才、ポン・ジュノ監督にインタビュー! グローバルプロジェクトとして手掛けた韓米仏合作『スノーピアサー』と、韓国映画界の現状について聞いた。

史上初の2億人突破!活況を呈する韓国映画シーン

 2013年、韓国では映画館の来場客が史上初めて2億人を突破して、まさに活況を呈している。そんな状況については、前回の特集『韓国映画のニュームーブメント』でも紹介した。好調なのは国内だけではなく、韓国映画は海外でも話題となることは多い。キム・ジウン監督は『ラストスタンド』で、パク・チャヌク監督は『イノセント・ガーデン』でハリウッドデビューを果たし、ポン・ジュノ監督の『スノーピアサー』も、今後ヨーロッパや北米での公開を予定している。

 これだけ国際的な話題があると、韓国映画は外に向かっているのかと思いきや、そこまででもないようだ。ポン・ジュノも「たまたま今年がそういう年になっただけで、次回作は韓国の俳優で撮るつもり」と言っているように、韓国の映画界は、2億人にもなる巨大な国内マーケットに向けた作品に力を注いでいて、そのなかで冒険的な作風にも挑戦しているように見える。

 今年韓国で1000万人の動員を超えたのは『7番房の奇跡』一本のみだ。ただ、ほかにもソン・ガンホ主演の時代劇『観相』、前出の『スノーピアサー』は900万人を記録したほか、キム・スヒョン主演の『隠密に偉大に』や、日本でも公開された『ベルリン・ファイル』が700万人のヒットとなった。またハ・ジョンウ主演の『ザ・テロライブ』など、300万人から500万人ヒットの作品が何本も出ている。“映画を観る”という環境が日本よりも気軽であることから、これだけのヒット作品を生んだということだろうか。

 そんななかでも好調なのが、配給会社のNEWだ。韓国には、CJエンタテインメント、ロッテエンターテイメント、SHOWBOXという大手配給会社があるが、新興のNEWは、2013年最大のヒット作である『7番房の奇跡』のほか、キム・ギドク監督作品やギドクのプロデュース作品を配給している。また、日本でも公開される『新しき世界』や、チョン・ウソンの『監視者たち』、スリラー映画の『かくれんぼ』など500万人クラスのヒットを連発している。

 NEWの例を見てもジャンルに限らずヒット作があることがわかるが、今年の韓国映画の傾向を見ると、なんらかの特徴があるというよりも、時代劇からサスペンス、クライム、アクション、ラブストーリーまで多種多様であるというほうが正しいだろう。国内市場が盛り上がっているからこそ、そのニーズにあわせた多様なジャンルを制作できているのかもしれない。

新たな要素も!作品の傾向で見る2014年春公開ラインナップ

 では、そんな多種多様な韓国映画のなかから、これから日本で公開されるものについて紹介したい。

 2014年、日本で公開される韓国に関する主な映画には、パンデミックを描いた『FLU 運命の36時間』、ホ・ジノ監督、チャン・ドンゴン主演の『危険な関係』、ロックバンド・CNBLUEのドキュメンタリー『The Story of CNBLUE/NEVER STOP』、西島秀俊主演、キム・ソンス監督の『ゲノムハザード ある天才科学者の5日間』、実話をもとにした『母なる復讐』、チェ・ミンス主演の『新しき世界』、ポン・ジュノ監督のSFアクション『スノーピアサー』、BIGBANGのT.O.P主演の『同窓生』、動員1000万人突破の『7番房の奇跡』、オ・ギファン監督の韓中合作映画『最後の晩餐』、子役出身のヨ・ジング主演のサスペンス『ファイ 悪魔に育てられた少年』、900万人のヒット作『観相』などが決まっている。

 これらの作品から韓国映画が見えるわけではないが、日本で好まれる韓国映画の傾向が見えてくるのではないだろうか。

 2013年前半は“K-POPスターの人気”“ウェルメイドな作品”“進化形クライムアクション”“作家性のある監督作”“国際的な作品”という要素があると前回の特集では指摘したが、新春から春までの公開作も、こうした前回の要素と、新たな要素が融合したラインナップであることが見えてくる。

【K-POPスターの人気】
まず“K-POPスターの人気”に関しては、CNBLUEの日本で音楽修業をしていた時代を振り返りながら、ワールドツアーまでの軌跡を追ったドキュメンタリー『The Story of CNBLUE/NEVER STOP』や、BIGBANGのT.O.P主演の『同窓生』などがあてはまるだろう。『同窓生』は、妹の命と引き換えに北朝鮮の工作員として殺し屋になる青年の話。以前T.O.Pが出演した大ヒットドラマ『IRIS -アイリス-』ともリンクする役柄だが、本作に続き新作映画の撮影にも入るということで、次世代を担う俳優としても期待されている。

【実力派俳優の骨太作品】
K-POPスターだけではない。チェ・ミンシク、ソン・ガンホ、今回のラインナップにはないが『ザ・テラーライブ』が韓国で好調だったハ・ジョンウといった実力派俳優が主演の作品に対する日本の期待は高い。2014年には、チェ・ミンシク、イ・ジョンジェ、ファン・ジョンミンという渋い俳優主演のノワール作品であり、アメリカでのリメイクも決定している『新しき世界』も日本にやってくる。また、ソン・ガンホ主演作としては、『スノーピアサー』や『観相』も公開される。

【進化形サスペンス、実話が題材の問題作】
『FLU 運命の36時間』や『ゲノムハザード〜』、『ファイ 悪魔に育てられた少年』といった、“韓国サスペンス”に対する期待も強い。また、日本では『トガニ 幼き瞳の告発』や『カエル少年失踪殺人事件』などの実在の事件をもとにした作品への注目も高いことから、実際に起こった未成年者の性犯罪事件を描いた『母なる証明』も公開が決定したのではないだろうか。

【新たな合作スタイル】
『ゲノムハザード〜』は、日本の原作をもとに、西島秀俊を主演に迎え、日韓両国が共同で企画、製作、配給を行った合作映画だが、ほかにも、中国との合作でホ・ジノが監督、チャン・ドンゴン主演の『危険な関係』がある。また、『ラスト・プレゼント』のオ・ギファン監督がメガホンをとり、オール中国語圏のキャストで制作した『最後の晩餐』、CJエンタテインメントのグローバルプロジェクトで、韓国・アメリカ・フランスの合作『スノーピアサー』などもあり、これまでとは違った形の合作作品が多く公開される。

【1000万人クラスのヒット作】
1000万人ヒットの『7番房の奇跡』は“ウェルメイドな作品”のひとつであり、韓国で大ヒットする作品には、2013年の『私のオオカミ少年』のような大人のためのファンタジーもジャンルのひとつとして定着している。また、時代劇ながらもソン・ガンホ、イ・ジョンジェなどが主演で900万人のヒット作となった『観相』も日本に上陸する予定だ。
(文:西森路代)

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