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【整形美女】「整形への執着でなんとか生きていた」400万円の手術で女性が得られたものとは?
「どうして自分はあちら側じゃないのか」かわいいクラスメイトと比べて自分の顔に憎悪する高校時代
みきしぃ13歳の頃でした。当時読んでいた雑誌で憧れて、将来モデルになりたい、と友人にぽろりと話した時に「その顔で?」と言われたのが、本当に衝撃で。普通の子がパティシエになりたいとか、お花屋さんになりたいと口にするのと同じように、なんとなく言っただけの言葉だったのですが、周りに受け入れられなかったんです。
モデルになれると思っていたわけじゃないけれど、口に出すのは自由と思っていたけど……どうやらそうじゃなかったようで。もともといじられキャラではあったけれど、その日以降周りからのいじりも強くなって、次第にいじめになっていきました。
――その後、はじめての整形は高校を卒業した時だそうですが、整形できなかった頃を振り返ると、当時何を感じていましたか。
みきしぃ高校は女子校だったので、身の回りにはかわいい子も多くて。美少女図鑑やCMに出演するような子もいて、そういう子と自分を比べて「どうして自分はあちら側にいないのか」「自分はいじられキャラなんて扱いを受けるべきじゃない」などと思いながら、自分の顔に憎悪をふくらませる毎日でした。
ブスだから、いじられキャラでした。可愛い子はいじられキャラにはなっていなくて、ひたすらちやほやされていたけれど、自分がそういう子と違うことは分かっていました。高校を卒業したら絶対に整形してやる、今あるすべての人間関係を捨ててでも、自分の知らない世界で生きていくんだと、整形への執着でなんとか過ごしていた時期だったと思います。
――実際、整形をしてみて何か変わりましたか。
みきしぃ最初は整形してもだめでしたね。親に「整形するか、死ぬかしかないと思っている」と打ち明けて、費用も出してもらって目の整形をしましたが、「自分は納得しているはずの顔を、誰かに否定されたらどうしよう」「そもそも人から見たら、まだブスなんじゃないか」と、ネガティブなことばかり考えてしまい、ひきこもりになってしまいました。
――自分が納得しているかどうかより、人からどう思われるのかが気になった?
みきしぃそうですね。自分の中では、何年も悩んできた重たい一重が二重になっただけでも、とんでもなく嬉しいことでした。でも、結局は自分がどう思うかより、他人にどう思われるかが一番気がかりでした。整形を目的に高校を卒業したから、大学進学も就職もしていなくて……社会の規範からはずれている自分にも、自信が持てなかったです。
「あれ、私外見のこと、全然気にならなくなってるじゃん」内面を認めてくれる人々との出会い
みきしぃ外に出れず、SNSで愚痴をつぶやいていたら、一人の友人が心配してリプライを送ってくれたんです。その子は自分の中でも信用できる子だったから、意を決してその子に会って、整形したことを打ち明けました。そしたら整形を受け入れてくれて。そこから少しずつ、学生時代の知り合いにも会えるようになりました。他の子も「かわいくなったよね」とか、思ったより好意的な反応を示してくれる子が多くて、少しずつ外に出られるようになりました。
――でも、そこからさらに400万円ほど、整形を繰り返してしまったそうですね。
みきしぃこういう子って多いんじゃないかなと思うんですけど……最初は目だけやれば可愛くなれると思ったけど、結局その後鼻も、口元も、と気になってきちゃうんですよね。私の場合は医療ローンを組んで、気になる箇所の整形を足していきました。
――その後、整形を繰り返さなくなったのは何があったのでしょうか。
みきしぃ「RADIOBOOK」に入ったことで、精神的な自己肯定感が満たされるようになったからだと思います。仕事をするようになったことと、周りに恵まれたことが大きかった。容姿以外のことで褒めてもらえることもあれば、怒られることもあて、自分の中で「可愛いことが世界で一番大事」と思っていたルールが、どんどん変わっていったんです。
職場は自分よりすごい人も多くて、自信喪失しそうになることもありました。でも、「自分の得意なことを追求していい」社風の職場だったから、自分の内面にも自信が持ちやすかったんだと思います。ずっとマイナスだった自己肯定感が、やっとフラットな状態になって。容姿のことについて考える時間が減って、忙しい時期にすっぴんで出社する毎日にふと気づいた時に、あれ、私外見のこと、全然気にならなくなってるじゃん、と。
――整形前の写真をSNSに投稿したのも、それからですか?
みきしぃそうです。今のアカウントで活動する前は、数千人フォロワーがいる裏垢で、顔出しもせずに発信していたんですけど、その頃は人をねたむような投稿も多くて。元アイドルの人やインフルエンサー、カワイイ人のことをひがむような投稿をしていました。そんなある時、そのアカウントが会社の社長に見つかってしまったんです。そしたら、駅のホームで、びっくりするような怒号でブチ切れられて。
「お前のなりたかった美しい女性像って、こういうことなの?こういうダサいことするために整形したのか」って。ただ怒るだけじゃなくて「せっかく影響力があるなら、明るい発信に活かそうよ」とも言ってくれたんです。その一言がターニングポイントになりました。今まで、ここまで自分の内面に向き合ってくれる人に出会えていなかったから。もっとかっこいい女性になりたい、仕事もがんばりたいと思えるようになったんです
――自分を認めてくれる人さえいれば、整形は必要なかったと思いますか。
みきしぃそれはまた違いますね。外見に自信がないままだったら、内面の褒め言葉も素直に受け入れられなかったと思う。だから、整形したことは後悔していません。整形して自分の顔を「嫌いだ」と思わずに済むようになって、そこではじめて普通の女性として、やっと容姿以外の褒め言葉を受け入れられるようになったんだと思います。
――整形前の写真を投稿するにあたって、昔自分をいじめていた人のことは気になりませんでしたか。
みきしぃ今の私にとってはどうでもいいことになりましたね。「見返したい」とも思わないし、どう思われてもいい。興味がない。人にどう思われるか考えるよりも、自分が前向きになれることに時間使いたいと思う。私はもう、大きな整形はしないと思います。
整形に囚われている子を救うのは難しい、でも寄り添うことはできる
みきしぃ私はたまたまいい環境に巡りあえて、今幸せに過ごせているけれど、整形して外見のコンプレックスを改善しようとしても、内在的な自己肯定感の低さから整形を繰り返してしまう子もいます。外見にコンプレックスがあって死ぬほど悩んでいても、誰にも相談できない未成年の子もいます。そういう子に何かしてあげたくて、ポペルカを立ち上げました。
――それはやっぱり、みきしぃさん自身も誰にも相談できないことがつらかったから?
みきしぃそうですね。私自身、外見のコンプレックスを学校の先生に相談した時「外見がよくなくても前向きに生きている人もいる」ときれいごとを言われ、苦しい思いをしたこともありました。外見のことに執着しているうちは、そういうちょっとした一言で深く傷つきやすいんです。
外見や整形に関する悩みって、適した人に相談しないと、さらにコンプレックスを強めてしまうんです。そういう子たちは、自分を受け入れてくれる居場所を探している。私はその気持ちも分かるから、少しでもそういう子たちに寄り添ってあげたいと思っています。
――印象に残っている相談者などはいますか。
みきしぃ容姿にコンプレックスがあって、整形してもなお引きこもりになってしまった息子を「なんとか助けて上げたい」という40代女性からDMが来たことがありました。そこから電話でカウンセリングして、病院をアテンドして……結局再手術することになって。私の発信もいろいろ見てくれたようで、それがきっかけで前向きになれたと聞いた時は嬉しかったですね。
――今、外見や整形で悩んでいる人に対して、何か伝えたいことはありますか。
みきしぃ整形は人生の目的ではなく、自分がなりたい将来像をかなえるための手段だということは伝えていきたいです。私が変われたのは、成功体験を積み上げたからなんです。行動するのって怖いけど、受け入れてもらったと思えることが何回かあると、人って変われる。まずはいろいろ行動してみるのも大切。
私自身、整形に囚われて生きていた時は、整形してもコンプレックスを克服できませんでした。会社で内面を認めてもらったことや、SNS発信をしていく中で、整形は自己実現や自己認知の手段になっていきました。そこでようやく、自分を受け入れてくれる場所を探し求めるのをやめて、身の回りに転がっていた優しさやチャンスに気づけるようになりました。もちろん最初からそんなふうには考えることはできませんでした。私もコンプレックスが強かった頃、人から言われることが素直に入らなかったり、跳ね返しちゃったりもしていました。だからこそ、そういう子を救う難しさは誰よりもわかります。でも、寄り添ってあげることはできる。整形がゴールじゃなくそこから、自分の成功体験を積み上げていってほしいです。
(取材・文/ミクニシオリ)