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地下アイドルヲタの現場記録〜知られざる世界の実情〜【第6回】

地下アイドルヲタを自認するライター、シーウィード高科。アイドルへの“ガチ恋”経験も経て得た、その特異な世界でのすべての感情、思い出の数々を赤裸々に白日のもとにさらす! ここまで深い地下アイドルの世界、アイドルヲタの実情を少しでも理解してもらうために……。3ヶ月間の集中連載第6回!!

【第6回】推し被り敵視と心の病み

同じ子を好きになると嬉しい?嬉しくない?複雑な感情は人を間違ったほうに進ませる。

 前章では“おまいつ”について書いたが、今回は新規でやってくるファンとの関係について触れてみよう。コレに関しては人によってパターンが多すぎるので、“推し被り敵視”について言及していく。

 ちなみに“推し被り”とは、自分が応援しているメンバーが他の人と被ることで、“敵視”は言葉通りに敵とみなして扱うことだ。

 ただ、よく考えてみるとこの感覚は、地上で生活をしている人たちにはさっぱりわからないかもしれない。
 例えば、剛力彩芽が好きだ! とか堺雅人が好きだ! という人がいて、自分も同じように好きだったら嬉しいし話も弾むし、少なくとも敵のように扱う事はありえないと思う。
 だが、地下事情では話が違うのだ!

 古くから通っているヲタからすると、新規で入ってくるファンに対しては基本的に歓迎をする。そりゃあやっぱり、推している子の前にいるヲタが、自分ひとりよりも複数いれば、その子だって嬉しいしステージでの笑顔だって増える。そんな顔を観れるのならヲタだってこんなに幸せなことはない。そんな感じで、時には最前を譲ってあげたりイベント後に食事に誘ったり初期の頃の話をしたりと、非常に良好な関係となっていく。ここまでは地上と同じだろう。ここから、だ。

 だんだんと現場に通う頻度が増えてくるにつれ、推しの子が新しいヲタの顔と名前を認知しだすと、自然に握手や撮影会などの接触イベント中での対応時間も多くなる。そうなると自分に割かれる時間も少なくなっていく。

 だが、これに関しては、実はそこまで問題ではない。古いヲタ側だってファンが増えることは嬉しいわけだし、だったら自分がもっとガッついて積極的にコミュニケーションを取っていけばいいだけの話だ。強引に話に割り込んだり、今までになかったポーズでチェキを撮って楽しくしたりと様々なやり方で保っている。古くから通っているからこそ成せる技だ。

 だが、それを続けていると、今度はアイドル側から面倒くさい存在のように扱われ始めたように感じたりする。実際のところはそんなことはない。常連への対応がナァナァになってしまうのこそ、信頼の裏返しとも取れるではないか。

 だがそれに気づかないでいると、もしかすると自分よりも新規のアイツのほうが大事にされているんじゃないか? アイツと話してるほうが楽しそうに見えるぞ? と完全な勘違いを起こし始め、なんで自分はこんな古くから推しているのに最近来たやつを! と敵視しだすのだ。

 こうなってしまうと、非常に厄介であると言わざるを得ない。なにせ、完全なる勘違いの思い込みなのだ。アイドル側がヲタをそのように扱うことで良いことなんかありゃしない。そんなことして恨まれたいとなんて誰ひとり思わないはずだ。が、勘違いしたままのヲタは、そんな冷静になどなれるはずもない。

 そしてやがて、“推し被り敵視”は“心の病み”に変貌を遂げる。
 怒りに怒ったあと、今度はその真逆に感情が振り切ってしまって「もう俺の居場所なんかない。俺なんていないほうがいいんだ……」と落ち込んで心を病んでしまう。

 書いていて泣けてくる。だって、ここまで人を好きになれる感情豊かな純粋な人間なんてそうそういない。間違いなく人として素晴らしいものを持っている人に違いない。

 ……まぁそれは話が逸れてしまうので置いておくとして、この後にどうなるかは二通りに別れる。他ヲタが慰めたりした時には、アイドル側もそれに気づいて今まで以上に優しく対応をするようになり、そのまま居続けるパターン。もうひとつは、まさかのバッド・エンディング、“他界”だ。

 現場でいう“他界”とは、文字通りにいなくなること。今まで捧げた時間もお金もすべて投げ捨てて消えてしまうのだ。想像を絶するような決断である。

 と、かなり悲壮感漂う感じで書いておいてなんだが実はそこまでバッドでもない(笑)。“他界”したヲタは9割の確率で他現場のヲタとなる(苦笑)。

 そのまま地下現場から足を洗えばいいのに……と思うかもしれないが、そうもいかない。どんなに嫌な目にあっても、どんなに苦しい思いをしても、そこに居ることでそんな感情を吹き飛ばしてくれる。それが地下アイドル現場が持つ不思議なパワーと魅力であり、麻薬のような中毒性の高い“危ない場所”であることの証拠とも言える。一度踏み入れたらなかなか抜け出ることができない場所……。
 やっぱりおもしろい。
(文:シーウィード高科)

連載:地下アイドルヲタの現場記録 BUCK NUMBER


【最終回】地下現場に通うヲタの気持ち
【第9回】新規アイドルファンに注意セヨ!
【第8回】ロックフェスにアイドルがブッキング!
【第7回】アイドル業界のビジネス
【第6回】推し被り敵視と心の病み
【第5回】ファンとヲタは違う生き物!
【第4回】ブレイク=古参が離れるタイミング[Part2]
【第3回】地下→ブレイク→地下のループ[Part1]
【第2回】女の子に突きつけられる競争社会の現実(握手会編)
【第1回】地下アイドル現場の実情(序章)

[PROFILE] シーウィード高科
出版業界で働きながらもモーニング娘。の登場でアイドルにハマり、その後、有名無名の様々なライブに通うようになる。1年間でのライブの本数は約200本。現在はデジタルコンテンツ・プランナーとして働きながらアイドルライターとしても活動する。ご飯代よりも握手とチェキ代を優先しているうちに自然にダイエットに成功した現場主義者である。

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