ORICON NEWS
西野亮廣×スタディサプリ講師・坂田薫 授業だってエンタメ! 二人の“勉強観”とは?
学校こそ一番“楽しい化”しなくちゃいけない(西野)
西野亮廣非常にアホだったんですよ、僕。今は、もっとアホですけど、当時もまあまあアホでした。不登校だったり不良だったりしたらまだ言い訳ができるんですけど、毎日学校に通っていて、ちゃんと授業を受けていて、それでいて先生が何を喋っているのか全然わからなかったんです。まっすぐ頭が悪かったんです。学年に200人とか300人とかいる中で、ずっと下から10番目くらいをウロウロしていて。それもテストをサボっているわけじゃなくて、一生懸命受けていたんですけど、なんか本当に勉強ができなくて、勉強って本当に面白くないなと思っていたんです。
でもこの世界に入ってみたら、例えばなんだろう……高学歴のタレントさんに教えてもらう歴史の話とか、すごく面白いんですよ。茂木健一郎さんに教えてもらう脳科学の話とか。それを聞いた帰り道とかに、関連本を買って、家で読むんですね。その瞬間、つまり勉強しているんですよ。その勉強がムッチャ楽しい。結論「勉強は楽しいんだけど、先生の喋りが総じてあまり面白くなかったんだ」と考えました。情報が「10」あっても、喋る能力が「1」しかなかったら、伝わるのは「1」だけだから。そこで、“おしゃべりの能力”が高い人達ばかり集めた学校を作っちゃおうと考えたのが、サーカスの始まりです。
それともう一つ。例えば歴史の「何々時代」「何々時代」「何々時代」というのを、ちゃんと時代順に並び替えろといわれたら、結構な人が間違えると思うんです。けど、僕ら世代は、例えばドラゴンボールの「ベジータ」と「ピッコロ大魔王」と「フリーザ」が出てきた順番に並び替えろと言われたら、100人が100人正解する。つまり、楽しい時のほうが吸収している。であれば、学校こそ一番“楽しい化”しなくちゃいけない。
――坂田先生は実際に生徒の前で講義を行う際、そういった“楽しさに”関しては意識してらっしゃいますか?
坂田薫意識しています。講師になりたての頃は、“伝わる”ことにこだわって、どうしたらうまく伝わるのかをとにかく研究しました。まずは板書(黒板に書く内容と配置)。そこに自分の言葉をつけて、一番シンプルに伝わるのがどういうパターンなんだろう? ということを試行錯誤しました。板書の計画に関しては、予備校講師の中で一番やってきたという自信があるくらいです。それでやっと“分かりやすい講義”は出来るようになったけれど、今度は自分自身が楽しめていなかった。とにかく自分が楽しまなければ、生徒も付いてきてくれないですよね。
それで辿り着いたのが、「準備を完璧にする」ということです。「どういう風に喋ろうか」「どういうことを書こうか」と教壇で考えていると、やっぱりそっちばかりに意識がいってしまう。だから準備を完璧にして、教壇では完全に演じるだけにする。
坂田薫私は、授業は一つのエンタテインメントだと思っています。「来てよかった」と言ってもらうためにどうすればいいかを考えて、最後に辿り着いたのが、「感情を刺激する」ということです。「楽しい」だけじゃなく、「悲しい」でもいいんです。一つの化学物質の話をするにしても、それを擬人化したり。そういうことをするようになってから、「来てよかった」とか「毎週楽しみ」と言ってもらえるようになりましたね!
そして、相手の感情を刺激するには、私自身が講義に入り込むこと、すなわち演じることが必要です。徹底的に準備し、それを演じるということを続けてきたからこそ、目の前に生徒がいない、難しいオンラインの授業でも、生徒を引き込む授業が出来るようになったのだと思います。
――準備ということでいうと、今日も西野さんとの対談に備えて、相当な情報を仕入れてきたとか。
西野亮廣あ、そうなんですか!そこも準備しているんですね。
西野亮廣うわ、すごい!(笑)