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「インスタ映え」求め“リア充ねつ造” 当事者が語る架空の自分を作り出す心理とは?

 今年の流行語大賞の有力候補に間違いなく挙げられるであろう言葉のひとつに、「インスタ映え」がある。これはSNSの写真投稿サイト「Instagram」(インスタグラム)に投稿するのに適した写真を指す言葉で、流行や旬を取り入れたおしゃれで華やかな“フォトジェニック”な写真のこと。そして、フォロワーたちに「いいね!」をしてもらうわけだが、 “リア充”を追求するあまり、実際の日常ではなく、「リア充代行サービス」を利用したり、さらには完全に写真を“ねつ造”することさえあるという。なぜ、そこまでインスタ映えにこだわり、“架空の自分”を演出してしまうのだろうか?

もはやビジネスとして確立 経済効果につながる“インスタ映え”や“フォトジェニック”

 SNSのInstagramは海外セレブから火が点き、今では日本の芸能人たちも、プロモーションやプライベートに関する写真を発信するのが当たり前となった。フォロワー数芸能人トップの渡辺直美をはじめ、水原希子、ローラなど、“おしゃれな写真”をアップして成功したタレントが多数おり、GENNKINGなどの“インスタ発”のタレントも登場するなど、その影響力は絶大だ。

 SNSにはTwitterやFacebookなどもあるが、同じ「いいね!」にしても、面白い写真やネタに付きやすいTwitterに比べると、インスタはキラキラしたオシャレな写真が好まれる傾向があり、“インスタ映え”や“フォトジェニック”を意識している人たちにとっては、“自分が輝いているところ”の集大成になっているようだ。 実際、おしゃれな料理店は“インスタ映え”する色鮮やかなメニューを揃え、ファッション系のショップはフォトジェニックな服や撮影スポットを用意することで集客効果を上げるという“経済効果”もあり、ビジネスとして確立している。

60人の“友達”を用意することも! 代行サービス会社に聞く、“リア充”の演出方法

 さらには先述したように、「リア充代行サービス」を利用して、たくさんの友人たちと楽しく過ごしている写真を撮る“強者”さえいるという。「リア充代行サービス」を行なう企業・株式会社ファミリーロマンスの代表取締役・石井裕一氏は「弊社のインスタ用の写真を撮影するサービスは、マスコミでセレブのインスタ写真が話題になりはじめた2016年の4月から開始して、依頼件数は月に40件ほど、弊社サービスの4割ほどを占めております。平均すると、4、5人の友人がいるという設定で利用される方が多いですね。過去には60人と、一番多くの料金をかけた方もいらっしゃいます。ロサンゼルス旅行をかねたリア充アピール代行で、300万円ほどです」と驚きの実態を語る。

 依頼者の男女比率は半々、撮影する写真はシーズンによって様々だというが、夏季はバーベキューやナイトプール、メディアに出ているお洒落カフェなどが多く、シーズンに影響されないものでは、自分の誕生日会や仕事帰りの飲み会設定などがあるという。「中には、振られた彼女を見返したいという理由で、可愛いスタッフと楽しんでいる写真を撮る方や、お笑い芸人さんが、自分のお笑いライブに花束を持ってきてくれたファンと写真撮影をするといった依頼もあり、リア充アピールはわりと枠にとらわれないです」(石井氏)

 今や企業ぐるみで、フォトジェニック→インスタ映え→いいね!をもらう→リア充をアピール、といった流れにまでなっているインスタだが、こうした“ねつ造”はインスタが流行しだした当初からわりと普通に行なわれていたふしもある。先ほどのGENNKINGなども、『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日系)で本当はローン地獄だったことを明かし、見栄を張りまくっていたことを告白している。
 また、モデルの西上まなみは『ニノさん』(日本テレビ系)に「SNSに生活を支配された女」として登場し、「おしゃれカフェで友人とふたりで来ている風に見せるため、ひとりで来ているのに料理をふたり分頼む」、「落ち込んでいるといっぱいいる友だちに励まされた(本当はひとりで、それっぽいポエムを投稿したかっただけ)」…という涙ぐましい(!?)“インスタジェニックの裏側”を見せて、反響を呼んだ。

“リア充ねつ造”モデルが明かす、理想の自分像とは?

 「私は友だちがいないですし、いつもひとりでジムに行ったり、ヨガに行ったりと、誰にも会わない生活をしているので、インスタでの私は『自分の理想像』のようなもの」と語る西上は「正直、本当の私とは正反対なのかもしれないです」と冷静に分析している。なぜインスタで“理想の自分”を作り始めたのだろうか?
 「インスタは自己ブランディングにつながると思うので、こうやって自分の思う“モデル像”で埋め尽くすことで、モデルとしての西上まなみが存在できる気がしますし、演出であっても続けることで、いつか現実になるのではないかと思えるツールでもあり、私自身(インスタから)夢を与えられてるのかもしれないです」(西上まなみ)

 実際の現実はどうであれ、インスタ上の写真だけであれば、確かにフィクションを作りやすい。「SNSでつながっているだけで、会ったことのない友だちや、リアルな友だちの友だちなどから見ると、それが本当の友だちなのかはわからないので、細かいことを気にすることなく、たくさんのいいね!とリア充ぶりを気軽に叶えられる」(前出・石井氏)というわけだ。

 自分の“承認欲求”を満たすために、ここまでする必要があるのだろうか?と思う人も多いかもしれないが、西上のように自己実現のための一種の“ツール”と考えれば、それはそれでアリなのだろう。インスタを使うことで理想のモデル像を自己演出し、いつかはリアルな現実にするという明確なビジョンがあるわけである。さらに、SNSはその場ですぐ反応が返ってくる世界だ。現実に返り、ふと我に返って虚しくなる前に、誰かから即リアクションが返ってきて評価を得られるからこそ、“前向き”でいられる。昨今の“インスタ映え”ブームは、自分を輝かせ続けたいという若者たちの祈りのようなものなのかもしれない。

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