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今に続く“アイドルのフォーマット”を形成 モーニング娘。が20年間愛されるワケ

 2017年に20周年を迎えるアイドルグループのモーニング娘。。新たに加賀楓と横山玲奈の2人が加入し、来年から本格的にグループに合流し、モーニング娘。’17として13人体制で活動する。“短命”と見られていた日本の女性アイドルシーンにおいて、屈指の歴史を誇る同グループは、それまでに存在しなかったシステムやアプローチを生み出し、後進に多大な影響を与えてきた。モーニング娘。の20年、彼女たちが提示してきたものとは?

メンバーの脱退、後進アイドルの対等……幾度と訪れた危機的状況

  • 東京・日本武道館で行われた『モーニング娘。’16コンサートツアー秋〜MY VISION〜』 (C)ORICON NewS inc.

    東京・日本武道館で行われた『モーニング娘。’16コンサートツアー秋〜MY VISION〜』 (C)ORICON NewS inc.

 モーニング娘。(以下モー娘。)はオーディションバラエティ番組『ASAYAN』(テレビ東京系)から誕生。紆余曲折ありながらも、1999年9月に発表した「LOVEマシーン」が大ヒット。グループ内ユニット・プッチモニの「ちょこっとLOVE」もミリオンヒットを記録するなど、彼女たちは国民的アイドルグループへと昇り詰め、世紀をまたいでモー娘。は活躍を続けてきた。

 これまでのアイドルの歴史を振り返ると、ここを頂点に徐々に失速していき、数年後には解散というのが多くのアイドルグループのたどる道であった。事実、70年代の伝説的デュオ、ピンク・レディーもデビューから解散までは5年。同じく人気絶頂で解散したキャンディーズもレコードデビューから解散コンサートまでの期間は6年に満たなかった。1980年代半ばに一世を風靡したおニャン子クラブにいたってはその活動歴はわずか3年、まさにパッと咲いて鮮やかに散ったという印象だ。

 しかし、前述したように、モー娘。は20年という驚異的な歴史を築き上げてきた。モー娘。は、デビューに至るまでの模様が(初期のみならずどの期においても)常に『ASAYAN』の中で紹介されていたように、徹底的なレッスンのもと、プロとしての“魅せる”能力が植え付けられていった。これに、アイディア豊富なプロデューサー・つんく♂をはじめとするクリエイターたちの“技”がプラスオンされ、単なるアイドルではなく、エンタテインメント性の高いガールズグループとして世に送り出された。もちろん、すべてが順風満帆だったわけではない。デビュー当時は数少ない例でもあったアイドルという存在、とりわけアイドルグループが21世紀に入るとあちこちで誕生することとなり、なかでもAKB48の登場が引き金となって決定的ともなったエリアアイドル、さらには地下アイドルと呼ばれる存在が一気に数を伸ばし、街を歩けばアイドルに出会える“アイドル戦国時代”へと突入していったのである。

 目新しさ、フレッシュさが大きな武器となる女性アイドルの世界において、デビューから一定の期間を経ているモー娘。は、その歴史が逆にハンディキャップともなりかねなかった。加えて、その間には安倍なつみや後藤真希、辻希美、矢口真里、石川梨華、藤本美貴といった中心的メンバーの卒業や加護亜依の脱退など、グループの根幹を揺るがすような動きもあった。国民的アイドルグループの座はいつしかAKB48グループのものとなり、2010年から3年間、シングルでの1位獲得はない状況となった。モー娘。は“過去の存在”となっても不思議ではなかった。それまでに幾度と訪れた危機的状況化において彼女たちは、新たな“顔”の台頭と新機軸のアプローチなどでその荒波を乗り越えてきた。メンバーの卒業をバネとして、新たなモー娘。ブランドを生み出してきたとも考えられる。しかし、猛威を振るうAKB48旋風の中で、デビューから15年にならんとする“老舗”にその先を切り拓く力はもはや残されていないようにも映った。

救世主・道重さゆみの台頭とフォーメーションダンスの確立

  • モーニング娘。’16が新メンバーお披露目(中央左から加賀楓、横山玲奈) (C)ORICON NewS inc.

    モーニング娘。’16が新メンバーお披露目(中央左から加賀楓、横山玲奈) (C)ORICON NewS inc.

 そんななか、2012年に8代目のリーダーに就任した道重さゆみが、強いキャプテンシーとカリスマ性でグループに活力を加えた。歴代メンバーの中で最も在籍期間が長かった道重は、もともとグループの中では落ちこぼれ組に属し、そこからトップの地位まで這い上がった努力の人でもある。AKB48の前田敦子が持つカリスマ性と大島優子が誇るパフォーマンス力、その両方を身につけていたと称される道重を中心に、新生モーニング娘。が新たな武器として手に入れたのが、モー娘。が起点と言われる「フォーメーションダンス」だ。

 劇場というホームグラウンドを持つAKB48グループには、常にファンの目にさらされることで成長するというアドバンテージがあった。プロデューサーの秋元康がおニャン子クラブをベースに構築した21世紀型のアイドルには、劇場公演+握手会という鉄壁の方程式が確立されていた。それに対抗しうる武器として、統率のとれた隙のないパフォーマンス、アグレッシブな動きを引き立たせる高いボーカルスキルは、これ以上ない強烈なインパクトを放つこととなった。デビュー当時から数々の“逆境”にさらされ続けてきたモーニング娘。の“DNA”だからこそ生み出したといえそうな、この圧倒的なステージングによって、従来のアイドルファンのみならず、憧れの目でそのパフォーマンスを見つめる女性ファン層をもモー娘。は獲得。オリジナルなアイドル性を確立することとなる。

 現在のアイドルシーンをけん引するグループの主要メンバーには、モー娘。あるいはハロー!プロジェクトの影響を受けている者が少なくない。それは、モー娘。を源流とするアイドルグループのスタンスが、今のアイドルシーンに色濃く残っていることを示すものであり、“モーニング娘。は別格”という風潮をも生み出している。親しみやすさの中に、孤高のプロの影を漂わせる佇まいは、20年近い歴史が生み出した“唯一無二”のものかもしれない。20年もひとつのマイルストーンに過ぎないのか。モーニング娘。という“ブランド”が持つ絶対的な信頼感と“破天荒”スピリットは、この先も我々を楽しませてくれることだろう。

(文:田井裕規)

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