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地下アイドルヲタの現場記録〜知られざる世界の実情〜【第4回】

地下アイドルヲタを自認するライター、シーウィード高科。アイドルへの“ガチ恋”経験も経て得た、その特異な世界でのすべての感情、思い出の数々を赤裸々に白日のもとにさらす! ここまで深い地下アイドルの世界、アイドルヲタの実情を少しでも理解してもらうために……。3ヶ月間の集中連載第4回!!

【第4回】ブレイク=古参が離れるタイミング[Part2]

応援し続けるには程よく近い距離感が必要である。接触イベントは大きな価値を持っている。
※接触イベント=握手会などメンバーと直接触れることができるイベント

 前回は恋愛スキャンダルによるヲタ離れについて書かせていただいたが、今回はブレイクによるヲタ離れを主題にする。オチつきで。

 一般の人からよく言われるのが、“売れたからつまらなくなったんでしょ?”や“自分だけが知っていて、売れたらクリアの育成ゲームみたいものなんでしょ?”だ。

 ……何を言ってやがる(笑)。そういった輩には面倒なので本心は言わない。
 言ったところでわかるわけがないのだから。

 さて、ここで怒っても仕方ないので本題に入ろう。先に要点を言うと【離れる理由は、売れたことによる運営の体制の変化に伴う距離感のズレ】である。

 これは、売れる前の地下レベルから地道な応援をしているヲタの独特な感情と言えよう。

 そしてこの問題を解消することは……不可能に近い。
 通常、ブレイク前のアイドルは、イベント毎に握手会や2ショット会というものを催す。電気屋さんやデパートの屋上、ライブでの物販スペースなど場所を選ばずに、いうなれば三畳一間のスペースさえあればどこでだって出来るものだ。

 そして、それが週末となると1日に2〜3回は当たり前。平日にもブッキングされることも考えると、週に5〜7回は平均して参加することになる。もちろん、ほぼ有料だが。

 自分が好きなアイドルと日常的にそこまで接するとなると、当然のごとく名前も覚えられて認知もされるし、少人数なわけだからライブ中のレス数も凄まじい。
※レス=目線や曲中の指差しを個人に対してすることの簡約。

 握手や2ショット撮影会中の会話が、今朝何食べたの〜? など普通の友だち感覚になってくることもしばしば。アイドル側だって、最初は自分を推してくれる客を捕まえるのに必死だが、土日かまわずに四六時中いてくれる、通称おまいつと呼ばれる存在となると半分身内みたいに話してくれる。
※おまいつ=おまえいつもいるよなの略。

 こんな時期を過ごしてきて、何かをきっかけにブレイクするとどうなるか。

 まず、ファンが増えるぶん今まで少人数だからこその自分に飛んできていたはずのレスがガクンと落ちる。いつもこの曲のこの箇所は自分を見ながら歌ってくれていたのに……。と落ち込むし、その子を推しているライバルも増える。言い方は厳しいが、アイドル側の目線で見たらいつもいるヲタより新規のファンを獲得していきたいだろうし、そりゃあ当たり前のことだ。

 だがこれはライブ中のことだし、ある程度は仕方ない部分もある、とまでは理解できる。
 問題は物販・接触イベントの時間にある。

 ファンが1000人越えのレベルともなると、それまで握手しながら3〜5分も話せたのに、限られた時間のなかで人数を消化しなければならないため、後方にスタッフがつく。

 せっかくの握手中に、スタッフに声をかけられたり肩を叩かれたり、腰のあたりを持って強制的に動かされたりして終わりを告げるのだ。

 その規模ともなると、握手できる時間は平均3〜5秒くらい。支払っている金額はそれまでと変わらないのに……である。悪夢のようなレギュレーションだ……。

 そして、さらに売れて万単位ともなると、接触イベント自体は無くなってしまう……。
 そうなってしまうと、どれだけ良いライブをしようが、どれだけ笑顔を振りまいてくれようが、モチベーションの低下は著しい。

 直接ライブの感想を伝えたり、至近距離で会話をすることが不可能になってしまうのだから。何より、それまで出来ていたことが出来なくなるのはキツい。それは、数百人規模から来てる人間には絶対にわからないであろう、どうしようもないヲタ感情なのだ。あまりにも……あまりにも遠い距離だ……。

 売れて欲しかったり、大きな舞台に立ちたいというメンバーの夢を叶えてあげたくて必死に応援するのだが、それが達成されたときにはそれまで支え続けた役割と居場所を失ってしまう……。

 ただ、これはメンバー側というよりも運営側の方針であるし、売れれば当然のことだと理解している。理解している。……理……解……しているだけに、消化できない鬱々とした感情を抱えてしまうのだ。

 そんなときに、まだまだ地下で頑張っているアイドルたちのライブを偶然観てしまうと……。握手や写真撮影などでワイワイしているのを目にしてしまうと……。

 やっぱりそっちのほうがいいなぁ、もう役割は終えちゃったからなぁ……また、ここから始めるか! と、地下に降りて行くのである。

 名前を覚えてもらいたいし、一緒に写真も撮りたいし時間が許す限り握手しながらお話をしたい。また、ゼロ距離から少しずつ〜。

 まったくもって、面倒くさい生き物がヲタである。
 自戒の念を込めて。
(文:シーウィード高科)

連載:地下アイドルヲタの現場記録 BUCK NUMBER


【最終回】地下現場に通うヲタの気持ち
【第9回】新規アイドルファンに注意セヨ!
【第8回】ロックフェスにアイドルがブッキング!
【第7回】アイドル業界のビジネス
【第6回】推し被り敵視と心の病み
【第5回】ファンとヲタは違う生き物!
【第4回】ブレイク=古参が離れるタイミング[Part2]
【第3回】地下→ブレイク→地下のループ[Part1]
【第2回】女の子に突きつけられる競争社会の現実(握手会編)
【第1回】地下アイドル現場の実情(序章)

[PROFILE] シーウィード高科
出版業界で働きながらもモーニング娘。の登場でアイドルにハマり、その後、有名無名の様々なライブに通うようになる。1年間でのライブの本数は約200本。現在はデジタルコンテンツ・プランナーとして働きながらアイドルライターとしても活動する。ご飯代よりも握手とチェキ代を優先しているうちに自然にダイエットに成功した現場主義者である。

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