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地下アイドルヲタの現場記録〜知られざる世界の実情〜【第9回】

地下アイドルヲタを自認するライター、シーウィード高科。アイドルへの“ガチ恋”経験も経て得た、その特異な世界でのすべての感情、思い出の数々を赤裸々に白日のもとにさらす! ここまで深い地下アイドルの世界、アイドルヲタの実情を少しでも理解してもらうために……。3ヶ月間の集中連載第9回!!

【第9回】新規アイドルファンに注意セヨ!

地下現場は荒らされ始めている。
マナーを知らない新参アイドルファンが地下現場を蹂躙しだした。

 AKB48やももクロブームのおかげで、これまでの“アイドルヲタ=キモい”のイメージがずいぶん様変わりしたなぁと感じている。いまや、普通に可愛い女子中高生が握手会に並び、え? モデル? と錯覚してしまうくらいに綺麗な女性が、メンバーと同じ衣装にコスプレしてペンライトを振り、普通にモテそうなイケメンが法被を着たりしてメンバーの名前を叫んでいる。市民権を得るところまで来たとは言わないが、限りなくそれに近いところまでカルチャーとして裾野が広がったといえるだろう。

 そしてその広がった地上でのアイドルブームは、地下現場にどんな影響を与えたのか。

 正確にいうと、実は地下現場自体にはほとんど影響はない。一番大きいのは半地下、半地上クラスの現場だ。100〜500人のファンを呼べるグループのことを指すが、ここの荒れ方は酷いものがある。地上の現場で覚えたにわかの応援を我が物顔で、とにかく騒ぎたいだけの輩が大量発生しているのだ。

 もともとアイドル現場での応援というのは静かなわけではなく、ミックスやオーイングと呼ばれるコールや様々なBPM(リズムのテンポを示す単位)に合わせた手拍子、ケチャが混じり合って形成されている。先人たちが作り上げたスタイルなのだが、それをただの騒ぐだけのツールとして使うバカどもにより秩序が崩壊しつつある。

 それをするのは、大概が近年のアイドルブームで乗っかってきた新参ファンたちだ。彼ら彼女らにはマナーという概念が抜け落ちている。楽しけりゃいいじゃん! 騒いだら楽しいじゃん! だ。それがすべて間違っているとはいわないが……。

 私はどうしても、こんな現場を観るたびに非常にゲンナリしてしまう。必死に歌って踊る子に背を向けて、自分たちだけでサークルを作って絶叫したり水を巻いたりペットボトルを投げたり……。

 いっておくが、2013年現在はパンクロックのライブだってなんでもありじゃあない。自由とされる現場でも最低限守るべきルールを“考えて”楽しんでいる。様々な変遷を遂げ、そうやって誰もが入れるカルチャーとして確立するために、なおかつ広げるために、演者もお客も同じようにがんばって作り上げた結果だと思う。素晴らしいことだ。

 では、同じようなことは出来ないのだろうか?
 残念ながら、現状ではかなり厳しいだろう。

 アイドルライブにおいてはとくに客側のエネルギーの質量が現場の空気を大きく左右する。良くも悪くも、お客側が持つ比重が相当レベルにあるのだ。それはアイドル側も理解しているし、運営もわかっているはず。まだまだ売れていない場所でお客の良し悪しで選別する余裕などない。一人ひとりがお金を落としてくれる大事なお客様には違いないのだ。メンバーに直接の被害を与えるようなことが無い限り、こういった一部のピンチケ(マナーの悪い中高生などのファン)層が荒らすことは止まらない。

 ただ少しだけ頭を働かせたらね、阿呆な応援こそがアイドルに迷惑をかけてることに気づくと思うのだけど……。

 ではなぜ、地下にはこういった層が降りてこないのだろうか。答えは簡単。客も少ないので誰が騒いだなんか一発でわかるのだ。あげくそれがマナー違反だった場合、ヲタ同士で排他されることもある。

 もちろん、そういったことが新規ファン獲得の障壁になっているケースも多々あるので、それはそれで問題はあるし、それこそ村社会とも揶揄される。ただ、マナーを知らない人間に教える場所にもなりうるし、そうでないと一生わからないことでもある。私としては、アイドルが好きだというなら一度は通ってほしい場所だと思う。

 と、なんだかんだいいながらも現場を荒らす側と守る側はどちらにせよアイドルが好きに変わりはないわけで、その想いが自然にバランスが取れるようになるのを失望せずに見守る時期なのかもしれない。

 そういった新参アイドルファンが一介のブームでいなくならなければ、の話だが……。ブームで来て騒ぐだけなら、地下は容赦しないよ。
(文:シーウィード高科)

連載:地下アイドルヲタの現場記録 BUCK NUMBER


【最終回】地下現場に通うヲタの気持ち
【第9回】新規アイドルファンに注意セヨ!
【第8回】ロックフェスにアイドルがブッキング!
【第7回】アイドル業界のビジネス
【第6回】推し被り敵視と心の病み
【第5回】ファンとヲタは違う生き物!
【第4回】ブレイク=古参が離れるタイミング[Part2]
【第3回】地下→ブレイク→地下のループ[Part1]
【第2回】女の子に突きつけられる競争社会の現実(握手会編)
【第1回】地下アイドル現場の実情(序章)

[PROFILE] シーウィード高科
出版業界で働きながらもモーニング娘。の登場でアイドルにハマり、その後、有名無名の様々なライブに通うようになる。1年間でのライブの本数は約200本。現在はデジタルコンテンツ・プランナーとして働きながらアイドルライターとしても活動する。ご飯代よりも握手とチェキ代を優先しているうちに自然にダイエットに成功した現場主義者である。

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