ドラマ&映画 カテゴリ
(更新: ORICON NEWS

この夏、新作映画が3本公開 三木孝浩監督ってなんなん?

 国内外の話題の映画が次々と公開されている今年の夏、『今夜、世界からこの恋が消えても』(7月29日公開)、『TANG タング』(8月11日公開)、『アキラとあきら』(8月26日公開)のメジャー作品3本に共通すること、それは監督が三木孝浩であるということだ。短期間に新作映画が3本公開され、「文化祭と体育祭と修学旅行がいっぺんに来たみたい」とうれしい悲鳴をあげている三木監督って!?

三木孝浩監督 (写真提供:東宝)

三木孝浩監督 (写真提供:東宝)

【第3回】池井戸ワールド初参戦で新境地

 3本目『アキラとあきら』は、『半沢直樹』『下町ロケット』『陸王』など、数々の大ベストセラーを生み出してきた日本を代表する作家・池井戸潤氏の経済小説が原作。三木監督は「マーベル・シリーズに参加するような、壮大な池井戸ワールドに初参加するワクワク感もありました」と語っている。
 『アキラとあきら』は、大手の銀行を舞台に、2人の青年の成長と巨大企業破綻の危機に立ち向かっていく姿を描いた感動巨編。子どもの頃に父親の経営する町工場が倒産し、厳しい経験をしてきた山崎瑛(やまざき・あきら)。大企業の御曹司ながら次期社長となることを拒否し、血縁のしがらみに抗い続ける階堂彬(かいどう・あきら)。日本有数のメガバンクである産業中央銀行に同期入社した2人は、信念の違いから反目し合いながらも、互いを認め合い、ライバルとしてしのぎを削っていく。山崎瑛は自分の信念を貫いたことにより左遷され、階堂彬は階堂家の親族同士の争いに巻き込まれるが…。

映画『アキラとあきら』(C)2022「アキラとあきら」製作委員会

映画『アキラとあきら』(C)2022「アキラとあきら」製作委員会

――爽やかな青春映画や恋愛映画の名手として数々の作品を手がけ、大ヒットに導いてきた中で、『アキラとあきら』のオファーを受けた時はどう思われたのでしょうか?

三木この夏の3作品の中でいうと、『アキラとあきら』だけ少しジャンルが違う、池井戸潤さん原作の企業もので、出演者もすごく多かったですし、一番チャレンジングな状況ではありました。一方で、ほかの池井戸さんの作品と比べて『アキラとあきら』は、青春物語としても読める。竹内涼真くん演じる山崎瑛(アキラ)と、横浜流星くん演じる階堂彬(あきら)の関係性は、男同士のライバルであり、友情もあり、お互いを意識し合う関係性のブロマンス感は、自分が今まで青春恋愛もので培ってきた経験を活かせると思いました。

――映像化作品も数多の池井戸作品。プレッシャーもあったのでは?

三木池井戸作品は数多く映像化されているので、プレッシャーはありつつも、マーベル・シリーズのような、壮大な池井戸ワールドに初参加するワクワク感もありました。

――『アキラとあきら』は2017年にWOWOWで連続ドラマ化(主演:向井理、齋藤工)もされています。映画化するに当たって考えたことは?

三木何にフォーカスして、何を描くのかというのはすごく考えましたし、経済の知識がなくても楽しめる、グッとくる熱い人間ドラマを作りたいと思いました。今回の映画では、出自の異なる二人の青年がそれぞれの宿命を背負いながらもお互いライバルとして認め合い、意識し合い、成長していく物語として、『ドラゴンボール』の悟空とベジータ、『SLAM DUNK(スラムダンク)』の桜木花道と流川楓みたいな少年漫画にあるように、対立していたライバル同士が手を結ぶ展開を強調して脚色させていただきました。原作者の池井戸さんが脚色を許可してくださり、感謝しています。

勢いある2人の俳優の熱量に心滾るものがあった

映画『アキラとあきら』(C)2022「アキラとあきら」製作委員会

山崎瑛(竹内涼真)=映画『アキラとあきら』(C)2022「アキラとあきら」製作委員会

――竹内さんとは『青空エール』(16年)、横浜さんとは『きみの瞳が問いかけている』(20年)以来、それぞれ2度目のタッグとなりました。

三木竹内くんと流星くんがタッグを組むというだけでも僕はワクワクしていました。同じ世代の俳優さんで、それぞれ主役を張ってきて、少なからず意識するところはあると思うので、そういったものをうまく生かして、竹内くん、流星くんの間でバチバチと火花が散るような芝居をみせてくれたら、きっと面白くなる、と思いました。実際、お互いに負けられない、という思いはあったと思います。

――お二人の変化、成長ぶりを、カメラ(モニター)を通して感じることはありましたか?

三木竹内くんの『青空エール』は、『仮面ライダードライブ』で大ブレークして間もない頃に撮影させていただいたので、現場で戸惑う姿というのも目にしていたんですが、『アキラとあきら』の現場での安心感たるや、という感じでしたね。

 流星くんはわりと最近ですが、ますます熱心になられたという印象です。今回の現場では、資料の扱い方や見方、電卓の使い方などについて、銀行監修のスタッフの指導を仰ぎながら撮影していったのですが、自ら申し出て追加で個人レクチャーを受ける、なんてこともありました。

 2人とも主演作を重ねて、自分が現場を、この作品を引っ張っていかなければいけないという気持ちが伝わってくる、そんな空気感がそれぞれにありました。今まさに勢いある2人の俳優の熱量と、劇中のアキラとあきらがシンクロして、現場で心滾(たぎ)る瞬間が何度もありました。

映画『アキラとあきら』(C)2022「アキラとあきら」製作委員会

階堂彬(横浜流星)=映画『アキラとあきら』(C)2022「アキラとあきら」製作委員会

――今回、集中して3作品についてお伺いしましたが、作品づくりにおいて大切にしていることはなんですか?

三木僕自身、ピリピリした現場は嫌いなので、キャストはもちろん、スタッフ全員、撮影現場に行くのが楽しい、そう思ってもらえる現場にしたいと常々思っています。誰でも意見が出しやすい、こうしたらもっと良くなるのに、と思ったことを全部吐き出せるような風通しの良い雰囲気づくりを心がけています。

――『僕等がいた』が一つ、ターニングポイントになったというお話もありましたが、三木監督の経験則から、チャンスをつかむ、次につなげるひけつは何だと思いますか?

三木自分は、オリジナルの脚本を書いて撮る映画作家ではなく、企画をいただいて、それを形にしていく、プログラムピクチャーを作る職人監督だと思っています。企画提案してくださった方が、どういう作品にしたいのかを読み解き、最終的により多くの方に楽しんでいただける作品にするためにどうしたらいいのか、それを考えるのが自分の仕事だと思っているので、過大評価も過小評価もせず、冷静に分析するというのは一つ大事なことだと思っています。

――三木監督がヒット作を量産してきた背景には、製作サイド、観客、キャスト、スタッフのニーズや状況、変化を読み解き、分析する力があるようだ。

映画『アキラとあきら』(C)2022「アキラとあきら」製作委員会

メイキング=映画『アキラとあきら』(C)2022「アキラとあきら」製作委員会

映画『アキラとあきら』

竹内涼真 横浜流星
高橋海人(King & Prince) 上白石萌歌/児嶋一哉
満島真之介 塚地武雅 宇野祥平
戸田菜穂 野間口徹 杉本哲太 酒井美紀
山寺宏一 津田寛治
徳重 聡 矢島健一 馬渕英里何 山内圭哉
山村紅葉 竹原慎二 アキラ100%
奥田瑛二 石丸幹二 ユースケ・サンタマリア
江口洋介

※高橋海人さんの「高」は正しい文字が環境により表示できないため、「高」を代用文字としています。

原作:池井戸潤『アキラとあきら』(集英社文庫刊)
監督:三木孝浩
脚本:池田奈津子

(C)2022「アキラとあきら」製作委員会

公式サイト⇒(外部サイト)

あなたにおすすめの記事

メニューを閉じる

 を検索