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『紅白歌合戦』Pが明かす、今年の見どころとSMAP出演の可否

 大みそか恒例の『第67回NHK紅白歌合戦』が、いよいよ間近に迫ってきた。司会者、出演者も発表され、いよいよその全貌が見えてきたが、今年はどのような喜びと感動を視聴者に与えてくれるのか? さらに同日に解散することを発表しているSMAPの出場は!? 同番組のチーフ・プロデューサーであるNHK・矢島良氏が、今年の見どころを明かすと共に、気になるSMAP出演の可否についても真摯な胸の内を明かしてくれた。
『第67回NHK紅白歌合戦』司会者と出場歌手発表!

近年総合司会はNHKの顔となる専属アナを起用のワケは?

――まずは、今年のテーマ“夢を歌おう”についてお聞かせ下さい。
矢島良 2020年に東京五輪を迎えますが、その五輪イヤーの前年である2019年末に放送する『紅白歌合戦』は、70回という節目になります。その70回目の『紅白』では、来る五輪イヤーに希望や夢を持てるようなものにしたいと考えています。そこで、今年の67回目から70回目まで、4年かけて“夢を歌おう”という同じテーマで行うことを考えました。

――大きく4年分の構成も考えていると?
矢島良 はい。 “夢”は、今現実にもがいていることも含めた、その先にあるものだと思っています。今年に限定すると、五輪イヤーで盛り上がった一方で、地震や台風などの大災害があり、誰もが胸を痛めるような悲しい出来事もありました。歌の力でみなさんの背中を押し、応援したいと考えたときに、その一歩先を見据えたものが、“夢を歌おう”というテーマと繋がると思っています。

――ある意味では、普遍的な部分に立ち返ったテーマかもしれませんね。また総合司会には、NHKのエースと期待される武田真一アナを起用。今年は、弊社発表の『第12回 好きな男性アナウンサーランキング』で3位にランクインされるなど好感度も抜群ですね。
矢島良 武田さんは、『ニュース7』を担当しており“NHKの顔”としてお茶の間に浸透しているので、その点では申し分ないと思っています。『紅白』を例年やっているなかで、視聴者のみなさんから「生放送なのにライブ感が足りない」というご意見を頂きます。私たちは番組としての完成度を求めるので、何分何秒単位まで細かく計算して演出を作り上げているのですが、観ている方からすると「ライブ感が足りない」と感じてしまうのだな、と。そういう声をたくさんいただき、NHKホールで起きていることをライブ感のある言葉で伝える必要がある。それには、普段の仕事の中でリアルタイムで起きていることを言葉で伝えることに長けている武田さんのコメント能力をぜひ活かしてほしいと思いました。

――ここ数年、総合司会には、NHKのアナウンサーが起用されていますが、専属のアナウンサーを起用する理由は、武田アナの起用理由と同様ですか?
矢島良 それもあります。紅組と白組の司会の方には、活躍がめざましい方にお声がけさせていただいているのが基本です。一方で、NHKでお送りしていますので、総合司会という部分ではNHKの顔となる方に活躍してもらい、良い意味でNHKらしさも出していけたらと思っています。

――紅組司会の有村架純さん、白組司会の相葉雅紀さんは、どのような起用理由でしょうか?
矢島良 相葉さんは、今年4月から『グッと!スポーツ』のMCを担当して頂き、好評を得ています。今年はリオ五輪がありましたので、『紅白』にはアスリートの方々もお招きする予定です。そういう意味では、相葉さんの人選はとても素直なことだと思っています。

――有村さんについては?
矢島良 有村さんは、女優として華々しく活躍されていますし、来年4月から放送のNHK連続テレビ小説『ひよっこ』のヒロイン役に決定し、その期待感を先取りしたいと思いました。今年からスタートする4年計画の『紅白』で、何か今までになかったことに取り組みたいと考えています。良い意味での“マンネリ感” もありますが、その反面、期待を裏切りたいとも思っています。司会に限らず様々な人選が、番組への期待に繋がると考えています。

『紅白』は“テレビの祭典”、華々しいショーを作り上げたい

――今年はタモリさんがゲスト出場されますが、総合司会のオファーをされましたか?
矢島良 「何かしらの形で『紅白』にお力添えを頂けませんか?」とオファーさせて頂き、結果としてスペシャルゲストという形になりました。1983年に総合司会を務められている点も含めて、今年はどんなことをやって頂けるのか? という興味が、期待感につながればと思っています。

――さらに、マツコ・デラックスさんもゲスト出場されます。
矢島良 タモリさんとマツコさんは、今のテレビ業界を代表するような活躍をされ、幅広い層から支持を得ています。『紅白』はその1年の締めくくりという側面もありますが、制作側の我々としては、“テレビの祭典”という考えもあります。歌手の方だけではなく、その年にテレビで活躍された様々な方に勢揃いして頂き、華々しいショーを作り上げたいと思っています。そういった意味でタモリさんとマツコさんは、今のテレビを代表するトップの方だと思っています。

――出場アーティストの話に移りますが、KinKi Kidsさん、PUFFYさんは、20年目の初出場となります。今なぜ、彼らに出場をオファーされたのでしょうか?
矢島良 KinKi Kidsのおふたりは、違った形でご出場頂いたこともありますが、「初登場だったんだな」と、僕らとしても少し意外な気持ちでした。それぞれ20年間、第一線で活躍し、親から子世代まで幅広い方に支持されています。『紅白』は、いろんな世代の方に観ていただきたいと思っていますので、そういう意味では番組の狙いに合致する2組だと考えています。

――同じく初出場では、復活したTHE YELLOW MONKEYさんもいらっしゃいます。
矢島良 ドラマ主題歌も手掛け、再集結も大きな話題になりました。実力や音楽性は普遍的な魅力を持っていると思います。彼らの楽曲の持つメッセージ性を、我々の番組でも伝えていただきたいと思っています。

――今年4月にNHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』の主題歌「花束を君に」で約5年ぶりに音楽活動を再開させた宇多田ヒカルさんは、今年の『紅白』を語る上で、欠かせない存在だと思います。
矢島良 約5年ぶりに活動再開されて、そのスタートが『とと姉ちゃん』の主題歌「花束を君に」でした。NHKでのお茶の間への浸透率で言えば、今年一番の歌だったのではないでしょうか。楽曲の素晴らしさ、宇多田さんのアーティストとしての魅力も含めて、改めて実感しました。彼女の生歌を、より楽しんでいただける中継をと考えています。

――宇多田さんが生放送で歌うのは、とてもレアですよね。
矢島良 本当にそうなんです。滅多に観ることのできない機会なので、ぜひ楽しみにしていてほしいですね。

――ちなみに出場オファーは、『とと姉ちゃん』が決まったときから、何となくでも考えていたのでしょうか?
矢島良 いえいえ、そんなに早くからということはありません。

AKB48の「夢の『紅白』選抜」では、1人ひとりの想いをしっかりと伝えていきたい

――また、初出場組のRADWIMPSさんも、テレビの生放送で歌うのは珍しいことですが。
矢島良 RADWIMPSさんは、映画『君の名は。』のヒットももちろんですが、若年層を中心に人気のあるバンドです。積極的にテレビ出演するスタンスではなかったので、ご出場が叶ったのは我々としても非常に嬉しいです。そういう意味でも、より多くの人に観ていただきたいです。

――どんなステージを期待していますか?
矢島良 「前前前世」のオリジナルバージョンですので、彼ら本来の音楽性やメッセージ性を生で体感してほしいです。多くの人は、先に映画があり、その主題歌という認知かもしれませんが、それだけではないアーティストとしての魅力を味わってほしいですね。一方で映画も思い出してもらい、一粒で二度おいしい、そういうステージになればと思います。

――そして欅坂46は、デビュー8ヶ月での出場となります。初々しい面々へ期待することは?
矢島良 彼女たちの記録はすごいですし、かわいくてかっこいい存在感を持ったアイドルというのは、珍しいのではと思います。2016年の最新型のアイドルで、まさしく今年活躍した方を象徴するのではないでしょうか。そういう部分も含めた、初々しく華々しいステージを期待しています。こうした新しいアイドルを媒介して、家族が繋がるようになったらいいなと思っています。

――また、AKB48は「夢の『紅白』選抜」が行われるとのことですが、どういった経緯でこのような企画を行うことになったのでしょうか?
矢島良 4年間に渡って“夢”をテーマにする上での、今年の企画として、AKB48の運営側と相談しながら進めさせていただき、“夢”にちなんだ企画をやりたいと考えました。彼女たちが今年どういう夢を想い描いて叶えたのか? それに対してみんなが応援して選抜を決めるという。

――ウェブサイトでは、メンバーそれぞれが今年叶えた夢を発表していますね。
矢島良 はい。夢と想いを持ったメンバーが、365日一生懸命活動を続けていることが、より伝わると思いました。マスシーンで320人以上のメンバーが踊るだけでは見えないもの、今回選抜される48人の裏側にある想いはどういうものなのか? 1人ひとりの想いをしっかりと伝えていきたいという狙いがあります。

――ファンの反応はどのように受け止めていますか?
矢島良 投票方法に関する問い合わせは、たくさん頂きました。最初は選抜という部分だけが先行して、総選挙との棲み分けはどうなのか? など、いろいろなご指摘もありました。私どもより夢を応援する企画ということを説明させて頂き、今はご理解していただけていると感じています。

――普段なら選抜入りしないメンバーが選抜入りできるかもしれないという部分でも、夢がありますね。
矢島良 そういう面もあります。どういう結果になるかは、まったくわかりません。それも含めて生放送ならではだなと思います。メンバーを応援しているファンの方にとっても、夢の企画なのではと思います。

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