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「お芝居が楽しくない」自意識過剰だった大島優子を解き放った留学、俳優としていまは“下地固め”

大島優子

 朝ドラや大河ドラマほか、さまざまな作品に出演する大島優子の存在感が増している。元は子役としてキャリアをスタートさせた大島だが、世間的にはAKB48としての活躍が記憶に残っているだろう。グループ卒業当初は、「大島優子」という名前が邪魔に感じた。行き詰まって楽しみを見いだせず、留学して芸能界を離れた。そんな風にあがいた彼女はいま、“足かせ”を取り払い、役柄やポジションにとらわれることもなく、自由に演じている。過去と現在、そして「36歳で花開く」と占われたという未来についても聞いた。

「“大島優子”という名前を消さなければ…」自意識過剰の悪循環、解き放った留学

大島優子

 NHK連続テレビ小説『スカーレット』(2019〜2020年)やSPドラマ『教場』(2020年)、さらには大河ドラマ『青天を衝け』(2021年)など、作品に深みを与える芝居を見せ、確かな演技力を披露している大島優子。重松清のベストセラー小説を映画化した『とんび』でも、阿部寛、安田顕、麿赤児ら、強い個性を発揮している俳優たちのなか、絶妙なバランスで存在感を示している。

 大島が子役として活動していたことは広く知られているが、AKB48で長年トップを張るなど、アイドルとしても大ブレイク。その後、2014年にグループを卒業し、俳優業へと舵を切った。2022年で、AKB48に在籍した期間と、ソロで活動する期間が同じ8年となった。

 「同じ8年間でも全然違いますね。AKB48の8年は、すごく濃くて一瞬でした。アイドルってすごく派手で華やか。スピード勝負で、なんでも即断してやっていかないと追いついていけないという危機感もありました。でも俳優業は、ある意味で地味な仕事だと実感しています。一作品ごとに足場を組み立てるというか、本当に一歩ずつ積み重ねていく作業。途中を適当にしてしまうと、足場がフラフラして崩れてしまうという怖さもあります」。

 だからこそ、焦らず丁寧に――なにが大切かをしっかり考えながら作品に向き合うことを心掛けたが、最初は空回りすることも多かった。

 「グループを卒業した当初、なによりも“大島優子”という名前を消さなければ…という思いが強かったんです。世間の人たちも、やっぱり“AKB48の大島優子”という印象が強かったから、どうしてもフィルターをかけて見られてしまう。自分でもそれを意識し過ぎて無理に消そうとするから、悪循環になってしまっていたと思うんです」。

 そんななか大きかったのが、2017年に留学のため渡米したこと。

 「いろいろ行き詰って、『お芝居が楽しくないな』と感じていたんです。このままだと嫌いになっちゃうなと思って、一度離れようと思いました。海外だと、私のことを誰も知らない。人と出会うとき、自己紹介から始まるというのはとても新鮮で、自然と自分を見つめ直す時間ができました。なにが自分にとって一番大切なのかとシンプルに考えると、いままで足かせになっていたものが、どうでもいいやと思えたんです。そこから、人からどう思われるかは気にならなくなりました。自分が大島優子だと思いながらやること自体が、自意識過剰だったんだなと(笑)」。

「楽しめないと嫌になっちゃう性格(笑)」、できることを納得しながら

  • 大島優子

 帰国後は、連続テレビ小説や大河ドラマ、そして本作『とんび』のような映画と出演作を重ねていくが、どの作品でも物語にスッと溶け込む味わい深い演技を見せている。主演にこだわることなく、助演としてしっかりと実績を積み重ねているようだ。

 「お仕事をしていくうえでチャレンジできることって、すごくありがたい環境だと思うんです。挑戦できるのなら、役柄やポジションなど気にすることなく、絶対やるべきだと思っています。特に今回のように、『明日の食卓』でご一緒した瀬々(敬久)監督からもう一度声をかけていただけるなんて、とても嬉しいことです」。

 出演作が続く現状だが、本人はいまの俳優としての立ち位置をどのように考えているのだろうか――。

 「ちょうど最近、“自分は俳優としてどうしていきたいのか”を考えたのですが、結局ぜんぜん結論が出なくて(笑)。例えば、『あの監督さんとご一緒したい』とか『こんな役をやってみたい』という目標みたいなものを立てたりするのですが、こちらが望んだから叶うわけでもないですからね。タイミングもあるし、運もある。だから、あまり『こうなりたい』ということは考えず、いまできることを一つずつ納得しながら積み重ねていこうと思っています」。

 大島にとって納得できる基準とは?

 「楽しいと思えることは、最も大切にしています。楽しめないと嫌になっちゃう性格なので(笑)。もちろん撮影などで大変なこともありますが、それを含めて楽しいと思えるようになれればいいなと。チャレンジすることイコール楽しいことでもあるので、これからも楽しいを積み重ねて、未来につなげていきたいですね」。

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