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『公衆電話ガチャ』なぜ今?小学生の8割知らないスマホ時代に商品化した理由とは
通信障害で公衆電話に大行列で商品化決意、使い方知らない世代にガチャで役割発信
タカラトミーアーツ ガチャ企画部 加藤しずえさんこれまで“街角公共物シリーズ”として「郵便局ガチャ」「信号機ガチャ」などの商品化してきて、次のネタを探しているところに、偶然「郵便局ガチャ」を店頭で見つけて購入してくださったNTT東日本の公衆電話担当の方から公衆電話もガチャのモチーフにならないかと相談を受けたのがきっかけです。
――スマホ世代にあまり使われなくなった今、商品化に迷いはありませんでしたか。
タカラトミーアーツ 加藤さんはじめは、昨今公衆電話を触ったことがない世代が増えている上に、設置台数も減少傾向ということで、ガチャユーザー向けの商品化は難しいかなと不安も感じて商品化自体を悩んでいました。しかしちょうどその時期に携帯電話の通信障害で公衆電話に大行列ができ、その中で使い方が分からない人が多かったというニュースが大きく取り上げられたことがありました。私自身も、2011年の東日本大震災の時に回線が強い公衆電話を何度か使用したことを思い出し、いざという時の公衆電話のインフラの役割を再認識しました。ガチャを商品化することで、そういった公衆電話の重要性を働きかければと思い商品化に至りました。
電話ボックスにこもって研究重ねた精巧デザイン、ガチャ技術の進化も感じてほしい
タカラトミーアーツ 加藤さんWEBメディア様を中心にお取り上げいただき、そこからSNSを通じて話題が広がりました。まだ発売まで3か月以上もある頃に、街中で「あの公衆電話のガチャは欲しいよね」と話している方たちの会話がたまたま耳に入ってきて、話題の大きさを実感し、あらためて感心しました。
――実際に受話器をとったりボタンを押したりできる仕掛けもお子様やマニアに受けそうです。
タカラトミーアーツ 加藤さん公衆電話を使用したことがない世代のお子さんたちが操作方法が直感的に使えないと知りました。身近にあるジュースの自動販売機などは先にお金を入れてからボタンを押しますが、公衆電話はその逆で、先に受話器を上げてその後にお金を入れます。習慣でついつい先にお金を入れてしまいたくなりますが、お金を入れるとすぐに返却口からコインが戻ってきてしまうため電話を掛けることができません。そういったこともあり、電話の掛け方のシミュレーションができるようにできる限りのギミックを施しました。
――いつもながらリアルで精巧なデザインですよね。
タカラトミーアーツ 加藤さんカプセルサイズで再現するにあたり、構造上のスペースを確保するために、パーツによって少しずつバランスを調整しながら設計するのに苦労しました。また公衆電話正面の操作板のテキスト情報も様相が多いので、現物と遜色ない程度で簡略しても違和感ないようなデザイン調整にも苦労しました。そして、赤電話機以外は現物の持ち出しができなかったので、NTT東日本の本社や川越資料館、三鷹センターや、NTT東日本さんに許可を頂いた公衆電話BOX内などで、採寸・撮影・色合わせなど、ずっとこもって取材作業を行いました。
――このガチャコレクションを手にした方に、どんなことを伝えたいですか。
タカラトミーアーツ 加藤さん単純には手のひらサイズの精巧なミニチュアおもちゃとして、「現代の技術でガチャがここまで進化しているのか」とガチャ文化を楽しんでほしいです。 そして、"いざという時の重要な通信インフラの役割を担っている公衆電話" をあらためて身近に感じてもらえればと思います。