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6割がリピ利用“同人イベント”託児サービス運営語る「ママ、パパの趣味も大切に」

  • 託児の様子(画像提供:にじいろポッケ)

    託児の様子(画像提供:にじいろポッケ)

 今年夏に行われたコミケ96の来場者は史上最多の73万人。コミケだけでなく同人イベントへの関心が高まるなか、子どもを預ける先が確保できず参加できないママ・パパがいる。そこで趣味と子育てを両立させるべく誕生したのが同人イベントでの出張託児サービス「にじいろポッケ」だ。主催者の四辻さつきさんは、自身の同人活動中に子どもを預ける場所に悩み託児サービスを開始。リピーターも増えているという利用者からの声や、今後の展望について聞いた。

「託児がないなら自分で」がきっかけ 2年前に1人で立ち上げ

 2017年1月にスタートした「にじいろポッケ」。東京や大阪で開催されている、女性向けの二次創作イベントを中心に託児を行なっている。四辻さんは、「託児が無いなら自分でやればいい!」という思いからこのサービスを立ち上げた。同人イベントへ出かけたくても、自分のように子ども達を預ける先に悩む親がいることに着目したという。

「2人目の出産後、イベントへ出かけたくても子どもを預けるのが大変だったんです。休日に早朝から長時間なので、義母や夫に頼むのも気が引けて。年に数回イベントに行きたいだけなのに、こんなに大変なのは困るなぁと思ったのがきっかけです」
  • 民間資格を持ったプロが保育(画像提供:にじいろポッケ)

    民間資格を持ったプロが保育(画像提供:にじいろポッケ)

 実際に託児を依頼するスタッフは、チャイルドマインダーという家庭的保育やイベント保育に特化した民間資格を持ったプロ。しかし、1人で始めたこともあり、スタート時は企業に外注をしておりコスト面での負担があった。また、毎回スタッフが代わることも課題になったようだ。

「今は、保育リーダーの方が仲間の保育スタッフさんに声をかけて毎回必要人数を集めて下さっています。チームワークも抜群ですし、趣味の大切さを共感してくれる方々なのでとてもありがたいです」

 ここまでイベント託児に力を注ぐ四辻さんだが、同人活動を始めたのは意外にもママになってからだった。
「1人目のイヤイヤ期、2人目の妊娠が重なって、すごくストレスがたまっていた時にたまたま見たアニメにはまったのがきっかけで同人活動を始めました」
  • 「にじいろポッケ」のロゴマーク

    「にじいろポッケ」のロゴマーク

 同人活動は年齢や地域、職業も超えて同じものが好きな人と交流できることや、自分の作品を他人に楽しんでもらえることが1番の魅力だと言う。「にじいろポッケ」という名前も、色んな好きを大切にしたいという思いの「虹」と二次創作の「二次」がかかっているそうだ。

「可愛くて親しみやすい名前が良いと思い、ポケットにはあなたの行くところに付いていくよ。という意味を込めて付けました。現在は二次創作だけでなく様々なジャンルで活動する方を応援しています」

親と子それぞれの目線に立った保育でリピーターも増

 2年前のスタート時には、料金も高く実績がなかったため利用者を集めるのが大変だったという「にじいろポッケ」。以前に開催したクラウドファンディングでは目標金額100万円に対して、347万円の支援が集まった。その効果もあり、知名度も上がり、イベント託児の需要が伺える。

 HPで公開されている利用者の声によると「預かってくださる方が同人活動への理解があるというだけでとてもありがたい」「泣いてしまい抱っこが多かったようですが、ずっと抱っこで構ってもらっていたようです」と、保育の質も満足度が得られているようだ。

プロの保育スタッフがサポート

利用者から満足度が高い保育の質もポイント(画像提供:にじいろポッケ)

  • 全国で立体プラレール組み立てを行なっている「ぺたぞうでんしゃ王国」のぺたぞうさんによるワークショップも開催(画像提供:にじいろポッケ)

    全国で立体プラレール組み立てを行なっている「ぺたぞうでんしゃ王国」のぺたぞうさんによるワークショップも開催(画像提供:にじいろポッケ)

 同人イベントに対しての理解があるスタッフに子供を預けられることが安心要素となり、6割程度がリピーターとして利用している。幼稚園や保育園、地域などの身近なコミュニティでは、マイノリティ感のあるオタク趣味は人に言いにくい一面もある。しかし、その価値観を共有できる人に我が子を預けることができたら、抱えている不安も少し軽くなるかもしれない。

「「にじいろポッケ」が喜ばれるのは、単に時間や場所の都合がいいというだけでなくて、『ママ・パパにとっても趣味って大事だよね』『でも子どもにも楽しく過ごして欲しいよね』っていう“価値観”を、スタッフも利用者さんも皆共有しているからだと思います」

 イベント保育は普段の保育と役割が違うと話す四辻さん。保育では、子どもが1日中楽しく安心して過ごせることにも重点を置いているそうだ。

「叱ったりしつけすることはなるべくしません。お子様が積極的に行きたくなるような託児にすることがママ・パパが安心して楽しめることにもつながると思っています」

 イベントによっては立体レールやブロックの達人にワークショップを開催してもらうことも。親も子も楽しいイベントにそれぞれが参加している、有意義な時間が作られている。リピータが増えている理由のひとつだろう。

ママやパパでも趣味は大事 「もっと気軽に使ってほしい」

 自分の趣味を優先して良いのか悩むパパ・ママはたくさんいるが、「優先ではなく“両立”と考えてもらいたい」と四辻さん。同人活動で得られる充実感や友人、家庭で得られる幸福感は、どちらも大切なもの。親になる前から同人活動をしていた人も居れば、突然ハマる人も居る。

「同人活動は自己実現や同志との交流という面も大きいので、子育てで大変だからこそ魅力を感じる。と、個人的には思います」

 コミケを中心に全国各地で開催されている同人イベントは、回を重ねるごとに来場者数が増えている。歴史が長くなるにつれて参加者の年齢層が広がり、親になっても趣味活動を続けたい人に「にじいろポッケ」を気軽に使ってほしいと四辻さんは語る。しかし一方で、保育事業をビジネスとして続けることへの難しさも痛感しているようだ。

「儲からないから今まで誰もやらなかったんだろうな…と思うんですよね。クラウドファンディングのパトロンさんや、広告スポンサーさん、ファンクラブの会員さん、そういう方々の期待や願いをしっかり実現していくことで、「応援を集め続けられるあり方」を目指していく…というのもありなのかな、ということも考えています」
  • (画像提供:にじいろポッケ)

    (画像提供:にじいろポッケ)

  • (画像提供:にじいろポッケ)

    (画像提供:にじいろポッケ)

 苦労もある中で活動を続ける理由は求められる声だけでなく、やりがいがあるからこそ。

「私はママですけど、ママ大学ママ学部を出たわけじゃないというか、それを目指して勉強や経験を積んできたわけじゃないんですよね。だから、ママになってから、これまでの勉強や経験が役に立たなくて…。でも、一方でママになったからこそ学んだこともたくさんある。その両方を活かせて、しかも趣味の分野で人の役に立てるのはとても嬉しい」

 イベント託児をスタートして2年半が過ぎた。支援者やリピーターも増えているが、今1番の課題は「一緒にやってくれる仲間集め」だという。

「組織化してマネジメントをするのは苦手なので、パートナー的に手を結べる同志を募集中です。色々な趣味のイベント時はもちろん、「価値観の合う人と、日常的に子育てを助け合える環境作り」をサポートしていけたらな…というのが、今後の理想です」
  • 子供も親も楽しかったと言える1日に…(画像提供:にじいろポッケ)

    子供も親も楽しかったと言える1日に…(画像提供:にじいろポッケ)

 趣味と子育てを両立することはそう簡単なことではない。しかし、その気持ちを理解したり、共有する仲間がいることで乗り越えられる時もある。

「同人活動をするママやパパは、色々考えながらも一生懸命やりくりしているのがよくわかります。その頑張りを手助けしていきたいと思っているので、ぜひ気軽に使ってみていただけたら嬉しいです」

たまにしかないイベント時に、子どもと親がお互いに我慢することなく楽しい時間を過ごせる最良のスペースが「にじいろポッケ」だろう。
INFORMATION
「にじいろぽっけ」今後の託児スケジュール等はTwitterまたはHPに掲載
Twitter @nijiiropokke
ホームページhttps://nijiiropokke.info

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