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奈緒、続く出演作に想う“役者像”「今は“色”がついていない状態、この先も真っ白でいたい」
今は“奈緒はどういうことができるのか?”と探って頂いている期間
奈緒 これまではタイミングなども含めてご縁があった作品に参加させて頂きましたが、最近はありがたいことに以前よりもお声をかけてもらう機会が増えました。そんな中で大事にしているのは、自分にとってその作品や役柄が挑戦になるかどうかということ。そこは凄く考えるようになりました。
――同世代の役者さんたちが様々な活躍を見せる中で、“女優・奈緒に求められているもの”についてご自身ではどのように感じてらっしゃいますか?
奈緒 “奈緒にこういうことを求めている”というよりは、“奈緒はどういうことができるのか?”“どういう役をやらせたら面白いのか?”と、今は皆さんに探って頂いている期間なんじゃないかなと思っています。どんな作品もご期待に添えるように全力で挑みたいですし、きっとそういった期間を経て様々な経験をすることで、今後の“自分に求められるもの”が決まってくるんじゃないかと。その結果は自分次第なので、最近は常に緊張感のある日々を過ごしているように感じます。
――奈緒さんへの大きな期待をプレッシャーに思うこともありますか?
奈緒 押し潰されてしまうような重いプレッシャーではないのですが、やはり今まで以上にひとつひとつのことに責任感を持ってやっている感覚が凄くあるので、それは自分にとって良い刺激になっています。
――今後はどのような役者になっていきたいですか?
奈緒 今は“色”が全くついていない状態なので、できればこの先も真っ白でいたいです。固定されたイメージではなく、良い意味で予想をどんどん裏切っていけるような役に挑戦していきたいというか。これから様々な作品を通して役者としての自身の考え方も変わっていったりすると思うのですが、そんな時は一度真っ白な状態に戻って役と向き合えるような、そういう役者になれたらいいなと思っています。
“映画って面白い”とか“映画館に行きたい”という気持ちが希望になったらいいな
奈緒 久しぶりに家でゆっくりと過ごしました。断捨離したり魚谷燦さん(奈緒の愛犬)の成長をじっくりと見守ったり(笑)。あと、仕事のことは一切忘れた感覚で映画やドラマを純粋に鑑賞することができたのは驚きでした。反町隆史さんと和久井映見さんが出演されていた昔のドラマ『バージンロード』(フジテレビ系)を母と一緒に観てめちゃくちゃ号泣してしまって(笑)。もの凄く続きが気になりながらも、一気見はせず毎日少しずつ観るようにして楽しんでいました。
――奈緒さんのようにステイホーム中は映画やドラマなどに触れる時間が増えた人も多かったと思いますが、こういう状況になったからこそ改めて気付かされたことがあれば教えて頂けますか。
奈緒 こういった大変な状況になると、生きるために必要なものの順位の中で当然ながら衣食住はトップにきますよね。その中でエンターテインメントというのは娯楽であって、生活に余裕が出て初めて楽しめるものなんだという意識が今まではありました。それでも役者というお仕事が誰かのためになったらいいなという思いは常にあって。きっと私のようにステイホーム中に映画やドラマ、アニメや漫画に触れて心が救われた方が沢山いたんじゃないかなと思ったんです。その時に“やっぱり映画って面白いな”とか“映画館に行きたいな”という気持ちが皆さんの希望になったらいいなと感じて、エンターテインメントというのは生きていくうえで凄く必要なことなんだと再確認できたんですよね。なので、この先も多くの人に楽しんでもらえるような作品に携わっていきたいですし、誰かの希望になるような役者になれるように色々と挑戦していきたいと思います。
奈緒 最初は渡辺大知さん演じる主人公の加藤くんとヒロイン美帆の会話劇にニヤニヤしながら読んでいたのを覚えています。2人のナチュラルな会話の中に“好き”を匂わせるニュアンスが隠れているので凄くむずがゆいなぁと思ったり(笑)。読み終わってみて感じたのは、男女問わず多くの人が“これは自分の物語だ”と思ってくれるんじゃないかなということ。『僕の好きな女の子』というタイトルですが、女性が共感できるポイントも多かったので、撮影がより楽しみになりました。
――原作者の又吉さんとはお会いになられましたか?
奈緒 クランクアップ後に又吉さんのライブを観に行かせて頂いて、その時にご挨拶させて頂きました。でも、ゆっくりお話できなかったので、今度お会いした時には映画の感想をお聞きしたいです。
本番で起きた現象を、渡辺大知さんと一緒に楽しんだ瞬間があった
奈緒 本作は加藤くんの視点で描かれているので、美帆が決定的な意志を持った表現をするのは違うのかなと思いました。なので、彼女の言動がどんな風にもとれるようにというのを心がけながら演じていました。
――決定的な意志を持たないような表現をしつつも、美帆の感情をお芝居で見せていくのは難しかったのではありませんか?
奈緒 難しかったです。例えば、今までなら“自分がこの子だったらこの時どう思うか?”といった主観的な目線を大切にしながら演じていたんですけど、本作では美帆の気持ちや言動に対して納得するのに時間がかかったりしたので、加藤くん目線の美帆を意識するように切り替えたんです。現場では大知さんも一緒に考えてくださいましたし、玉田監督の演出も丁寧でわかりやすかったので、役をしっかりと掴みながら自由に演じることができたように思います。
奈緒 大知さんは凄く気さくな方でとても頼りになる座長でした。おかげでリハーサルの段階で役柄の関係性を作れましたし、私がお芝居しやすいかどうかも常に考えてくださったのはありがたかったです。かといって気を遣いすぎることもなく、決まりきったお芝居をするというよりはシーンごとに生まれたものに対して自然に反応されていたのが印象的でした。
――アドリブの部分もあったのでしょうか?
奈緒 台詞のアドリブはそんなになかったんですけど、本番でカメラが回っている時に起きた現象を一緒に楽しんだ瞬間はいくつかありました。例えば、居酒屋で2人がビールをつぎ合うシーンでは、本番だけ乾杯した勢いでビールが少しこぼれてしまったんです。それは台本にはないハプニングで、美帆はただそれを見て笑っているだけなんですけど加藤くんはササッと吹いているという(笑)。そんな風に自然と加藤と美帆のキャラクターが出せたので、大知さんとのお芝居は安心感がありましたし凄く楽しかったです。
(インタビュー・文/奥村百恵、写真/逢坂聡)
映画『僕の好きな女の子』
「今突然 好きだ と伝えたら、キミはなんて言うだろう」
男の子の切ない気持ちに胸が締め付けられるー非キラキラ系の恋愛映画
【STORY】
思い通りにならない君だけど、君と言う存在が僕の期待を裏切ったことは一度もない。
会うと些細なことで笑い合っている。バカなことをしてツッコんだりするけど、本当はエルボーとかキックとかじゃなくて君に触れてみたい。
ドラマの脚本も気付けば君を書いてしまう。友人たちにはキミの魅力も煮え切らない関係性も全く理解されない。
だけど一歩踏み出してこの関係が壊れてしまうなら、今のままの君との関係で十分幸せだ。
きっと僕の好きな人は永遠に僕のことを好きにならないから
山科圭太、野田慈伸、前原瑞樹、萩原みのり、後藤淳平 (ジャルジャル )、福徳秀介 (ジャルジャル )、たくませいこ、児玉智洋 (サルゴリラ ) 、秋乃ゆに、濱津隆之、東龍之介、柳英里紗、長井短、朝倉あき、徳永えり、山本浩司、仲野太賀
監督・脚本:玉田真也 原作:又吉直樹(別冊カドカワ総力特集「又吉直樹」内「僕の好きな女の子」)
主題歌:「友達じゃがまんできない」 作詞・作曲 前野健太
制作:吉本興業 TBSテレビ 制作プロダクション:MOTION GALLERY STUDIO、コギトワークス
製作・配給:吉本興業 (C)2019吉本興業
『僕の好きな女の子』公式サイト