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橋本愛 SPECIAL INTERVIEW 大胆で力強く感じた――初めての経験! 感情の波がない状態はつまらない

まっすぐな愛情、全力の喜怒哀楽、かけがえのない家族の絆。あるグループホームを舞台に繰り広げられる、濃厚な人間ドラマ『くちづけ』は、堤幸彦監督×宅間孝行タッグの父と娘の愛の物語。個性豊かな面々のなかで、正義感の強い女子高生・はるか役を演じた橋本愛に、今作で感じた新たなお芝居への思いを語ってもらった!

そうそうたる顔ぶれの共演陣、気負いというより恐怖です(笑)

──名作舞台がオリジナルの今作は、ライブ感を活かす1セットでの撮影だったんですよね。
【橋本】 そうなんです。だけど、不思議と閉塞感がまったくなかったことに驚きました。セット内の空気にも「ちゃんと酸素があるな、しっかり呼吸できてるな」と感じることができて、その辺はおもしろかったです。堤監督も宅間さんも、現場に命を吹き込むのがすごく上手な方なんだと思いました。

──ストーリーもまた独特ですよね。笑いと愛、感動も堪能できるエンターテインメント作でありながら、社会性が深く刺さる。
【橋本】 実は撮影前は、演じる立場として“難しい作品”だなと思っていました。台本を読み進めていくなかで、考えさせられる部分が多かったんです。ストーリー全体に、目をそむけちゃいけない現実とか、誰かのために行動することの意味や形とか、社会問題が要素として盛り込まれています。とにかく、私自身ははるか役として目の前の仲間たちを愛して接することが大切だと思っていたので、そのことに集中して現場に臨むようにしていました。

──そうそうたる顔ぶれの共演陣のなかへ入っていくことに気負いはありました?
【橋本】 気負いというより恐怖です(笑)。20分くらいの長回しもあったので、そのときは「私がNGを出してみなさんに迷惑をかけたらどうしよう」という感情でいっぱいでした。あと、やっぱり「怒られたりするのかな?」という不安もちょっとあったり(笑)。でもリハーサルで監督が笑顔を見せてくださったんです。緊張をほぐしてくれているんだとわかって、そんな監督の姿を見て安心できたのを覚えています。

──橋本さんから見た堤監督の魅力ってどういうところですか?
【橋本】 “大胆な方”という印象が強かったです。舞台の演出を思い切り取り入れたり、それこそ長回しを多用したり。私にとっては初めての経験が多かったので、今作の撮影現場は本当に大胆で力強く感じました。

──マコ役の貫地谷しほりさんとは何か話されましたか?
【橋本】 本当に仲良くしていただきました。ちょうどその頃、プライベートで友だちや家族と会う時間がなくて、「会いたい会いたいっ」ってフラストレーションがたまっている時期だったんです(笑)。でも、貫地谷さんと現場でお会いしておしゃべりをする時間を持てたことで、だいぶ気持ちの面で救われたような気がします。他のキャストの方々も常に楽しい雰囲気作りをしてくださっていたので、みなさんのおかげで1セットという限られた世界のなかでも充実した日々を送れたなあと感じています。時々居心地がよくなりすぎちゃって、役の心情を思い出せなくなることもあったほどです(笑)。本番前にあわててコンディションを整える、ということもありました。

今はやれるならやりたい!

──昨年は多数の出演作が公開になり、日本アカデミー賞新人俳優賞の受賞も。周囲の反応の変化を感じることも増えてきたと思うのですが、ご自身ではどうとらえていますか?
【橋本】 私は何も変わらないです。名前と顔を知ってくれる人がちょっとは増えたのかな?とは思いましたけど、変わったとすれば周りだと思います。もちろん評価していただくことはありがたいですし、「がんばって」と言われている感覚もあるので、気持ちが引き締まります。そして、「まだこの仕事を続けていいんだ」という嬉しい気持ちにもしてもらえますね。……嬉しいというより、救いかな?

──謙虚に受け止めているんですね。ここのところとくに、橋本さんが自分なりの仕事への向き合い方を探っているような印象があります。同時に、妥協したり楽な方へ傾かない強い意志のようなものも。
【橋本】 楽をするのはつまらないこと、という考えはすごくあります。感情の波がない状態が続くのが一番つまらなくて、そんな状態が続くぐらいだったら、“もっと怒られたい”“堕ちたい”と思ったりするんですよね。たぶん、上昇したいという欲が常に根底にあるからこそ、そう思うんだと思います。でも……こういう話をするとドMだと言われちゃうんですけど(笑)。

──今みたいな考えを、同じ俳優仲間に話したりしますか?
【橋本】 あまり自分からは言わないですね。普段から相談事も聞き役ですし、みんなが演技論とかを熱く語っているときも、「うんうん(笑顔)」って聞いてばかりです(笑)。でも、もっと積極的に話した方がいいんじゃないかって、今思いました。

──今回の『くちづけ』でもそうですが、現在出演中のNHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』でも渡辺えりさんや木野花さんなど舞台出身の役者さんたちと共演されていますよね。そういった方々のお芝居に刺激を受けることはありますか?
【橋本】 みなさん体が楽器なんですよね。声が言葉というより“音”みたい。自由自在に思い通りの“音”を出して、それがすごく胸に響くし、とても憧れます。だから、舞台ってきっといい場所なんだろうなと思ったりはしますね。

──舞台に立って客前でお芝居をしたいと思いました?
【橋本】 うーん……、前はあまり興味がなかったんですけど、今は「やれるならやりたい。でもやれないからやらない」という感じです(笑)。1年くらい準備期間を与えてもらえたらじっくり体作りもできるので、やってみたいなとは思いますね。

──舞台っぽさも堪能できる今作は、いつか舞台に立つかもしれない橋本さんの姿を想像することもできそう。ストーリーに溢れる親子の愛だけでなく、演出の妙も味わえる映画だなと改めて今感じました。
【橋本】 劇場に足を運んでいただいた方には、2時間の間ずっと目が離せない作品になっていると思います。障害を持つ方の問題に触れていたり、社会のなかの日常における考えさせられることがたくさん詰まっています。誰かに「がんばって」ということは、結局自分がまずがんばらないといけないことなんだ、と考えるきっかけにもなりました。ぜひ多くの方に観ていただいて、物語に心を打たれてほしいですね。
(文:奥浜有冴/撮り下ろし写真:逢坂 聡)

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映画情報

くちづけ

 愛情いっぽんは、知的障害をもつ娘マコを男手ひとつで育てるために漫画家を休業して、もう30年……。マコの心は、ずっと7歳の子供のまま止まってしまって、誰かの助けなしでは生きていけずいっぽんしか頼れる人がいない。
 ある春の日、いっぽんは知的障害者のためのグループホーム『ひまわり荘』に住み込みで働き始める。ひまわり荘の元気な仲間たちと触れ合っていくことで、自分たち2人しか味方がいなかったいっぽんとマコのこわばった気持ちが、少しずつ溶けていく。そんな時、いっぽんに病気がみつかる。

監督:三宅喜重
出演:貫地谷しほり 竹中直人 宅間孝行 田畑智子 橋本愛
【OFFICIAL SITE】
2013年5月25日(土)全国ロードショー
(C)2013「くちづけ」製作委員会

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