(更新: ORICON NEWS

芋洗い坂音楽ストリート『Vol.4 大阪フェスティバルホールが4年ぶりによみがえった!』

大阪フェスティバルホールが4年ぶりによみがえった!さてアーティストの反応は?

 4年前の閉館建て替え時に山下達郎を「愚の骨頂」と怒らせ、さだまさしに「自分が石油王なら自宅の庭に移築したい」と言わしめた日本の名ホールが大阪フェスティバルホール。

 もともと、国際的な音楽祭(フェスティバル)を開催できるようなホールを大阪に作ろうという目的で、昭和33年に誕生した。当時はまだホールというと公共施設の○○県民会館などが中心で、音響的にはプアなところが多かったのだが、そんななかで、群を抜いて音響特性の良いホールだったことから、クラシックだけではなくJ-POP系のアーティストからも信頼を得て、誰もが大阪公演では必ず目標とする名ホールとなっていったのだ。

 そのフェスティバルホールが4年ぶりにビルの建て替えが終了して姿を現した。ビル自体が超高層ビルになり外観も変わった。エントランス付近も重厚感のあるデザインとなり来場者を厳かに出迎えてくれる感じがする。ホール入り口にまっすぐ伸びる赤じゅうたんの階段のスケールの大きさなど、入り口からしてこちらの期待を大きくしてくれるホールに生まれ変わった。チケット確認が終わるとロビー、そしてロビーをさらに進むと、右に折れてエスカレータが現れる。会場入り口に向かう100メートルはあろうかという、その超ロングのエスカレーターを降り、ドアを開けるとステージと客席が姿を現すのだ。

 会場内は以前の横長の印象が強い客席空間から、横長の印象が消えた。聞くところによると座席数は旧ホールと一緒だ。ただ、新ホールでは3階席が新設されたということなので、実際には縦に高くなり、横幅が縮まった勘定となる。

 3階席の最前列に行くと絶壁に立って見下ろしているようで、ちょっとこわい気がするというのは、あるメディア関係者。それほど縦に伸びた空間となっているのだ。

 大きく様変わりした日本の名ホール、大阪フェスティバルホール。その空間構成が変化したことで、一番気になるのは、演奏するアーティストにとってのこの空間の演奏しやすさの変化だ。

 先日2日間のフェス公演を終えたばかりのアリスのリーダー谷村新司に聞いた。

 「いいと思うよ。以前と音響は変わらない。以前の会場では、客席からの拍手が滝のように降り注いできて、すごく気持ちが良かったんだけど、新しくなった会場でも、同様な感じ。たぶんこれから大阪で公演をやるアーティストの間では、またフェスが人気になるんじゃないのかな」

 実際、コンサートに参加するファンの立場になってコンサートを聞いていても、演奏が誇張なく自然に届く感じがして、とても聴きやすいホール。しかも客席の反応と演奏のバランスが良い。客席の盛り上がりが演奏といい形でミックスされて、客席とステージ上に再配分される。そんな感じのホールなのだ。

 これからこの大阪フェスティバルホールで幾多の名演が生まれてくると思う。

 すでに、旧フェスを「まるで大きなライブハウスのような一体感があった」と評し「ホールというのはたくさんの名匠たちの演奏や汗や情熱が染みこんでより良い空間になっていく」と言っていた山下達郎やさだまさしもオープニングウイークに登場し、新しいフェスの音の具合を確認している。

 以前、東京のクラシックの殿堂である上野文化会館のステージ裏に行ったときに、おびただしい数のクラシックアーティストのサインや天井からつるされた感謝のメッセージ入りのポスターに圧倒されたことがあった。なるほど名ホールというのはこういうたくさんの名匠たちの魂が宿ることにより出来上がっていくのだ、と自分自身も感じた瞬間だった。

 とくに、大阪はお客さんのノリが他の都市とは全然違う。10月3日までかけて全都道府県を制覇するコンサートツアー『It's a Time』で全国を回っているアリスのツアー初日が大阪フェスティバルだった。そのスタートの一夜は総立ち状態のファンのもの凄い歓声から始まった。ファンの掛け声も絶妙だ。東京では考えられない盛り上がり。あんなに凄い声援を受けたら、どのアーティストもいやでも力の入ったパフォーマンスをしてしまうだろう。自然にアーティスト自身もお客さんにのせられて素晴らしい演奏をしてしまう確率が高いというわけだ。そして、音響の良さがプラスされれば……。新生大阪フェスティバルではこれからたくさんのアーティストが魂のこもった演奏を行い、旧フェスに負けない、いやそれ以上のステイタスを持った空間となっていくに違いない。

関連リンク

【芋洗い坂音楽ストリート】バックナンバー
アリスプロフィール/CD売り上げ
山下達郎プロフィール/CD売り上げ

あなたにおすすめの記事

メニューを閉じる

 を検索