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関西出身“女芸人”の全国ブレイクが少ないワケ

  • 孤軍奮闘?関西弁のキャラクターが東京でも愛されている友近

    孤軍奮闘?関西弁のキャラクターが東京でも愛されている友近

 いまや芸能シーンに欠かせない存在となっている“女芸人”。コンビで言えば、王道・ハリセンボンやおかずクラブ、たんぽぽのほか、“下ネタ”や“バラ売り”もいけるトリオ・森三中など。ピンでは人気絶頂の渡辺直美にはじまり、最近でも横澤夏子、平野ノラ、ブルゾンちえみ、ベテランのいとうあさこといった具合に枚挙にいとまがないわけだが、ふと気づけばコテコテの“関西系”の女芸人がいないのだ。なぜお笑い界のメジャーと言ってもいい関西(上方)は、女芸人となると関東圏ひいては全国区で勢いを失ってしまうのだろうか?

一時期は話題になっても、全国区に定着する関西女芸人は少ない

 全国区の人気を誇る関西の女芸人と言えば、コンビでは1980年代初めの漫才ブーム時の今いくよ・くるよや春やすこ・けいこ、ダウンタウンらと同期のハイヒール、ピンでは吉本新喜劇の山田花子、そしてタレントでは超大御所の上沼恵美子などが思い浮かぶわけだが、実際にそのくらい。もちろん関西圏でメジャーな人気女芸人は大勢いるのだが、関東となると一時期は話題になっても、そのまま全国区に定着する女芸人は極めて少ないようだ。

 全国区になるには東京で継続的な人気を得なければなれないが、そこで重要になるのが同性に受け入れられることだろう。たとえば女性からの絶大な支持を誇る渡辺直美は、SNSなどを駆使して自身のファッションや恋愛ネタを発信しているが、自虐とお笑いなど彼女のキャラクター性をまっすぐに表現するスタイルが好評。“女らしさ”も嫌みにならず、女性からも“かわいい”“センスがいい”と羨望の眼差しが向けられる存在になっている。

 一方、関西の女芸人で見ると、おもしろさの根源である関西弁が、同性から“強すぎる”と感じられてしまうことがある。もちろん、関西弁自体は芸人たちが発信元になってバラエティでもおなじみであり、東京人も日常のなかで普通に使っていたりもする。勢いよくまくし立てる口調やぐいぐいと迫る感じがその特徴であり、親しみやすさの象徴であるのだが、女性にとってはクセやアクの強さが、どこか近寄り難さを生んでしまい、親近感や共感から遠ざかってしまうこともある。

 とくにそれが同性からであると、“ズケズケと食い込んでくる”といったイメージは拭えず、一生懸命さやがんばってる感さえも“強さ”となって、なんとなく馴染みにくさを感じさせてしまう。東京進出当初は勢いやインパクトでおもしろがられても、次第に距離ができてしまっているのが現状ではないだろうか。

 愛媛県出身ではあるが唯一、関西弁の女性ピン芸人で孤軍奮闘している感もある友近も、ネタではコテコテの関西弁でコテコテのキャラも登場するが、“大御所演歌歌手・水谷千重子”などは友近本人とは一線を画して演じている。キャラクターに憑依することで、自身のパーソナルな面では“強さ”を感じさせず、ソフトな印象を残しているのだ。

同性の共感を得られるか、いかに受け入れられるかがキーポイント

 そんな“関西女芸人不毛の地”となっている東京に進出し、今まさに奮闘している女性コンビもいる。その一組である尼神インターは、ボケ担当でぶりっこキャラの誠子に、今にも噛みつきそうな凶暴キャラの渚が突っ込むというコテコテの関西漫才であり、かつて東京でも人気を博したハイヒールを思わせる芸風。見た目のヤンキー的なノリは、リアルなヤンキーが消えつつある東京圏でインパクトとともに物珍しさや懐かしさがフックとなってひっかかるかもしれない(あれほどブレイクしたピコ太郎も“千葉のヤンキーキャラ”)。

 すでに下ネタトークがウケて全国区のバラエティ出演が増えているあたりは、まずはブレイク路線に乗っていることが見て取れるが、そこから定着できるか、時流に乗って先達がぶちあたった壁を乗り越えることができるかは、これから同性にどうアプローチしていくかにかかっていると言えるだろう。

 “西の大ボス”との異名も持つあの上沼恵美子でさえ、1994年、1995年と『紅白歌合戦』(NHK総合)の女性司会を担当したとき、「『第45回NHK紅白歌合戦』(1994年)で出場歌手との面談の際、横を向いて目を会わせてくれない方が4、5人いた」と『あさイチ』(NHK総合/2015年12月25日放送より)で語っており、さらに「その人たちはいまだに大っキライです」と述べるほど、“東京のハードル”は高いのである。

 関西出身の“女”であることをウリにして、どこまで女性からの反感を買わずにひとつの“キャラ”として確立させることができるのか。東京さらには全国進出へ向けたキーポイントは、そのあたりにありそうだ。

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