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福島県に“ドローンの聖地”が誕生? ドローンが今もっとも活躍できる“意外な分野”とは

赤外線カメラを搭載したドローンは、インフラ設備や大型建築物の点検で目覚ましい働きを見せている。

 近い将来、本格的な“ドローン時代”が訪れると言われ、流通、エンタメ、農工業などあらゆる分野でドローンの活躍が見込まれている。その潮流に沿う形で「改正航空法」が2015年に施行。ドローンを飛行させるうえでの明確なルールが定められた。そこで、ドローンの操縦士育成スクールや、空撮、外壁調査といったドローンのサービス事業を行っているスカイエステート株式会社のインストラクター・中川智博氏に、“ドローン業界の今と未来”を聞いた。

ドローンパイロットを育成するスクールが各地に続々開校

  • 大型建築物の外壁を調査するドローン。

    大型建築物の外壁を調査するドローン。

 「ここ最近、1万円以下で購入できるような小型の“トイドローン”が人気です。そもそも、2015年に施行されたドローン規制法で、ドローンの飛行機禁止エリアと夜間飛行などの飛行方法に制限が設けられました。その規制対象となるのが機体重量200g以上のドローン。いま普及しているトイドローンは、その規制の対象外となる200g以下の機体です」(中川氏)
 
 では、仕事などで使用する200g以上のドローンを飛ばそうとした場合、どのような許可が必要になるのか?「まず、10時間以上のドローン飛行経験が必要です。もちろん、それに伴う操作技術と知識も求められます」と中川氏。そうした技能を備えたうえで国土交通省へ申請書を提出するのだが、ドローンの操作技術を学べるスクールに通っていなかった場合、その確認に時間がかかるため、申請が通るのに2〜3カ月待ちになることも。しかも、その申請はドローンを飛行させるたびに必要となる。
 「そこで、国土交通省の定める評価基準を満たした『ドローンスクール』が各地にできています。そのスクールを出ていれば、国土交通省への申請が劇的に簡略化されます。免許制度ではないですが、車の教習所をイメージしてもらえれば」と中川氏は語る

大型ダムや災害現場など、危険個所で真価を発揮

  • ドローンが撮影した赤外線カメラの情報を、現場で確認するスタッフ。

    ドローンが撮影した赤外線カメラの情報を、現場で確認するスタッフ。

 ドローンと言えば、映画やドラマでの空撮、またはドローンレースといったエンタメで活用されるイメージが強い。しかし、近年ドローンが活躍しているのは違う分野だと中川氏は強調する。
「ドローンの需要が高いのは、橋や道路といったインフラ、ソーラーパネルや建物などの “点検”です。中でもドローンの特性が生かされるのが、高層階のビルや、ダムなどの大型建築物の点検。大型建築物では多くの人員と作業日数がかかるうえ、危険が伴います。高所に足場を作り、安全ベルトを使って行っていた作業をドローンが肩代わりします。しかも、赤外線カメラで外壁の異常個所を検知するため、人が調査するよりも早くて正確です」

 赤外線カメラで異常個所を見つけた際、マーカー発射システムを使って該当箇所を着色。次回の作業位置を特定しやすくする技術もある。「ダムの外壁にカラーボールを撃ち込むドローンを見ると、男心が刺激されますね」と目を輝かせる同氏。
高層ビルやダムの調査のほか、災害現場など、危険個所で存在感を発揮するドローン。「将来的にドローンパイロットを社内で抱えようと、社員をスクールに通わせる企業も増えています。ただ、落下や衝突といった不測の事故などを考えた場合、“リスクヘッジ”のために外部のドローン会社に頼むのが一般的です」

宅配ドローンが空を飛び交うSFワールドが現実に

 世界各国がこぞってドローン開発に力を注ぐ昨今、技術立国である日本も国を挙げてドローン技術の研究に力を入れている。その試みのひとつとして、福島県南相馬市にできたロボット特区がある。
 「被災した南相馬市では、市の再生に向けてロボットの活用を推進。50万坪の敷地内で陸・海・空のロボット実証実験を行う『福島ロボットテストフィールド』が平成30年度より開所予定です。現在も、被災地の人手不足を解決するため、南相馬市と楽天が共同でドローンによる無人配送の実験を行っています」(中川氏)

 荷物を積んだ宅配用ドローンが空中を飛び交うSFワールド。そんな、アニメや映画の中の世界が目前に迫っている。実際、雷に打たれても大丈夫なゴム製のドローンや、水陸両用のドローンが実現化。またドローンが落下した場合に備え、パラシュートやエアバッグを備えたドローンの開発も進んでいると中川氏。

ドローンによる“編隊飛行”は、優秀なオペレーターがいる日本の十八番に

  • ドローンを使えば、大型建築物でも少人数で調査が可能。コストカットでの需要も多い。

    ドローンを使えば、大型建築物でも少人数で調査が可能。コストカットでの需要も多い。

 「今後、注目されるドローン技術として“編隊飛行”があります。今年の2月、アメリカのスーバーボウルのハーフショーにレディー・ガガが出演しましたが、その際、300機のドローンがスタジアムの上空を飛翔。ドローンに備え付けられたLEDライトを使って、色とりどりの星空やアメリカ国旗を再現しました。この技術のポイントは、プログラムされた動きをドローンにさせるため、操作は数台のコンピューターで可能という点です」。そして中川氏が言うには、こうしたオペレーター技術は日本のエンジニアが得意する分野。今後、ドローンの編隊飛行技術は、日本のエンタメシーンで積極的に活用されていくはず、と強調する。

 「福島県は今後、“ドローンの聖地”の役割を担う重要な拠点となるでしょう。そして、環境面での整備が進むのと同時に、トイドローンの普及により操作技術に秀でた日本人が相当数出てくるはずです。その若者たちが海外の『ドローンレース』に出場して、賞金を何億も稼ぐ時代がきっと来ます。最近、子どもたちの憧れの職業に“Youtuber”が加わったと話題になりましたが、いずれは“ドローンパイロット”も、子どもたちの人気職業のひとつになるはずです」(中川氏)

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